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能力の名はサンドボックス  作者: soumamumu
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生徒指導室と時間表記

 食べ終わり、みんなで食器を戻すと教室に戻った。

えっとこのあとはクラス内でミーティングとかあればして、放課かな?

そう考えながら席につこうとするとオルドナー先生が入ってきた。

「セイラ・トールゲンさん、ミーティングが終わったら生徒指導室に行ってくださいね。」

そう、私に言うなりすぐに部屋を出ていった。

生徒指導室って?って不安な気持ちが顔に出てたのか、アリンが言った。

「ああ、セイラ、今週末に能力証配布でしょ?そのことについてだよ。今月の子はみんな先週、セイラか休んでる間に説明会があったからね。」

「なるほど、確かに何もわからない」

私がホッとして言うとアリンがニヤッとしてこぼす。

「まぁ、この大切な時期に怪我したことに対したお小言はあるかもしれないけどね」

「うー…」

私が唸りながら座るとニコニコしながらアリンも席につく。

黒板の前には焦げ茶の髪の男の子が立っている。

たしかクラス委員長みたいな役割を持ってる子で名前をシモン・リードだったかな。

シモンは黒板に夏季休みについて書いているところだった。

今は日本で言う7月で8月末から9月初旬に三週間ほど休みがある。

数字的には今は4の月で1の月は春の始まりの月だ。

夏の終わり頃には作物がたくさん取れるので収穫のために沢山の生徒が休まざるを得なくなるのと収穫祭があるので学校全体を休みにしているようだ。

「みんな、今回の収穫祭は学生としては最後なので演舞がある。演舞はセイラ、レノ、イルゼの三人だけど、他のみんなも演奏とサポートがあるからそれぞれ練習を欠かさずに。以上!」

えええ!?

今、私の名前言わなかった?

シモンが自分の席に戻る前にワッとみんなが席をたって部屋を去るもの集まってだべる者と別れていく。

呆然としてるとネイが声をかけてきた。

「大丈夫?セイラ?言うの忘れてたけど、演舞は先週決まったんだよ。でも、セイラは演舞も完璧だし、問題ないよね」

えええ!記憶にないと思ったらほんとうに知らされずに決まったのね。

収穫祭の演舞の練習は確かに記憶の片隅にやってた記憶があるけど…誠子が強く出てる今できるの?

踊りとか、授業でやってただけだけど?!

そう固まっているとネイがさらに言葉を繋げた。

「あ、生徒指導室いかなくていいの?」

そこではっとして帰れる準備をして、近づいてきたアリンとネイにまたねと言うと教室を出る。

生徒指導室の場所は嫌でも記憶していた。

何度か男子をこてんぱんにしてるからすごく怒られることはなくてもお小言をもらいに何度も訪れている場所だからだ。

毎回、女の子なのだからおしとやかに…と言われ続けてる。

私は迷うことなく辿り着き、ノックをする。

返事はない。

「失礼しまーす」

そっとドアをあけるがソファと机があるくらいで先生はいなかった。

ミーティングが早く終わりすぎたのだろう。

暇なので座って考えを巡らせる。

とりあえず、能力証はもらうのはいいとして、演舞だよなぁ。

頭の中で記憶をこじ開けて立ち上がり体を動かしてみる。


意外なことに体は動きを覚えてる。

あぁ、セイラは意外と努力家だったのか…。

そう思えるほど自然に踊れている。

馴染んだ動きだった。

演舞は学校に入ったすぐから授業の一環として週一くらいで入っているカリキュラムだ。

とは言っても演舞の舞だけでなく演舞の意味の理解や演奏、サポートなども全員すこしずつ勉強させられる。

演舞をずっと続けるのは身体能力とリズム感が高い子だけだ。

身体能力はセイラはピカ一だからなぁ。

まぁ、木から落ちたのは猿も木から落ちるということかな。

そんなことを考えながら演舞を一通り簡単に踊り終わった。

ーパチパチパチパチ…

その時、部屋の入口から拍手が聞こえた。

「今年の演舞は素晴らしいものになりそうですね」

恥ずかしい。

そう思いながら声の主を見る。

オルドナー先生じゃない。

たしかミレーナ・アスガルド先生だったかな。

髪は薄い茶色に瞳は濃いグリーン。

主に事務処理やマナーが得意で、女子の生徒指導もしてる。

担任は持っておらず、毎月の能力証配布の処理と校外とのやり取りをしているそうだ。

男子の生徒指導はオルドナー先生がしてる。

「そんな、…恐れ多いです」

恐縮しながら言うとアスガルド先生は少し目を丸くしていた。

「言葉遣いはともかく、あの、お転婆なセイラがそんな殊勝な様子を見せるとは…。木から落ちてやっと自分が女だということが身にしみてわかったんですかね。」

「えーと…」

アスガルド先生も鋭い人か…

まぁ、中身が少々変わっててもそう簡単に前世を思い出したとは思うまい。

「さ、お座りくださいな」

アスガルド先生は私が言い淀んでいると、ドアから見て左側のソファに座ると私に対して右側のソファに座るように促した。

それに従ってちょこんと座る。

この先生の前では以前のセイラも恐縮しっぱなしだった。

「さて、能力証の配布ですが、今週末、日付的には4の月、27の風の日に行います。」

この世界でも曜日のような概念はある。地球と同じような周期で季節がめぐり同じような環境だからか、ちゃんと7週あり、年365日だ。

曜日は光の日から始まり火・水・土・木・風・闇の日となる。

日本の木金土日が全然ちがってなんだかこんがらがりそうだ。

言語が違うからそういうものだと思えば行けるかな。

7日で一週間だし。

ただし月は違う。一月約28日だ。つまり4週で一月、13ヶ月プラス一日だ。

そのプラス一日は終わりと始まりの日とされている。

その日は正月みたいなものだけど、春のはじまりの日の前日がそれにあたる。

終わりと始まりの日は曜日はなく、全属性とされる。

どうやらその光・火・水・土・風・闇には魔力的な意味合いがあるらしい。

金がないのはなぜだろう。

陰陽五行思想とは違うんだな。

余談だが、一月28週だから、必ず日にちと曜日は一致する。

27日といえば風曜日なのだ。

そんなことを記憶を探りながら考えていると先生は木札をバックから取り出して差し出してきたので受け取った。

能力証の交付に必要な証明書のようなものだ。

へぇー、能力証の発行は学校が斡旋してるのか。

そこには『この者は5の月7の日闇曜日に満10歳を迎えるため能力証の交付を認める』と書かれていた。

私、闇曜日産まれなんだ…。

なんか複雑。

別に何曜日に生まれようと平民にとってはなんの変化もないけど…。

そういえば、親がよく誕生日の度に貴族じゃなくてよかったわねーって言ってくるけどなんでだろ。

「当日は二と半の鐘がなる頃に校門に来てください。」

大体一の鐘は朝6時で、二の鐘は朝8時で、二と半の鐘は9時だ。

学校は普段は二の鐘に始まり四の鐘で授業が終わる。

ちょっと遅めで大丈夫みたい。

と言っても馬車は乗合が一時間に一本程度しか走ってないからあまり寝坊するわけにはいかないけど。

「あなたが特に用意するものはないですが、役所の方は低級とはいえ貴族の方なのでなるべく身奇麗な服を着てきてください。まぁ、あなたは家柄的に問題ないでしょう。」

確かに、この学校に通う子の中では比較的まともな服装はしてるよね。

毎日お母様の用意した服を着てるだけだけど。

誠子もそうだけどセイラもあまり着飾るのが好きな子ではなかったみたい。

今は淡いクリーム色の綿っぽいシャツに紺色の膝より少し短いスカートにグレーの靴下と黒い革靴だ。

この組み合わせは多い。

というか、このセットはクローゼットを見たときに三着あった。

安くて清楚に見える服をチョイスしたとか言ってた気がする。

比較的大棚の商家なので、服飾関係の工房も取扱はあり、そこにお願いしたのだろう。

やんちゃをしてよく汚したりやぶいたりするから高いのはもったいなかったんだろうなぁ。

そんなことを考えていると、先生からの説明は終わったらしく、部屋を出るよう促された。

「あ、そうそう、休みの原因は木に登って頭を打ったことだそうですが、くれぐれも気をつけて過ごしてくださいね。」

そう最後に釘をさされると私は見送られながら廊下を歩いていった。



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