今日のお題【目を閉じて】
ベッドに腰掛け、そっと目を閉じる。
呼吸を整え、
いつもより深く長く。
吐き出す方を少し長めに。
目を閉じても暗闇でではない。
金色の光が常に見えている。
尋ねたことがある。
暗闇の中で目を閉じると、何か見えるかと。
何も見えないとその人は言った。
暗いままだと。
それなら、何故私には常に金色の光が見えているのか。
「それ」が現れるときは、常に急だ。
突然、目の前に景色が現れる。
白黒のぼんやりしたときもある。
カラーの動画を観るように、鮮やかに見えるときもある。
一番最初に見たものは、列車の最後尾だった。
最後尾に手すりがあって、そこに立つことができる。
花畑の中を走る赤い列車を、私は上から見ていた。
同じ速度で移動しながら、時々角度を変えながら、
列車について飛んでいた。
そのときは誰も立っていなかったが、
私はその列車に手を振った。
そして、ふわりと地上に降りると、
行ってしまう列車を、花畑の中で見送った。
それが、一番最初に私が視た光景だった。
しばらくは、何も見えなかった。
見えていたのかもしれないが、意識はしていなかった。
金色の光は常に見えていた。
いつからだろう?
また見えるようになったのは。
ベッドに横になって目を閉じたとき。
今のように、胡座をかいて目を閉じたとき。
突然見える。
そこがどこなのかはわからない。
場所も色々だ。
人の姿を見たことはない。
一度、側に誰かがいて、話しかけられていることはあった。
何と言っているかはわからなかった。
ただ、私が知っている人だという感じはあった。
毎回何かが見えるわけではない。
昨日は何も見えなかった。
意識して見るときもある。
無意識で見えることもある。
「それ」が見えたからといって、特に何かが起こるわけではない。
ただ。
今日見えたもの。
日本列島、だった。
濃い緑に覆われた。
私は上から眺めていた。
なんだかとても嬉しくなって、
しばらく眺めた後に、そこに向かってゆっくり降りて行った。
降り立つ前に、日本列島は見えなくなった。
私はゆっくり目を開いた。
外の音が聞こえる。
私は「ここ」にいる。
「今」「ここ」に。
外の音を聞きながら、再び目を閉じる。
それから何かが見えることはなかった。




