第九話 行くぜ! 収穫!!
高校の時の友達に無類のトマト好きがいるから今度紹介しようかなと思います。
収穫の季節がやってきた。
私は前年よりも赤くて大きいものに育ったトマトを見て、いたく感動していた。
まあ色はバラつきは多少あるのだが、それでも2年目にしては上出来だろう。
私は鋏を使ってトマトを一個一個、丁寧に摘み取っていった。
カゴいっぱいに収まったトマトを今すぐ食べてもらいたい……とは思ったが、まず自分が食べてみないと宣伝のしようもない。
とりあえず一つ、櫛形にカットして食べてみた。
「じゃ……いただきます。」
パクッ、と一口食べてみた。
しかし。
「うーん……美味しいけど……甘さはちょっと弱いかな……普通の、って感じ……」
正直に言うと酸味が勝っていたのは事実だったが、甘さはカツン、というくらいで多少はする。
悪くはない、悪くはないのだが……フェミータで売るにはこれでは弱い。
「……でも自分で食べるより……まず売って評価を聞かないとな……」
でも売るのが何がいいかわからない私はとりあえず山にいるスパイアさんに相談することにしたのだった。
「ああ、なんだ、そんなことか。」
「そうなんですよ〜……」
と、かくかくしかじかでスパイアさんに事情を私は話した。
反応が薄い、ということはまだ売れないのか……と思っていたら意外な答えが返ってきた。
「スタンダードならぶっちゃけた話よぉ……そのままとジュースの両方で売ればいいんじゃねえか?」
「え? じゅ、ジュースですか??」
まさかのジュースときたか……スパイアさんはその意図を話す。
「トマトで一番味が分かれるのってのはよ……『そのままの味をどこまで引き出せるか』だからな。まあでも……村で売るくらいだったら大丈夫だろ? 俺はそのまま直売所に出店するからアレだが、『俺の弟子』が作ったってなったら買う奴も多いだろう。……で、そうなったらまずジュースを飲んでもらってからそのままのものを買わせるって寸法だ。最初に戻るが、ジュースにすればトマトの味をそのまま際限なく引き出せるからな。」
「な、なるほど……」
「売り出しには俺も着いてやるから任せとけ。あの道具屋で培ったろ? 接客のことを。」
「……え、ええ……スパイアさんが着いてくださるなら安心して取り組めますけども……」
「実際お前のトマトは普通すぎるんだ、良くも悪くも。……まあお前なりに工夫したって味なのはわかった。だがその『普通』ってのが……一般庶民には一番売れたりするもんなんだよ。お前のトマト以上だと、どうしても高値が付いちまうからな。」
普通か……そう聞いて落ち込む私だったが、これを見たスパイアさんは笑い飛ばす。
「なに、これから続けて行けばよぉ……俺よりもいいトマトが出来るさ。なんせ土の質自体はいいからな。……なんだったら種をやるよ。そんで……自分で育ててみろ。種から苗を作るまでの工程をな。」
「ハイ! ありがとうございます!!」
「おう……いい返事だ。それじゃ、早速準備すんぞ、ルナ。」
私たちは直売所に出品するためのジュース作りを開始したのだった。
既製品のトマトジュースって、塩も若干入ってたりするんですよね。
トマト100%のトマトジュースは絶対おいしいと思います。




