俺とヤンデレと枢機卿2
人形のように整った顔。大きな瞳。
俺よりもいくつか年下に見える少女は、にっこりと微笑む。
身に纏っている法衣は深紅。つまり……。
「ロベルタ枢機卿?」
「アルメリアさま?」
ついさっきまで話していた、噂の枢機卿……その人だった。
赤い法衣から、枢機卿クラスの可能性を考えていた俺だが、まさか彼女がアルメリア・リラ・ロベルタ枢機卿とは。
若い女性だとは思っていたけれど、まさか少女だとは思わなかった。
教皇聖下の異母妹とは言え、少女枢機卿って大丈夫なのか? 色々な意味で。
「クレイエル司教、そして聖女よ。ご苦労である」
少女枢機卿……アルメリアはにっと勝ち気な笑みを作り、ラウラとジャスミンに労いの言葉をかけた。
そして、次に俺の方を見る。
「ドゥーン・アントラット。そなたも無事で何よりだ」
初めて会ったはずなのに、どこかで会ったことがあるような……そんな不思議な感覚を抱く。
「わたしは、アルメリア。聖教会の枢機卿、アルメリア・リラ・ロベルタである」
ジャスミンが『お人形さんみたいで可愛い』といっていたのがわかったが、やや古めかしい口調が似合わない。
枢機卿という立場上、偉そうに振る舞っているだけなのか。それとも……。
「ロベルタ枢機卿は、何故ここに?」
俺が悩んでいると、ラウラがアルメリアに声をかける。当然の疑問だった。
枢機卿クラスの聖職者が付き人もなく出歩くのは珍しい。
アルメリアが答えようと口を開く前に、ジャスミンがナイフを鞘から引き抜いた。
嫌な予感が背筋を駆け抜ける。
ジャスミンの瞳は先程までと違い、虚ろで光を通していない。
彼女はそのまま、ゆっくりとナイフを振り上げる。
(――殺されるっ!?)
俺は思わず目を瞑った。




