表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神なき世界の創り方  作者: 秋源斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/61

第40話 地図

G2の十一月が始まった。


 ユイは田代の部隊とともに、群馬の前線区域を南に移動していた。神徒連盟の支配域が少し南に広がりつつあった。それに合わせた前線の再編だった。


 新しい拠点は山の中腹にある廃屋を改装したものだった。五人が寝るには狭かったが十分に使えた。窓から南の山が見えた。澄んだ十一月の空気の中に、遠くの稜線がくっきりと見えた。


田代は拠点に着いた翌日、地図を広げた。


「この辺りの地形を頭に入れておけ。どこが開けていて、どこが狭いか。空から見た時の目印になるものを確認しておけ」


ユイは地図を見た。等高線が密だった。複雑な地形だった。


「一つ聞いていいですか」


「何だ」


「空から見る時と、地図で見る時で感覚が違います。地図だと平面なので実際の高さのイメージが合わなくて」


田代は少し考えてから言った。「そうだな、翼を出して上空から確認してこい。石川を連れて行け。往復三十分。遠くには行くなよ」


「はい。わかりました」


 石川と二人で外に出た。翼を出した。出力を抑えて低く上がって止まった。


地形が見えた。


 地図とは違う見え方だった。等高線の密な場所は切り立った斜面だった。広いように見えた平地は、実際には木が密に生えていて視界が遮られていた。西側の稜線は、空から見ると予想より長く伸びていた。


石川が隣で同じように地形を見ていた。


「覚えられたか」


「はい。西の稜線が長くて、南西の沢に狭い道があります。東側は低木が多くて視界が悪いです」


「東から来られた時が一番難しい。覚えておけ」


二人で降りた。


 拠点に戻って、ユイは地図にメモを書き込んだ。高さのイメージ、視界が悪い方向、逃げ道になる地形。


 田代は何も言わなかったが、書き込んでいるのを見て「それでいい」と一言言った。


その日の午後、任務が来た。


 西の稜線沿いでテクノフォースの偵察ドローンが複数確認された。部隊が後に続く可能性があった。ドローンを追い払うか、電子的に無効化する必要があった。田代の部隊が対処に向かった。


 西の稜線に向かった。翼を使ってゆっくり山道を十分かけて登った。稜線に出た。南の空が広かった。そこに三基の小型ドローンが飛んでいた。静かな羽音をたてて、ゆっくり旋回していた。索敵タイプのドローンだった。


「壊しますか?」とユイは聞いた。


「できれば一基は生かしたまま回収したい。破壊して落としてしまえば、部隊が来る理由が増える」


田代は部隊員の一人に指示した。


「自然に落下したように見せる。直接破壊せず、ドローンの飛行ユニット部分を狙え」


部隊員が光弾を鋭く絞った。ドローンに直接当ててしまった。ドローンの一基が爆発した。


残り二基が反応した。旋回方向が変わった。こちらに向いた。


「見つかった」とユイは言った。


「上がれ。出来るだけ壊すな」


翼を広げた。石川も上がった。


 ドローンの一基が距離を詰めてきた。カメラが正面にあった。撮影している。ユイは翼で急加速して、ドローンの死角に出た。翼を大きく広げた。ドローンが止まった。


 旋回方向を変えようとした。ユイは追った。カメラが反転する前に飛行ユニットを破壊した。


石川がもう一基に向かっていた。同じように死角に出て、飛行ユニットを破壊した。

一分後、二基とも直接破壊せず、飛行ユニット失ったため制御できずに林に落下していった。


「あの二基は」


「林に落ちた。回収する」


 田代が林の中に入って、落ちたドローンを拾い上げた。損傷していた。データを確認した。


「クソ、記録は消えてしまったか」


「部隊は来ますか」と部隊員が聞いた。


「来ないことを祈ろう。ドローンの通信が途切れたことは向こうもわかっている。何があったか確認しようとするか、別のルートを探すか。どちらか」


「どちらだと思いますか」とユイは聞いた。


田代は少し間を置いた。


「別のルートにするだろう。ここが抑えられていることは明らかだ。無駄な正面衝突はしない。それがテクノフォースのやり方だ」


 田代の読みは正確なことが多かった。ユイはそれを見てきてた。感情で判断しない。状況と相手の論理から判断する。それが田代の動き方だった。


「撤収する」


帰り道、石川がユイに言った。


「さっきの判断。追い払う前に田代に確認を取ったのは正しかった」


「なぜですか」


「直接壊すことと狙って壊すことは違う。破壊することそのものが目的か、破壊した後が目的かということだ。どちらを選ぶかで、この後の展開が変わる。自分で判断できることと、上に確認することを区別しておけ」


ユイはその言葉を頭の中に入れた。


 夜、拠点に戻ってから、ユイは地図に今日の情報を書き込んだ。ドローンが来た方向、田代が「別のルートを探す」と言った根拠になる地形など。今日得た情報をまとめた。


地図が少しずつ埋まっていった。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

感想や評価をいただけると励みになります。

ブックマークもしていただけると幸いです。

今後も更新していきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ