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第十話 私だけの武器

売ってレビューもらって、なのでマジでサクッと終わらせますが、中盤に差し掛かってるのでこっからテンポ早めます。

 私とスパイアさんは、市場で私が作ったトマトとそのジュースを売り出すための準備をしていた。


櫛形に切ったトマトを手動ミキサーの中にぶち込み、持ち手を引っ張り、紐の引力で回転刃を回していく。


ブイーン、バリュルルルル!!


私が引っ張っていくたびにトマトが次々と果汁となって潰れていく。


あくまでも試飲用なので多くは作らない。


何故なら販売のメインはトマト本体なのだから。


トマト果汁100%のトマトジュースの完成品を飲んでみる。


生で食べた時とは比べものにならないくらい、酸っぱさが消えていて、後味がスッキリしていた。


これはいけるぞ、私はそう確信していた。


作ったトマトジュースを大きめの容器に入れ、氷を入れた箱の中で一晩寝かせることにした。


何せこの暑い時期だ、腐らせるのだけは避けねば。


とりあえず直売所の分をスパイアさんに預けておいて、私は帰宅した。



 翌日。


私たちは直売所に立っていた。


私が客引きをし、トマトジュースの試飲を道ゆく人に促していく。


反応は、というと、なかなか上々だ。


スパイアさんが顔を利かせているのも功を奏したのだろうか、トマトを次々と買っていくお客さん達。


割と普通の値段で価格以上の味を出せるトマトなのだ、買わない道理はないだろう。


2時間もすれば、あっという間に私の作ったトマトはもう完売してしまっていたのだった。



 「凄い………あっという間に……」


私は驚きを隠せないでいる。


何せ凄い勢いでトマトが減っていたのだ、苗も大量に購入した甲斐はあったのだろうが、300個ものトマトが2時間で()()()()()()なのだ、販売の手法とは兎にも角にも恐ろしい物だと実感した。


「まあいいじゃねえか、ルナ。売れねえよりはマシだ。今は俺の名を借りておけ。その内お前はフェミータでも販売できるようになるさ。」


「……はい! ありがとうございました!!」


本当にスパイアさんには感謝してもしきれない。


ただ、懸念はあった。


また、ヴァルディアに行って出稼ぎをするのか……と。


もう貧民街(スラム)は懲り懲りだ……私はそう考えながら片付けをしていった。



 一方その頃、フェミータ王国王城では。


ラヴィオが右大臣に詰め寄っていた。


「ルフィア・ヴィスパーダの()()()()調()()を……お願いできませんか。」


どうやらラヴィオは私の知らないところで私のために動いていたようだった。


「ラヴィオ様……いくら貴方様の御頼みでもそれはできませぬ。もう判決は覆らないのですよ?」


「それは百も承知です、右大臣……ですが私は……彼女が無罪だと信じています。精神的に未熟なルフィアが……そう易々と国家転覆を謀れるものでしょうか……? 私はとてもそうには思えない。おそらく裏に、ルフィアに()()()()()()()()()()()()()()がいるはずです。」


「……かしこまりました。国王様のお耳にも念のため……入れておきまする。」


「右大臣。感謝いたします。」


そういってラヴィオは右大臣の元を去った。



 フェミータが裏で事態が動こうとしていたその時の私は、帰路に着きながら考え事をしていた。


(私だけの武器さえあれば……フェミータでも売れるくらいのトマトは作れると思うんだけどな……うーん……どんなトマトを作るかだよな……問題は……)


ともかく来年が勝負になると私は踏み、今は英気を養うことにしたのだった。

次回から場面が切り替わります。

事件の再調査、怒涛の展開を用意していますので、ご刮目ください。

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