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第25話・バレエ界のレジェンド・森下洋子氏

尊敬を込めて。




 私は何度か森下の踊りを見ています。白鳥やくるみ……令和二年の現在、七十超でも主役を踊る。立派だ。

 先日本当に久しぶりにチケットをとって観に行きました。題名はくるみ割り人形。この演目はどこのバレエ団でも、バレエ教室の発表会でもやるところが多い。

 森下所属の松山バレエ団では恒例化して毎年やっている。風物詩みたいになっていて、毎年チケットを取る人もいる。なんといっても松山バレエ団に森下洋子ありという周知があるから。これは凄いことです。

 今回のチラシを見ると、森下洋子の全身が一人でバーンとある。それだけ。

 普通ならば主役他主な出演者やゲストの写真入りが多いのに、画像は彼女一人。やはり名実と共にスターなのです。バレエを知らぬ人でもバレリーナと言えば森下洋子という認識あればこそこういうチラシになる。私はそれを見て感心します。

 チケットを提示して公演会場内に入ると生花スタンドがずらりと並んで華やか。提供先のバレエ教室とのつながりも一目瞭然ですが、バレエとまったく関係のない企業からのスタンドもあります。大企業を後援にしていてさすがです。

 くるみ割り人形は子供の出演もあるので、お友達なども呼ぶこともあって、大変にぎやかです。しかしバレエ公演にしては高齢者もやや多いように見える。往年の森下のファンではないかと思います。杖をついた人や車いす席も埋まっています。というか、私もチケットを取るとき、発売日を勘違いして一カ月遅れでネット購入したがよい席がほぼ売れていてびっくり。S席で一万三千円です。案の定当日は一階から三階まで満席でした。出演者は数多い。群舞では全員の目線が二階席上を向いていたので階上席のほうがいいかも。それにしても松山バレエ団すごいです。

 年を経るというのは過酷なもので激しい動きはさすがにセーブされていたが、森下はポワントをちゃんと履いて踊っていた。単純なピケターンもダブルを入れて踊る。松山バレエ団の現役ダンサーとして重圧もあるだろうが数十年前と変わらぬ笑顔で踊ることを楽しまれている。念入りなパントマイム、手の動きと表情で感情を表す。そのあたりは変わってない。ストーリー、あらすじに関しては独特のものがあり、「?」 だったが、帰宅後にパンフレットを読んで「あの振り付けはそういうわけか」 と思った。

 独立独歩な「松山版くるみ割り人形」 だった。それはそれでいいと思う。

 松山系列はコンクールに出場することはない。ローザンヌでも出ない。国内でも聞かない。競争は好ましくないという認識があるのだろうか。ある宮様のお嬢様方が松山にレッスンに通わせていたのは、そういったこともあるのではないかと推察しています。本部自体、人目につかぬ閑静な住宅街にあるし、大きなレッスン場のみならず、個室形式のレッスン場もある。私はあちらへの人脈も媒体もないので取材できぬが、松山バレエ団自体、日本になくてはならぬ貴重な存在だと崇めています。


 森下洋子の舞台は何度も観ています。動画でも無料で見ることができます。NHKでのバレエレッスンシリーズでも毎週彼女は出ていました。それをUPしてくださる人がいて懐かしいなあと感謝して視聴している。いいなあ、松山バレエ団!

 三十代のころのキトリを見たが、足強い! キープ力半端ない! ギエムに負けてない。小柄な人のはずなのに、足の強さと正確なパで舞台を大きく見せることができている。

 こりゃ当時の世界中のバレエ団が彼女に踊ってほしがるのは当たり前です。ヨーロッパへ移住して踊る選択肢もあったろうに、日本限定の松山バレエ団にとどまったのはバレリーナとしてはもったいないような、逆に日本にいてくれて有り難いような。

 森下については無料動画があります。ご興味のある人はぜひご覧ください。私事ですがプロ作家になれたらバレエ関係の仕事もしたいという思いがあります。そのうちの一つが森下洋子に取材を申し込むこと。私は彼女の存在自体に創作のモチベーションをもらっています。大体バレエを始めたのも母親が森下洋子のようになってほしいと思ったからです。残念ながらそうはなれなかったけれど、バレエ好きになったのは森下洋子のおかげ! このエッセイを書くそもそものきっかけも森下洋子のおかげ! というわけで終わります。


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