俺と聖教会5
アルメリア……ロベルタ枢機卿。
枢機卿が元居た世界と同じ定義なら、上位の司教と言うことになるのか。
この世界はゲームのような感じで、今までいた世界とは違う。
ロベルタ枢機卿は、若くして枢機卿の地位についているのかもしれない。
「アルメリアさまはお人形さんみたいで可愛い方なの!」
ジャスミンが言う。
――ただの見習いシスターが、枢機卿を可愛いって言って良いのか?
俺がそんなことを思っていると、ラウラの拳がジャスミンの頭に降ってきた。
「ロベルタ枢機卿に対して失礼だろう! いくら本人がいないと言っても、その口の聞き方はやめな」
やはり、地位の高い人間に対しては敬った方がいいんだろうな……と、ラウラの拳骨を食らって頭を押さえるジャスミンを見ながら思った。
「ロベルタ枢機卿は預言者なんだよ。神の声を聞くことのできるお方さ。この街が翼竜に襲われると言うことも予言されていたんだ」
ラウラはそう言って目を細める。
色々と思うところがあるのだろうが、それ以上は口にしなかった。
「さて、アタシが寝ずの番をするから、ドゥーンとジャスミンは休みなさい。何かあれば起こすから……ないことを祈るけどね」
ラウラに促され、椅子を繋げて作った簡易ベッドに横になる。
ジャスミンは椅子に座ったまま、毛布を膝に掛けただけだ。
「ドゥーンさま、お構い無く。私はすぐ起きれるよう、いつもこうして寝てるんです」
俺の視線に気づいたのかジャスミンはそう言って笑う。
その手にはやはり、ナイフがしっかりと握られていた。
ラウラがいるから大丈夫だとは思いつつ、寝ている間に刺し殺されないよう祈りながら、俺は静かに瞼を閉じる。
疲れからか、そのまま眠りについてしまった。