↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステルラ  作者: 智織
79/79

第9話 <イヌヒト族の里2>

朝一でお買い物と徒歩行動のお話です。

キツネヒト族のヨーコより齎(もたら)された情報を聞いたルーカスは王宮に戻ろうとしたが、シルビアに諭され思い直す。


〜☀︎☆☀︎☆☀︎〜


朝、起きて執事の案内で食堂に行き席に座ると、

「ビュッフェ式になっております。お好きな物をどうぞ。」

と言われたのでコーナーへ見に行く。

先ずは粥

10種程の肉系や魚介系のトッピングがあり味変が楽しめそうだ。


次にパン

トーストした食パンを始め、卵や腸仔包(チョンチャイ・バウ)所謂ソーセージの入った惣菜パン。油條(ヤウ・ティウ)、波羅包(ボーロー・バウ)、

あとはビーフンや焼きそばなどだ。

種類豊富で味も良いからつい手が出る。


食事が終わり

Sy「さて、久方振りの故郷ゆえゆっくりしたいのはやまやまじゃが、生憎 もてなす側が忙しゅうての。邪魔にならぬ様 先を、行くぞ。」

一同が頷きシルビアの実家を後にする。


さて、ここから風柱様のところまでは徒歩行動である。シルビー曰く人族の足で3〜4日ほどかかるらしい。

農作業や酒造り、塩田が盛んなイヌヒト族の里は大家族が多く、一軒一軒の家屋が大きく敷地も広い。

大通りでは朝一の最中でとても賑わっている。


季節の野菜や果物を始め、他種族の里でも見かけた小物類、布製品、木製品、などがたくさん売られている。


その中には、排他的だと言われている亜人族のエルフ族の姿も見掛ける。

尖った耳と思わず見惚れてしまう美しい外見をしたエルフ族が売っているのは鋏やナイフ、厨房で使う金属小物類。だが、惜しいかな。愛想がない。接客態度が無である。


隣の売場で販売しているのは、アカデミー初等部に通っているくらいの子供が小さな体を一生懸命に動かして駆け回って接客しているトロール族。


売っているのはカシューナッツやきのこ類などの森の恵みと空の魔石だ。

やり取りを見ていると買い手のイヌヒト族は3種類のきのこと持参したと思われる2つの空の魔石に1つは火、もう1つは氷の魔力をトロール族が注入している。


N「あれって難しいのよね。魔石の大きさによって入れる魔力量違うし、入れ過ぎると魔石が弾けて壊れちゃうし、集中しないと魔力の質が下がるから使える期間が変わっちゃう。」

L「詳しいんだな」

N「魔力コントロールや魔力量アップのために魔法師見習いはさせられるの。最初は自分の限界値が分からないから魔力失望で気絶して医務室に運ばれたわ。」

L「なるほど」


他を見てみると、色々な獣人族が各々 得意分野の物を持ち込んで売買されている。驚いたのはリザード族が売っているたくさんの魚や人魚族が売っているのは貝類や海藻、竜人族の売るキャベツやレタスやセロリなどの高原野菜や珍しい花の売場などがある。


Sy「獣人国内の物流を主に行うのはトラヒト族とトリヒト族じゃが、亜人を含め他種族との仲を取り持つのはイヌヒト族でな。海を挟んでリザード族や人魚族、竜族とも取引きを行い交流しておるのじゃ。」


ただ、身体の大きさがトラヒト族やクマヒト族と変わらないリザード族はともかく竜族は身体の大きさが十メートルを裕に越える故、竜人の姿になって商いに来ておる。まぁ、それでも我等と比べると幼児一人分ほど背が高いがの。と、シルビアは言う。


此処でも商人魂 逞しいフェルナンドと見た目小柄で可愛らしく面倒見がいいけど意外にお茶目なナディアがあちこちの店を覗いては何か買っている。



「おはようございます。姫さま。今日も大変、麗しゅうございます。」

農作業服姿に麦わら帽子を被り、今朝 収穫されたばかりだろう野菜を一杯に乗せた編みかごを持った中年のイヌヒト族が話しかけてきた。

イヌヒト族 特有の言葉らしくルーカス達には理解出来ない。


Sy「精が出るの」

「お陰様で今年も豊作に恵まれまして。これも一重に風柱様のお力添えあってこそでございます。」

Sy「うむ。その心意気や良し。」

「有難きお言葉、恐悦にございます。おお、宜しければ此方をお持ち下さい。今朝の取立て新鮮でございます。」


Sy「馳走になる。これからも励むが良い。」


玉ねぎや蓮根などの野菜、パクチー(葉)、コリアンダー(実)やレモングラスなどのハーブの入った編みかごの中の全ての野菜を貰った。

お礼の会釈をしたら深々とお辞儀をされて見送られた。



先ほどのイヌヒト族から少し離れた場所にきてどういう関係か聞いてみると、

Sy「彼奴はイヌヒト族の首長。」

F「へー。そういう位の高い人ってもっと.....ととっ。」


Sy「威厳を見せる時も有るぞ。それも無ければ集団を纏める事は出来ぬからの。彼奴は首長の仕事は勿論、他種族との外交、イヌヒト族の多くが就く職の農作業もする。誰よりも働き者じゃ。だからこそ今のイヌヒト族の里は治世が保たれておる。」

T「明君なのですね。」


Sy「うむ。ルーカス、覚えておくが良い。お主は大国の王子という肩書きはあるが、今はこの同じ年頃の6人で旅をする者のリーダーに過ぎぬ。


集まる人数の差に関係無くリーダーに求められるのはただ1つ。


仲間や臣下、延(ひ)いては民など[他者の言に耳を傾ける]ことじゃ。


他者の話を聞かぬリーダーはたちまち暗君になる。暗君に付く者など同じ穴の狢(むじな)か強制に過ぎぬからの。」


*○*○*


朝一が行われている通りを過ぎて、町から一歩出ると途端に田園風景が広がる。


今の時期は、収穫を始め土壌改良や地ならし、水田の排水、脱穀、物によっては種蒔きとやる事が目白押し。たくさんのイヌヒト族が忙しく働いている側を歩きながら、暫くは先程の朝一で見た商品や自分達 人間以外の種族に会った感想などの話で盛り上がる。


F「朝一ではいろんな獣人族や亜人族がいたねー。」

L「逆に俺達人間を珍しそうに見てたよな。」


T「王都では獣人や亜人、巨人族との交流も増えてきてよく見掛ける様になったが、人間を他種族の地では余り見かけなかったな。」


I「確かに。俺らが服を買い揃えたリヴァーゴ州や土柱様のいるエルサーラ州では色々な種族を見掛けたがドワーフ王国や巨人族領でも人は見なかったしここ獣人国でも人はあのトリヒト族の里にいた奴ら以外では見てないな。」


N「私、獣人族や竜族にセニート語が通じるのびっくりしちゃった。さすが世界共通語。」

L「お、言われてみればそうだな。普通に会話 出来てたわ。」


Sy「朝一の場では種族が入り乱れてる故、共通語であるセニート語を話す様にしている。あそこの朝一で商いをする者は、共通語が話せて他種族に忌避がなく商売出来る者が条件じゃ。」


T「商売のやり方も王都にある食料品や日用品が一堂に揃う大型スーパーやデパートと違って八百屋、肉屋、魚屋、小物屋など其々 用途によって分けて売られているのも中々面白かった。」


L「確かに。見てるだけでも楽しめたな。」

F「だねー。スーパーだと袋詰めされてたりまとめ売りで便利なんだけど、買う量の調整 難かったり無愛想な定員に当たる場合もあるし無人キャッシュ多いけど、此処では個数やグラム売りしてて、端数値引きやおまけくれたりで楽しかったよ。」


Sy「さて、そろそろ森に差し掛かる。ただ歩いて移動してるのも退屈じゃろ。森には野生動物も多いが当然モンスターもおる。此処からは其奴らの相手をしながら進むが良い。」


L「この辺は何が出るんだ。」

Sy「他の森と大差無い。虫系や獣系、変わったところだときのこかの。胞子を飛ばして状態異常にさせてくる。後は、森を暫く行くと湖がある。其方では、魚や魚を狙う鳥、水辺に棲む虫などじゃな。」

L「なるほど、了解。」


一行は、森の中を進んで行く。

聞いていた通りカブトムシやクワガタやハチなどの虫系や、サルやシカやイノシシなどの獣系に出会(でくわ)したので、討伐していく。


F「ねぇねー、思ったんだけどさぁ。モンスター、い過ぎじゃない!?」

L「確かにすげーいるな。」


Sy「実り豊かな森だからの。冬が来る前の蓄えとして此奴らの活動も活発になる。」

I「だったとしても、出会す確率が高い気がする。」

T「獣人国でごそっと金が飛んだからな。金策と思う事にしよう。」


F「お。そう思うと、なんかちょっとやる気出てきた。」

L「出た。守銭奴 発言。」

F「お金、大事。」

L「うっし、んじゃ頑張るか。」

などと、会話と討伐を繰り返しながら進んで行く。


やがて木々が少なくなり、陽の光が多く差し込み遠くに湖が見え掛かり、もう後 数十メートルで湖に出るというところで、


N「あ、蝶々。すごく綺麗。」

と、 レオーネが誘われる様に蝶々に近付いて行く。


Sy「む、いかん!その鱗粉、吸うで無いぞ!」

N「わぁ!綺麗なお花畑が見えてきたー。あははー。蝶々さん、待って待ってー。きぁはは。」

Sy「遅かったか。」


I「おいナディア、どうしたんだ!?」

T「なんか、様子がおかしい。」

Sy「あの蝶の鱗粉を吸えば暫くの間、童心に還る。その間は、使い物にならぬがな。」

一人で蝶々を追い掛けて湖に向かって駆け出すナディアをイヴァンが慌てて追い掛けて行くのだった。


お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。