秘密結社に入ることになりました —②—
「働きたい?」
「は…はい!ってあの…だ、ダメですよね…急に来て早々こんな…。」
「つまり御希望は面接かぁ…うん、いいよ。」
「え良いんですか!?」
「もちろん。じゃあ向こうの別室に行こうか。」
「わ、わかりました…!」
言われるがままにショコラさんについていく。まさか、いきなり来た私なんかのお願いをすんなり聞いてくれるなんて…少しドキドキする心臓を深呼吸で整えて、私は案内された部屋に向かった。
「光子ちゃん光子ちゃん!」
「はい斬ちゃん、どうされましたの?」
「光子ちゃんのお部屋お掃除しといたからね〜」
「まあ!ありがとうございます。とっても嬉しゅう御座いますわ♡」
「コロコロかけたよ!ほら!」
「いっぱい毛が取れたよ!」
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「賑やかだろう?」
「あはは…そ、そうですね…!」
「あんなのでもウチの幹部連中の中じゃ、まだ可愛いもんさ。」
(アレで!?)
「さて…。」
「は…はい…!」
「ウチで働きたいと?」
「は…はい!」
「アハハ。久しぶりだなぁ。」
「久しぶり…?」
「ウチの構成員、基本的に幹部のスカウトか人脈派生でしか増えないんだ。だから、キミみたいに正面から面接受けに来る人なんて中々いないんだよ。」
「あ…そ、そうなんだ…。」
「ま、そんなに固くならずに楽にしたまえ。面接は僕と…おや、居たのかい?」
「え?」
ショコラさんの声に反応するように振り向くと、私の後ろに女性が1人立っていた。
とても背が高くて綺麗な人だ…同じ空間にいるだけで緊張してしまう。
「待った?」
「全然?」
「そ。良かった。」
「紹介するよ小鳥遊君。組織のNo.3で、僕の右腕の…」
「雪野小夏。アナタが加入希望の小鳥遊ぽぽさんだね。」
「は…はい!ていうかショコラさん、何時面接を伝えたんですか?私さっき来たばっかりで…」
「僕が伝えたわけじゃないよw」
「トイレから戻ったらさ。斬子が加入希望の面接だってうるさいから。」
「な…なるほど。」
「あの御喋りさんが皆に黙っていられるわけないからね…さて、では小鳥遊君。」
「は、はい!」
「まずはようこそ"Watcher's"へ!今日からよろしくね。」
「へ?今日から…って…?」
「じゃあ私はこれで。あ、ルン…。」
「ん?」
「チュ♡」
「おやおや、新入りの前だよ?」
「ノープロブレム。じゃ。アナタも頑張ってね。」
「え?な…何g」
バタンッ
「……………どういうことですか?」
「ん?いや、キミをWatcher'sの新入りとして承認するってことだけれど。」
「はい?」
この人は何を言っているのだろうか?さっきまで面接をすると語っていたのに、何も質問されずに、たった一言"新入りとして承認する"。
「あの…め、面接は?」
「ん〜〜〜〜〜…大丈夫な気がする。」
「へ?」
「うん!キミは大丈夫な気がする!だからOK!」
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「って言われたんだ…ルンさんに。」
「は…はい…。」
そんなわけで…あのあと面接室から出てきた私は斬子さんに引っ張られて事務所のソファに座らされ、こうして2時間くらい雑談をしていた。
ショコラさんは"ちょっと散歩してくるよ。"と言って小夏さんと2人で事務所から出ていってしまった。
で、残されたのは私と斬子さん、そしてここまで案内してくれた光子さん。
そして────────
「大丈夫デース!Sirの人を見る目は、トッテモ正シイ!アナタ、きっとココで上手くやっていけマース!」
「あーあー…こんな朝っぱらから飲んじゃって。キルコたち送っていかないからねー!」
このラムさんと言う赤毛の外国人さんの4人だけだった。
事務所の隅に置いてある棚から出してきたバーボンを1人で飲んだくれている。
というか2、3本は既に空いている。
「これからヨロシクお願いシマース!」
「は…はい。」
「そうですわそうですわ♡ルンちゃまは適当な理由で組織に人を置くような御方ではありません。きっとポポ様に興味深い何かがあったのですよ!」
「そ、そうでしょうか…私〜ほら、見ての通りの陰キャで友達も少ないし人前に出るの嫌だし臭いし…。」
「臭くはないけど。」
「草の匂いしません?」
「どゆこと?」
「いやあの…私青森のド田舎から来たのd」
カランカラーン!
「きゃ…!」
「ドア開いただけだからw」
音の鳴ったほうに視線を移すと、さっき私が入って来たのとは別のところにあるドアの前に女性が立っている。
銀髪が特徴的な、とっても美人な人だ。
「金ちゃんオハヨー!」
「うるせぇな…朝っぱらから叫ぶなよ斬子。」
「金様。おはようございます。」
「ハーイ金!一緒に飲みまショー!」
「アタシは未成年だバカタレ。」
皆から"金"と呼ばれている女性がコチラに歩いてくる。何と言うか、凄く圧のある人だ…存在感バツグンで、人混みの中に居ても視線を集めるタイプのオーラを放っている。
「ルンちゃまは小夏お姉様とお出掛けしてますわ♡」
「あぁ?んだよつまんねぇな…で?コイツ誰だよ。」
「ひっ…!」
急に視線を向けられたのでビックリしてしまった。大きくて、まつ毛の長い目で私を見つめている…というか怖い…!
「ダメだよ金ちゃん怖がらせちゃ…。」
「怖がらせてねぇよ。」
「コチラは小鳥遊ぽぽ様。新しく組織に加入なさったのですわ。」
「は?」
「あ、ど…どうも…よろしくお願いします…!」
「……………誰が決めたんだよ…!」
ゴゴゴゴ…という効果音が今にも聞こえてきそうな雰囲気で私のことを見ている。ど…どうしたら良いのだろう…。
ストレートに"さっき面接して受かったので大丈夫です!"なんて口答えしたら殴られそうな感じがするし…。
「ルンさんが決めたー。」
「お…そうか。」
「ハーイ!そうデース!ルンと小夏が2人で面接して決めてマシタ〜!」
「じゃ大丈夫か。よろしくな。」
「え?あ、ハイ。」
「悪ぃけど詰めてくんね?」
「あ、ハイ…ど、どうぞ。」
「おー。」
どっかりとソファに腰掛けた金さん。悪い人じゃないのかな?まあ…本当に悪い人なら、斬子さんやラムさんはともかく、光子さんとここまで距離が近いとは考えづらいし…。
「何歳?」
「え?あ、18です!」
「マジ?アタシと光子、同い年じゃん。」
「え!?そうなんですか!?」
「ルンちゃまも同い年ですわ♡」
「はいはーい!キルコ17歳!」
「そこの酔っぱらいは20歳だぞ。」
「イエース!ダケド心はいつでもキッズね〜!ドーシン?ワスルルベカロズ?デース!」
「"童心忘れるべからず"な。ま、こんなんでもウチの幹部なんだ。困ったら頼れな。」
「は…はい。」
「あとFBIの特殊捜査官だ。法律無視の特例だが。」
「うっそぉ!?」
「ポポちゃんそれ酷いからねリアクション酷いからね。」
「いや、もっと言ってやれポポ。」
「今日は朝から賑やかですわ♡」
なんか…普通だな。
普通に女の子が居て普通にお話している。別に空気がピリピリしているわけじゃないし、本当にココがあの秘密結社"Watcher's"の本部なのだろうか?
世界の平和を守るために日夜戦っているという、あの───────
「まあなんだ…アタシg」
バターン!
「うお!」
「うわぁ!」
「あらあら?」
「きゃあ!」
その時、後方のドアが勢いよく開いた!5人で一斉に振り向くと、そこには散歩から戻ってきたショコラさんが立っていた。
「よぉルン。」
「金!ちょうど良かった…。今ここにいるのは?」
「あー…これで全員だな。」
「そっか…うん、大丈夫そうだね。」
「ルンさんどうしたの?」
「事件だね。どうやらウチの案件らしい…さ、朝っぱらで悪いけど、全員出動するよ!」
「ちなみに小夏ちゃんも20歳だよポポちゃん。」
「それ今言わなきゃダメですか!?」




