プロローグ編049/【井上 笑媛(いのうえ えひめ)サイト0】/【置換仁術(ちかんじんじゅつ)】1
【笑媛】は復讐のためとは言え多くの者を殺害しようとしている。
そんな彼女は【芦柄 吟侍】の【後継者】として相応しいのか?
【主人公権】を渡してしまって良いのか?
と言う疑問がある。
確かに褒められた事をしている訳ではない彼女だが、それでも【吟侍】が【主人公権】を渡すだけの理由があった。
それは、【天傑】にとっての【ニナカノン・ジェニック】、
【写樂】にとっての【異能斬術】、
に当たる、【笑媛ルート】での【主人公権】を渡すための条件に理由がある。
それは彼女から生まれた【力】であり、彼女が譲渡しなければ、それは引き継がれない力なのだ。
その力の名は、【置換仁術】と言う医療の力である。
男の子が、
「う、うぅ・・・
うぇ・・・
ふぇ・・・」
と涙ぐんでいる。
そこを通りかかった、【笑媛】は、
「ぼく、どうしたの?
何かあったの?」
と聞く。
男の子は、
「お、お姉ちゃんが・・・
お姉ちゃんが・・・死んじゃう・・・
うわぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁん」
とぎゃん泣きした。
【笑媛】は、
「泣かないでぼく。
お姉ちゃんがなんとかしてあげるから。
貴方のお姉ちゃんの所に連れて行って・・・」
と慰めた。
男の子は、
「う、うん。
ぐすっ・・・ひっく、ひっく・・・
わかった・・・」
と言って泣きやんだ。
男の子は、公園のベンチで横たわっている男の子より少し年上の女の子の所に連れて行った。
女の子は、
「はぁ、はぁ・・・」
と息を荒くしている。
【笑媛】は、
(・・・見たところ、風邪って所ね。
大したことは無いわね。
とりあえず、プロレスにでもしておくか・・・
【置換仁術】/【プロレス置換】・・・)
と思った。
すると、
『赤コーナー(チャンピオンサイド)症状は風邪ぇ~ジャッカル風邪ぇ~』
と言う声が。
『青コーナー(挑戦者サイド)乙女なので体重は内緒ぉ~キューティー笑媛ぇ~』
と言う声もした。
まるでリングアナウンサーの様な感じで響き渡る。
青コーナーのリングサイドには、男の子がセコンドについている。
赤コーナーのリングサイドには苦しそうな女の子が寝ている。
男の子は、
「【キューティーお姉ちゃん】。
お願い。
お姉ちゃんを助けて」
と言った。
【笑媛】は、
「大丈夫よ。
単なる軽い風邪なんだから。
ちゃちゃっとスリーカウントとってやるから安心なさい」
と言って男の子の頭を撫でた。
カァ~ンとゴングが鳴る。
【ジャッカル風邪】対【キューティー笑媛】の試合が始まった。
【ジャッカル風邪】はドロップキックをしようとするが、それを【キューティー笑媛】がひらりとかわしつつ、捕まえて、流れるようにジャーマン・スープレックスでリングに叩きつける。
すかさず、チキンウィング・アームロックで【ジャッカル風邪】に関節技を掛ける。
【ジャッカル風邪】は、
『ぎ、ギブアップ・・・』
とギブアップコールをした。
【キューティー笑媛】は、
「よ、弱っ・・・
まだ技、2つじゃない。
もうギブアップ?
本当に大したことない風邪だったのね・・・
まぁ、勝ったから良いわ」
と勝利宣言した。
そして、【レフェリー】に腕を上げられた所で、また元のベンチの所に戻る。
【笑媛】は、女の子の額に左手で手を添え、
「もう、大丈夫よ。
お姉ちゃんの風邪は治ったわ。
後は栄養のあるものでもたべさせなさい。
良いわね」
と言った。
男の子は、
「うん、ありがとぉ~」
と喜んだ。
女の子は、
「すぅ~、すぅ~」
と穏やかな寝息を立てている。
【笑媛】は何をしたのか?
彼女は、【病気や怪我】を【擬人化】させて、【スポーツ】や【戦い】、【ゲーム】や【ギャンブル】、【冒険】などに【置換】して、勝負し、彼女が勝利したら完治させる事が出来ると言う非情に特殊な異能、【置換仁術】と言う力を使ったのだ。
勝てば良いが負ければ、それは彼女に返ってくる(その時、彼女自身に症状を移すか治療していた相手に戻すか彼女と治療していた相手で折半して症状を戻すかの三択となるが彼女自身には選べない)と言う非情に命がけの力でもある。
当然、【病や怪我】の状態が悪いほど、【敵】の【難易度】が上がってくる。
彼女では勝てない【病や怪我】も存在するかも知れないのだ。
本来、【置換仁術】の治療中の出来事は治療を受けた者は覚えていないのだが、今回の男の子と女の子の様に幼い子供の場合は稀に覚えている事もある。
不思議な体験をしたと思う事もあるのだ。
一般の人の場合、彼女が【左手】を患部(病気や傷のできている部分)に手をかざすと治るので、一部の人達の間では【奇跡の左手を持つ女優】と言われている。
ちなみに【主人公権】の譲渡は【右手】で行い、相手を破滅に追い込んでいるため、【奇跡の左手、悪夢の右手を持つ女優】と言う事になる。




