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第五話 その79 選ばなかった選択肢は無いのと同じ

「いや、あるお!そう命じられて散っていった若者達の気持ちはわしには分からんお…」

「だがその一方で、その裏で虚弱な身体を持って生まれ落ちてしまった者は…」

「特攻に行くことはおろか軍への入隊すら許されなかったと聞く…」


「……」


「お国のために戦う事すら出来ない落伍者…」

「命を惜しんだがためにわざと虚弱に生まれた卑怯者」

「…それはそれは酷い言われようだったと聞くお…」


「……」


「わしは…特攻に散った若者の悲壮な覚悟は理解できん」

「しかし、病弱に生まれ罵られた彼らの気持ちはよく分かるお!」

「わしもそうだったお。もっとも彼らほどの極限状態での話でないし、比べるのも失礼な話かもしれんが」

「前の職場で身体を壊したわしは週4日しか働けなくなった。もともと病弱で休みがちな上、4日だお」


「それは…それは仕方ない事だろ!」


「それは周りの…理解ある人の考え方だお、心無い奴らはそうじゃねえお」


「……」


「理解ある人、そうじゃない人、色々いるが絶対に言える事は」

「健康な奴は病弱な人間に同情や察する事は出来ても真に理解することは絶対にできないんだお!」


「だから今、そんな話!関係ないはずだ!」


「ある!」

「わしは悔しかった…みなが深夜までボロボロになるまで残業してる中、5時即帰宅」

「週4日だけの軽作業…」

「その分給料が安いから?」

「そういう問題じゃねえんだお!」

「戦うべき時に戦えない!皆が戦ってる時に自分は安全なところで…」

「それを繰り返す日々のうち自分でも自分は身体が弱いから仕方ない」

「皆とは違うんだ、そう言い聞かせていくうちにそういう状況に慣れきってしまう…」

「しまいには…自分だけ楽出来てある意味、良かったのかも~なーんて卑怯な考えも頭をめぐるようになるのさ…」


「だって、それは…お前…仕方ないだろう…そんなこと言っても…」


「いや、俺はそれが心底悔しかった!」

「男に生まれ落ちてこのザマ」

「丈夫な身体さえあれば!」

「こんな奴らに負けないのに!」

「心底呪った!」

「親も恨んだ!」

「いいや今でも恨んどるわ!」


「だから!いま関係ないだろ!頼む!諦めるな!」


「ある!」

「この世界に来て、こんな姿になりはしたが俺には戦えるだけの元気と能力があった!」

「つまり!俺は自分が望んだ健康さえあれば戦えるはずなのに!」

「そう思っていた状況に居るわけだ!」

「そして今日!それを証明する、証明できる日が、その日が来た!それだけの事だ!」


「だって、お前…それは俺が無闇に考えもなしに突っ込んで、それを追っかけて来てくれて…あのまま、あのままあの子と逃げていればこんな事には…」


「そうだな…確かにあの時点で俺にはあの子と逃げる選択肢があった」

「だがな!イズサン!」

「俺もおまえも若者じゃねえ!」

「人生に次は無いと痛いほど知ってるし!」

「選ばなかった選択肢は!最初からなかったのと同じ!」

「そういうことだ!お互い嫌と言うほど身に染みてるはずだ!」

「この結末には残念だが…再びやり直せても同じ選択をする!」

「なんて綺麗ごとを言うつもりはないがおまえを追っかけた時点でこういう結果も覚悟の上!」

「今さら気にすんじゃねえ!」

「満足はしてないが納得はしとる!」

「戦える身体さえあれば戦える男だって最期にそう思えたからな!」

「そして俺がそういう男だったって事!」

「おまえは!おまえだけは覚えていてくれ!」


(あかん…感動して同情して同意してやるべきシーンなのに…ちゅん助の奴、完全にこの状況に酔ってやがる…)

(どうする?どうすれば?)

こんばんはちゅん助です。今回もお読み頂き有難うございましたお。

ラノベのちゅん助は崇高なる自己犠牲の精神に酔ってしまってますが、それでも彼の抱えた思いは本物であると思ってあげてください。

そして現実のちゅん助はヤマダ電機の優待を消費すべく名古屋店に向かいましたがなんという事でしょう…日常品コーナーが廃止の方向の様で今後生活必需品は買えなくなりそう…世知辛い世の中だお…

であであ

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