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(ファーブラ・フィクタイズム4)【エーウェントゥス・アウディーティオ】プロローグ編  作者: 羽絶 与鎮果


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プロローグ編007/【藤里 眞宵(ふじさと まよい)】と猫

「みゃあみゃあみゃあ・・・」

 猫が鳴いている。

 【藤里(ふじさと) 眞宵(まよい)】は、

「どうしました猫さん?

 何かありましたか?」

 と聞いた。

 近くに居るカップルは、

「何、あの子?

 猫に話しかけてるわ」

「そうだね。

 ちょっと変わった子かもね?

 でも可愛いな」

「何、あんた?

 あんな子が好みなの?」

「いやいや。

 君の方が素敵だよ。

 ただ、ちょっと可愛い子だなって」

「あの子、変わり者って有名なのよ。

 今は猫に話しかけているけど、虫とか木とか、車とかにも話しかけたりしてんのよ。

 猫ならじゃれるって事で少しはわかるけど、虫とか木ってあり得なくない?

 ちょっとキモいよね?」

「そ、そうだね・・・

 変わった子かもね」

「可愛くないよね?」

「え?」

「あの子、可愛くないわよね?」

「う、うん・・・」

 とちょっとした言い争いになっていた。

 行動は変わっているが、かなり可愛い女の子。

 それが、【眞宵】だった。

 まるで道化師の様に行動する。

 ちょっと滑稽に映るがかまわず自分の思った様に行動する。

 不思議ちゃんと言われる事もしばしばある。

 だが、彼女の奇行をそのまま判断している者達は気付いていない。

 彼女は自分の目的を外したことはない。

 傍目には、おかしく映っていても、彼女の行動には間違いがない。

 例えば、この猫との会話。

 【眞宵】は依頼を受けて、この猫とは別の仔猫を探している。

 猫探しに猫を利用しているのだ。

 そして、猫と行動を共にして、猫の動きを観察し、猫から猫へ。

 また更なる猫へと行動を共にし、最終的に目的の仔猫へとたどり着いた。

 汚れてくすんでいるが、依頼にあった真っ白い猫を見つけると、

「貴女ですね?

 お父さん(飼い主の事)が探していましたよ。

 さぁ、私と一緒に帰りましょう。

 美味しいご飯を用意してくれている見たいですよ。

 帰ったらご馳走です。

 美味しいですよぉ~」

 と話しかけた。

 すると、その話がわかったのか、真っ白い仔猫は、

「みゃぁ・・・」

 と鳴きながら、【眞宵】の元にやって来た。

 【眞宵】は、仔猫を抱き、

「ちょっと汚れちゃっていますね。

 帰ったらお風呂に入りましょう」

 とつぶやいた。

 すると、仔猫は、言葉がわかったのか、

「みゃぁみゃぁ・・・」

 とちょっと暴れる。

 【眞宵】は、

「お風呂・・・

 苦手なんですね。

 それは失礼しました。

 でもこのままではばっちいですよ。

 少し我慢をしていただいてきれいきれいになりましょう。

 そしたらご褒美に美味しいご飯が待っていますから。

 お父さんもそうおっしゃっていましたよ」

 とまるで猫と言葉を交わしているかの様に話していた。

 ちょっと滑稽で、ちょっと不思議な女の子。

 それが、【眞宵】だった。

 【眞宵】は【迷い】とも読めるが自分の行動に一切迷いが無い。

 こうだと思ったら、不思議な行動と共に答えにたどり着く。

 その事を【吟侍】に評価され彼女もまた、後継者候補の1人に選ばれた。

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