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《過去》と言う名の《序章》

『ねえねえ師匠、これってなんて読むの?』

 少年は、一つの本の一文を指差して聞く。それに対して、木の椅子に深く座る『師匠』は答えた。

『これは《ライズ・ボルト》って言うのよ。確か《増大ライズする電気ボルト》だから、つまりは雷属性ね。そして言葉の通り増加した電気が相手に落とす魔法よ。多分基礎の基礎かしらね。応用が《増大ライズするサンダー》かしらね』

 彼女の答えに納得したのか、手をタタズむ木に向けて叫ぶ。

『《ライズ・ボルト》!!》』

 無邪気に叫ぶ少年の手は無数の小さな電気を発したと思うや、ついで佇む木に電気が降り注ぎ、木を黒焦げにした。それには師匠も驚きを隠せず、次いで少年の頭を撫でる。

『さすがね。あなたの《マリョク》と《テンセイリョク》は並の魔物や人間とは比べ物にならないわ』

『へへへ!』

 少年は嬉しさで少し照れるが、師匠は突然手を止める。

『……でもね』

 手は離れ、師匠は神妙に言う。

『力は大きければ大きいほど、誰かから狙われるようにもなるわ』

 彼女はすごく悲しそうで、少年は何か言おうとするが何も出てこない。

『……いいのよ』

 もう一度師匠は手を少年の頭に乗せ、そしてだんだん、なぜか薄れていく意識の中で言う。

『あなたは、必ず《誰か》のために使う力を、その使い道を間違えちゃいけません。もし間違えれば––––』


『––––あなたを殺さないといけないわ』


 少年は、いきなり温もりのある手が消え、同時に視界に広がる暗い空間で二人の少女を見る。そして少年もまた、背丈が伸び、黒と白を基調としたロープを着て、一つの本を持っているのを確認する。そして一人の白を基調にした鎧と白く発光する長髪の《勇者》と、黒を基調にした鎧と黒の短髪の《魔王》が、共通して《悲しそうな目》で、浮いて立つ少年を下から見上げている。


『やめてよユウマ!あたしたちは殺したくないのよ!』


 ––––それは俺も同じだよ!


『ユウマ、もう戦わなくてもいいの。もう戦いは必要ないの』


 ––––知ってる。そうなるように俺が敵になったんだから!


『『ユウマ!!』』


 ––––うるさい!!



 ––––じゃあ、俺に変われ。俺がすべてを破壊して世界を終わらせてやる

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