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俺とヤンデレと枢機卿

 翌朝、廃墟と化した街を出発してクレイエル教会へと向かうことになった。

 クレイエル教会はここより西に30㎞ほどの大きな街にある。


「鉄道を使って行きましょう」


 提案したのはジャスミンだ。


 ――鉄道なんてあるのか、この世界は……。


 つっこむと、また色々と面倒になりそうなので黙って心の中で呟く。

 そして俺たちは駅へと向かうことになった。


「列車は、移動教会みたいなもんさ。列車自体に祈りと神の加護が施されているんだ。ただの魔物ごときじゃ止められないよ」


「鉄道もアルメリアさまが提案され、建設にまで関わったそうなの。本当にアルメリアさまは万能な方!」


 先程、お人形さんみたいに可愛いと言っていたジャスミンだが、鉄道の建設に関わるというのは『可愛い』のイメージと結び付かない。

 もっとも、ジャスミンの言うことを鵜呑みにするわけにはいかないけれど。


「ほら、見えてきたよ」


 ラウラの指差した先には、駅舎と言うよりはただの休憩所にしか見えない、レンガの壁に囲まれた小さな小屋があった。


「マジか……」


 壁と屋根は在るものの、それだけだ。

 列車に乗りこむ為に作られた石の段がホームのようになっている。


(そう言えば俺も茉莉花も、前世の最期は電車に……)


 なんで今まで忘れていたんだ、と思う光景が脳裏に甦る。

 血を滴らせながら茉莉花を巻き込んで落ちたホーム。けたたましい汽笛の音。

 思い出しただけで、あの時刺された腹が痛む気がした。


「大丈夫かい?」


 顔色の悪くなった俺にラウラが声をかけてくる。

 まさか、殺されたときのことを思い出したとは言えず、無言で頷いて肯定するしかない。


「ドゥーンさま! 来ましたよー」


 ジャスミンの無邪気な声。

 この女は死んだときの事を忘れているのかと思うくらい、平然とホームに立っている。

 汽笛を鳴らしホームへと入ってきた列車は、蒸気機関車に似ていた。


 列車が止まり、ドアが開く。

 と言っても、元の世界のように電気があるわけではないので手動だ。

 つまり、列車からドアを開けて人が降りてきた。

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