表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/117

第31話 「上位の意思」

 遺跡の奥。


 静寂が戻ったはずの空間に――


 再び、異質な気配が現れた。


「……」


 アレンがゆっくりと顔を上げる。


「まだいるな」


「え?」


 リリアが周囲を見渡す。


「もう終わったんじゃ……」


「いや」


 アレンは目を細めた。


「さっきのとは“質”が違う」


 空気が重くなる。


 セリスが剣を握る。


「……来るか」


 その瞬間。


 空間が、音もなく歪んだ。


 そして――


 一人の男が現れた。


 黒ではない。


 白い装束。


 整った姿。


 だが。


 その“中身”が異常だった。


「……」


 アレンの視界が反応する。



【不明存在】

識別:第零班 上位個体

状態:安定接続

危険度:極高



「……なるほど」


 アレンが呟く。


「これが本体側か」


 男が微笑む。


「さすがだ」


「理解が早い」


「褒めても何も出ねぇぞ」


 アレンは肩をすくめた。


「名乗る必要はない」


 男は静かに言う。


「だが一つだけ教えてやろう」


「我々は」


「“選別する側”だ」


 リリアが眉をひそめる。


「……まだ言うんですかそれ」


 エルミナが低く言う。


「その思想は危険です」


 セリスが剣を向ける。


「ここで止める」


 男は軽く首を傾げた。


「止める?」


「面白い」


 そして。


 一歩踏み出す。


 その瞬間。


 空気が変わった。


 圧。


 重力のような何か。


「っ……!」


 リリアが歯を食いしばる。


「これ……さっきとレベル違う……!」


 エルミナが魔力を展開する。


「安定している……異界との接続が完全に……!」


 セリスが一歩前に出る。


「私が――」


「待て」


 アレンが止めた。


「……」


「こいつ」


「俺がやる」


「一人で?」


 リリアが聞く。


「いや」


 アレンは小さく笑った。


「“全部”使う」



 視界が変わる。


 深く。


 さらに深く。


 表面ではなく。


 “根本”。



【上位個体】

構造:人間+異界融合

接続:完全

価値:高

弱点:干渉可能



「……見えた」


 アレンが一歩踏み出す。


 男がわずかに目を細める。


「その目」


「面白いな」


「お前」


「何を見ている?」


「お前の“価値”」


 アレンは即答した。


「……」


 男の表情が、わずかに変わる。


「なるほど」


「そこまで到達したか」


「なら」


「話は早い」


 男が手を上げる。


 空間が歪む。


 直接干渉。


 圧が一気に増す。


「っ……!」


 リリアが膝をつく。


「くっ……!」


 エルミナも耐える。


 セリスが前に出るが――


「来るな」


 アレンが言う。


「これは俺の戦いだ」


 静かに。


 だが確実に。


 止める。


「……分かりました」


 エルミナが頷く。


「信じます」


 リリアも笑う。


「任せました」


 セリスも一言。


「負けるな」


 アレンは小さく息を吐いた。


「任せろ」



 踏み込む。


 男との距離が縮まる。


 圧が増す。


 だが。


「……効かないな」


「なに?」


 男が初めて反応する。


「価値が違う」


 アレンは言った。


「お前」


「安定してるけど」


「“外部依存”だ」


「……」


「俺は違う」


「内側から見てる」


 そして。


 手を伸ばす。


 男の前へ。


「……触れるつもりか」


「そうだ」


 そのまま。


 触れる。



 瞬間。


 意識が深く潜る。



 見える。


 構造。


 接続。


 そして。


 その先。


 観測者。


 無数の“目”。


 そして。


 さらに奥。


 巨大な意思。


「……」


 アレンは理解する。


 こいつら。


 ただの侵略者じゃない。


 管理者だ。


 選別者。


 世界を“調整”する存在。


「……ふざけんな」


 アレンは呟いた。


「勝手に決めんな」



 現実に戻る。


 男の表情が変わる。


「……何を見た」


「全部じゃない」


「でも十分だ」


 アレンは笑った。


「お前ら」


「消す」


「……できると思うか?」


「できる」


 即答だった。


 そして。


 手を握る。


 接続。


 価値。


 構造。


 すべてを――


「掴む」



 空気が震える。


 世界が軋む。


 リリアが呟く。


「……やばい」


 エルミナも息を呑む。


「空間が……歪んでる……」


 セリスが低く言う。


「……次の段階に入ったな」


 アレンの目が光る。


「これが」


「“真価の先”だ」



 戦いは。


 新たな領域へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ