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そこそこの太さのあるものを拾えば、杖探しは終了である。
だが、杖といっても所詮ただの枝、そこまで耐久性はない。それを、少し(?)魔法で強化するのだ。…諒にとっては「少し」でも、常人にしてみたら「ものすごく」かもしれないが。
因みに、諒が少し強化した杖で攻撃すると、頭に当たると竜でも永遠の眠りにつくことになる。
当然、普通なら、高級な杖でもそんなに強くはない。せいぜい、下級の魔獣を撲殺しても折れない程度だ。
意識の差とは恐ろしいものだ。
「この辺で、どうでしょうか…」
諒は今、枝の強化を終えて杖へと加工中であった。小さな呟きと共に、できあがった二本の杖を見比べる。
自分用の、どこからどう見ても安そうな杖(ただし半端な神の頭くらいなら砕ける)と、祐用の普通の杖(ただし半端ではない神の頭でも砕ける)の出来栄えを確認した。
杖は、基本的に属性の出力上昇や命中率の補正が役目だ。この杖の性能を聞けば、十人中十人が「杖は打撃武器じゃない!」と突っ込むだろう。
ただ、異常な硬度の割に補正などの機能は普通だ。
これは別に、諒の加工技術が残念だったからではない。
仕様だ。
もし杖がなくなった時には、補正なしで敵を狙い打ちしなければならない。だから、そこまで完璧な補正がないものを作ったのだ。
本来の機能より、武器としての方が使える杖に満足した諒は一つ頷き、周りに張っていた結界を解いた。
森の中だったため、加工中はたまに魔獣が襲撃してきたが、予め結界を張っておいたので邪魔はされずにすんだ。
見えない結界に何度もぶち当たる魔獣は、かなりシュールだった。
「さて、帰りましょうか」
結界を解いた瞬間、走って突撃してきた魔獣をよけて、ふわっと舞い上がる。
二本の杖を持って適当に鳥を回避し、来た時と同じように上空から目的地を探した。
それなりに時間も経過しているし、ここは寄り道せずに、真っ直ぐ宿に帰ることにする。
諒は、ゆっくりと宿屋を目指して飛行を開始した。
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「あっ、諒さん!」
諒が宿屋の前に降り立ち、一階の食堂の扉を開けると、ちょうど朝食を食べていたらしい祐がほっと顔を綻ばせ、声をあげた。
現在ではある意味、諒は彼の保護者のような存在だ。宿の主人に聞いて帰ってくると理解していても、 不安は残っていたのだろう。
打算的ではないが、早速得た「師匠と弟子」の関係を失えば、路頭に迷う…というより、心の拠り所がなくなる。
突如知らない世界に放り出された、まだ子供といっていい年の人間が、頼れるものが欲しいのは当然と言えた。
依存させる気は毛頭ないが、しばらくの間は心の拠り所役をやろうと考えている。
諒は内心で自分の意思を確認して、にっこり微笑んだ。安心させるための、いつもより少しだけ柔らかい笑みを浮かべる。
「私のいない間、何もなかったでしょうか?」
尋ねると、祐は完全に気を抜いて笑み崩れ、食べていたパンを飲み込んで頷いた。
「はい。伝言を聞いたので待ってましたけど、何か用事があったんですか?」
「そうですね。杖を誘拐してきました」
…杖を誘拐、つまり杖を掻っ払ってきた――。
この考えが、稲妻の速さで祐の脳内を駆け巡るのが見えた気がした。
「ゆ、誘か…っ!?」
さりげなく口走られたとんでもない言葉に反応して、祐が目を白黒させ、パンを取り落としかけた。不意討ちで冗談がくると、まだ対応しきれないようである。
諒はそんな祐に悪戯っぽく笑って、杖を一本差し出した。
「勿論、冗談です。どうぞ」
胸を撫で下ろした祐が何気なく受け取る。
「よかった……はい?これ、何ですか?」
祐は受け取ってから、首を傾げた。受け取ったものが呪いの魔剣だったりしたら、一体どうするのだろうか。
相変わらず無防備な祐を案じながら、諒はさくっと機能を説明する。
「これは杖です。魔法の命中補正や出力増大などの効果が…」
「魔法の杖!? 杖ですかっ!?」
言い終わる前に渡した杖を凝視しはじめた祐。魔法の雑貨を興奮して見ていただけあって、やはり興味津々だ。
諒は余計な台詞を付け加えておいた。
「因みに、その杖は本来の効果より、強度の方が高いです。もし老人の神様に出会ったら、試しに殴ってみてください」
…神殺しを実現する気満々である。
諒の恨みは、相当深いようだった。
身内の出産、育児の手伝いで少々忙しく、次の投稿はいつになるか分かりません。
申し訳ありませんが、一時凍結させていただきたいと思います。
時間が余れば執筆する可能性はありますが、かなり先になるかと…。
今まで読んでくださって、本当にありがとうございました。




