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「犯罪を犯した者に刑死を与えるだけが、処罰だとお考えですか?ならば、それは違う。」
リュユージュはベネディクトを凝視したまま、言い放った。
「場合によっては、『生』は『死』よりも辛くて苦しい罰に成り得るのです。」
淡々とした口調で彼は言葉を続ける。
「生きたがっている者を殺すのと同様に、死にたがっている者を生かすのも、充分な贖罪と呼べるでしょう?」
他人の生命を冒涜する事に僅か程の躊躇も慈悲の無いその態度は、正に死神そのものだった。
「将軍。」
リュユージュは暫しの沈黙を破ると、激しい感情が滾った瞳をベネディクトに向ける。
「僕はこの命尽きる瞬間まで、貴女の尊命を拝し、貴女の期待に応え、貴女に忠誠を誓う。」
彼の口から、まるで懇願するかの様な言葉が漏れた。
「貴女が僕の…、全てだ。」
初めての感情の吐露に戸惑いを隠せなかったのはリュユージュ当人ではなく、ベネディクトの方だった。
乱されたその心は、不本意にも彼女の瞳には明瞭に表れ出ていた。
ベネディクトのその心情を悟ったリュユージュは、素早く踵を返す。
「僕は貴女に仇なす事など、何一つしない。絶対に。」
排斥された現実によって悲痛に歪んだ心情を悟られまいと、彼は背中を向けた。
「この世界に何が起きようとも、僕は貴女の為だけに生きる。」
微かに震えた声で静かにそう言い置くと、リュユージュは大聖堂を後にした。
━━私の罪…。それは、この生命を持ってしても決して贖う事は出来ないわ。
ベネディクトは膝を折ると、神に祈りを捧げた。




