第13話
「ミユ!」
考えるよりも先に声が口から溢れ出す。
枯れた状態で大声を出すのは今までしてこなかったから、思ったよりもしんどい。
ほんとに次から次へと起こることが多すぎる。
飲み込む時間すら与えてくれないし、
今の現実を信じることなんて到底できない。
けどたしかにミユのヘアピンがあった。
電車で聞いた会話が本当なら…もしかしたらミユは生きているかもしれない。
神様のいたずらかもしれないし、いる保証なんてどこにもない。
でも、もしこの神社の中にいるなら、聞こえているなら返事をしてほしい。
僕の声よ、頼むから届いてくれ。
僕はひたすらミユの名前を死ぬ気で叫び続けた。がミユの明るい高らかな返事が返ってくることはなかった。
あたりまえだ。
さっきまでこんな場所には誰もいなかったんだ。
隠れていたら出てきて驚かしているだろうから絶対にないし、墓参りをしていたのに故人がいきなり現れることも現実的にありえない。
いくらこの神社が不思議とはいえ、そんな事は花から期待はしていなかった。
けど心が痛む悪戯だ。
まるで、好きなおもちゃを親に取られた時みたいだ。
もう一人の僕の闇が僕をまた飲み込んでしまいそうだ。
「あぁ…」
僕は目元を手で覆い隠す。
同時に、耳に小指で栓をするように穴へ突っ込む。
声を出すことに必死で気を取られてすっかり盲目になっていた。(今の状態は盲目そのものだが)
さっきのわけのわからない光のせいで使い物になっていないことに。
耳の方はもう治ってきているが、
目に関しては光を眼にモロに受けてから、全く目を開いていない。
刺されたような感覚の中、シャッターを切るように何度か瞬きを繰り返す。
真っ黒に染まった景色にどんどん色を足していくように、さっきの破茶滅茶な景色が戻ってくる。
「やっぱここだよな。」
僕は大きなため息を吐く。




