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能力の名はサンドボックス  作者: soumamumu
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アドル老師

アドル老師の家には客室がいくつかあってその二階の一室を自由に使って良いと言われ、くつろいでしまった。

ベッドはスプリングはないものの、中の詰め物がふんだんに使われてて非常に寝心地がいい。

鏡台もあるし、まるでビジネスホテルのような作りだった。

トイレと風呂は一階にひとつだけあったからどっちかって言うとペンションかな?

ライザが夕飯と朝食を作ってくれて堪能した。


和食ではないけれど日本で食べた食事に近い味付けだ。

きっと料理はできないなりに食べたい味の注文をつけてたらライザが工夫してそうなったのだろう。

夕飯は鶏肉をハーブと塩で焼いたものと、野菜のだしがしっかりあるスープに固いパン。

朝食は昨日の残りのスープとチーズとパンだ。

城の目の前に家を持たせてもらえた割には質素な食事だなと思ったけど。

味は今までで一番よかった。

というのも塩が結構しっかり効いていたからだ。

この世界というか、私の周りでは塩はちょっと貴重だったから使ってもそんなにたくさんはいれないのが普通だからなぁ。

それにハーブなんかも安いものではない。

この世界ではハーブやスパイスは特殊な効果があるとして、ポーションの材料として使われる。

貴族が買い占めていると言っても過言ではなく、一般市民は自家栽培できるわずかなものしか使わない。

うちでも花壇にローズマリーのような植物をメリーさんが育てていたのがちょっと使われるだけだ。

天候がいいときは多めに使うこともあるけど、時期が終わる前にほとんどは乾燥させ、粉にして保存している。

つまり普通の日はハーブやスパイスなんて使わない。

たぶん土地がない人は普通に食べやすい野菜を作るのに手一杯でハーブなんか作ってないし、商人は買ってきた食材を軽く塩を振って食べる程度ということだ。


素材の味そのものと言えば聞こえは言いが、日本から転生すると結構苦痛だ。


食事中には私とアドル老師はひたすらあれが食べたいよねーなんて話で盛り上がって重要な話ができなかったくらいだ。


そして、食後の一服をしていた。

私はライザに聞かれたのでガランのジュースが飲みたいと言うとすぐに持ってきてくれた。

やっぱりこの世界ではこれが一番美味しい。

いや、メリーの入れたお茶も美味しかったけど、どっちもガラン入りだし、ガランの力はすごいや。


「ゥオッホン…さて、これからのことだけど」

アドル老師は一つ咳払いをすると言葉を続けた。

「私が最初に日本人だったと思い出した時のように領主と契約することになるだろう。」

アドル老師はそこからアドル老師のことを教えてくれた。

老師は産まれたのは農家だったそうだ。

三の壁のすぐ外ですごく貧乏ってわけではないが質素な生活をしていたそうだ。

私と同じく闇曜日産まれらしい。

当時は能力証のようなものはなかったが、ある日突然日本の記憶が甦った。

下の兄弟と遊んでいる最中に転んで頭を軽く打ったらしい。

私のように何日も寝込むことはなかったが、記憶が甦ったことによってその日の夜は一晩うなされたらしい。


翌日には今の生活を楽しもうという前向きな気持ちになっていたらしいが。


前世は仕事は車の整備士だったらしい。

手先が器用で機械仕事が好きで周りの人の壊れたものをよく直してあげていたらしい。

それもあってか、特殊なアドル老師の力は「理解」と「組立」だ。

それは機械などだけでなく、魔法などにも適用されるらしく、通常の魔法や魔方陣や魔道具にも適用される。

個人の特殊能力ではなく精霊の助力のある魔法は大概使えるそうだ。

あとは理解にはその人の過去のあらましも見ることができる。

当人が心を許していればという条件があるので見られたくないところは見れないプライバシーに配慮した能力だ。

組立には細かくいろいろあるらしいが、魔方陣を使って金属なんかの無機物を好きな形に変形したりとかできる力もあるらしい。


アドル老師はその能力を使って魔道具を作ったりしていたら悪いやつに捕まりそうだったところここの領主の目にとまり、保護されたのだとか。

その後なんやかんやあって、王の目にも止まり一時期帝都にも住んでいたらしいが、親が寝たきりになったのをきっかけに戻ってきて、家を建てたそうだ。

親はこの家に数年住んだ後亡くなり、もう一緒に住んでた時間より長い時間をライザに手伝ってもらいながら暮らしているそうだ。

どうやら結婚はしなかったらしい。

前世の奥さんのことが忘れられないらしい。


そんなアドル老師はそこらで話を切ると私の状況について話した。


私の能力は下手するとやはり悪いやつに目をつけられかねないということだった。


立方体の中は他の人は魔法が基本使えない魔法無効結界だ。

その上、木をあっという間に伐採し栽培できるし、整地もできるし、なんならあっという間に建築できる。

これが賊の手にわたるとアジトなんかその場にすぐできてしまうし、城のすぐ近くに地下から侵入されてしまうかもしれないからだ。


そこまで考えてなかった。

だって地下に潜るのは危なそうだと思ってたし。


アドル老師はすぐにそれを理解したからずっと考えていたらしい。

エラン様はよくわかっていなかったようだが、私が靄で見えなくなったあたりでアドル老師と話し合っていたそうだ。

エラン様は私の保護者達とミレーナ先生に新たにしばらく預かりになるという手紙(木札だけど)を兵士を使って送り、私の話を領主である父親に伝えに行ったそうだ。

行ったと言っても家に戻ったというところだが、仕事が立て込んでいるような偉い人だから都合がつきにくいのかすでに翌朝になってしまった。


しばらく話してるともう時間は昼近くになった。三の鐘はとっくになっていたからおそらく11時近くだろう。

ライザがキッチンへ向かったすぐあとに半分の鐘がなった。

時の鐘は低い音が一の鐘で一回、二の鐘では二回と鳴り、高い音が半の鐘でそれぞれ一回ずつなる。

8の鐘の20時に鳴るとそれ以降は朝までならない。

つまり消灯は20時だ。

オイルランプはあるけど、もったいないしオイル燃やすとちょっと臭いしね。


話が落ち着いて、カップのお茶とジュースがすっかり空になっていたので老師は再び食べ物の話を始めた。


コーラが飲みたいんだと。


確かコーラってスパイスで作れたと思うけど、その材料が手に入るかわからないから希望を持たせられないので「飲みたいですねー」とだけ言っておいた。


誠子の母は料理がうまいというよりなんでも作りたがる人だったから、色々手伝ったし、私自身料理好きだったから家庭料理一通りはレシピ見ないでも作れる。

ただ、材料がなければできないけどね。

まず醤油や味噌がない。ニンニクや生姜もないし、塩や砂糖が高い。

どうしろと?

なんなら米もない。


日本人には辛い。


日本の食べ物を想像してたらお腹空いてきた。


ちょうどライザが食事ができたと呼びに来た。


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