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第770話 法王国~道路工事~

 久々の生産系スキル発動です。

ロナンダル王国、王宮にて


「~というわけで、法王国へ道路工事専門家の派遣をよろしく頼むな」


「かしこまりました。父上」


 よし、仕事の一つは完了、次は……

 と思ったところで、対面に座るライナスから声がかかる。


「父上、長男のリベルトが成人(十五才)になりました」


「おお、それはめでたいことだな。もう、そんなになったのか……」


「ええ、そうですね。子供の成長は早いものです」


「めでたいのは間違いないが、お互い、年を取った感じをしてしまうよな。ははは」


「はは、そうですね。父上」


 ライナスの表情が少し真剣だ。ただ、成人式をするだけなら、

 こういう表情はしないよな。ああ、あれか……


「王族が成人すれば、王太子に就任可能ですよね?」


 ほら来た。


「……まあな」


 他ならぬライナス自身が十五才で王太子に就任してるんだから、分からないはずがない。まあ、その年で就任させたのは僕なんだけどね。体制維持のためにも跡継ぎは早く決めた方がいいと思ったんだ。


「それじゃ、成人式と王太子就任式を同時にやるのか?」


「はい、そうしようと思っています」


「……(ふ~む)」


「いかがでしょうか?」


 現在の心境ではっきり言えば、政治状況は極めて安定してるし、そこまで急ぐ必要はない気がするが、ライナスを十五才で王太子にした僕にそれを言う資格は無い。自分がして他人にするな、はできないよな。


 急ぐ必要はないが、早く決めて悪いこともない。どの道、ライナスの男の子はリベルトだけだから、何の障害もない。ここは素直に賛意を示しておくとしよう。


「まあ、本人が賛成するなら、いいんじゃないかな?」


「ええ、私と同じように、跡継ぎの教育を受けてますから、その点は心配ありません」


「そうか、なら、いいが……」


 用意周到というわけか、誰に似たんだか、ふふふ。現在の国王はライナスだ。ライナスが決め、それにリベルトが従うなら、先王の僕が反対する理由はまったくない。


 だが、少し言っておかないとな。


「ところで、ライナスよ」(キリッ)


「えっ、はい」


「息子を王太子にするのは構わないが、お前は()()()()、国王を続けるんだよな?」(ちょっと圧)


「えっ、ははは、当然ですよ。父上……」(汗)


「引退した僕ですら、実際は全然、引退した感じになってないんだから、お前が僕を差し置いて、楽隠居するのは許さんからな。むっ」


「……ははは、そ、それはないですよ。父上」


「やるなら、僕からお前へ引継ぎした時と同様、徐々にだぞ。まあ、最初は一部王領の引継ぎからだな。いいか、引継ぎは国家の一大事だ。これを疎かにしたら、国が傾いてしまうから、十分、注意するようにな」


「わかりました」


 ライナスが早く引継ぎたいのはよく分かる。ロナンダル王国の国王は絶対王政であり、権限が強いが、それは広大な王領(国王直轄領)が地盤にあるからだ。これこそ、強い王権の源泉だが、その分、そこそこ忙しい。


 この広い王領を管理するのは中々大変なんだよな。

 とにかく、ライナスとリベルトでうまく調整してもらいたいものだ。


 しかし、王太子就任式、と聞くと、どうしても、胸騒ぎがしてしまう。

 今はそんな不穏な動きはないだろうが、警備体制は厳重にしないとな。


 ※参考※ 第248話 王太子就任式


 さて、次だ。


――――

――――――


「ようやく法王国に出店できるんですね!」


「ああ、今後、連邦通貨の流通も増える予定だ」


「待ちくたびれましたが、これで胸のつかえが取れました」


 ミローネの声が明るい。法王国出店の件をずっと気にしていたようだな。


 ようやくミローネに出店要請する運びとなった。連邦に最近加盟したばかりの法王国だが、ギルフォード商会は出店してなかったからね。そもそも、法王国は大陸の商会はまったく出店してないし、教会の付属施設(売店)で、細々と日常品を扱っている程度だった。


「法王国で初の出店ですね! 気合が入ります!」


 ミローネが気負ってるので、少し水をかけておくか。


「ああ、初の出店だが、法王国だから生活日常品を中心にするように。それと……」


「分かってます。法王国らしく華美贅沢な商品は慎むようにします。教会の教義にも節制はありますからね」


 ※補足※ 七つの美徳(謙虚、節制、忍耐、感謝、慈善、勤勉、純潔)


「お? わかっているじゃないか」


「当然です。もう、何年も会長職にいますから」


 それと、あの商品の件も話しておくか。


「それで、受信機テレビだがな、先行して人が集まる場所に公報用に大型モニターを設置してるが、法王国は教育番組だけにする予定だ」


「えっ? 教育番組だけですか?」


「あの国はもともと娯楽が少ないし、世俗と距離を置いている。だから、混乱を招かないよう、教育番組だけにしようと思う。一応、教会の神学校はあるが、教育カリキュラムにムラがあるから、放送学園で均等にしたいと思うんだ」


 神学校は経典や過去の伝記等、書物を教え込んでいるので、読み書きはできるんだけど、計算が微妙なんだよな。まあ、教会に計算はいらないってことだったんだろうが、連邦に加盟した以上、一定の教育水準を確保したいんだよな。


 過去の教会が理系を避けたのはなんとなく分かる。金勘定から距離を置いたのもあるだろうが、理系の合理的な判断、論理的思考が教会の存在意義にぶつかると本能的に危惧したからかもしれない。要は愚民化政策だな。


 僕はみんなに賢くなってほしいから、

 理系、文系、バランスが取れた教育を推進したいのだ。

 

 思考という言葉は思うと考えるで成り立つが、

 思う(非論理・感情)、考える(論理・理屈)、どちらも大切だ。


 もし、思う(非論理・感情)だけになると恐ろしいことになる。そのいい例が中世の宗教裁判だ。ガリレオ・ガリレイは合理的な理由で地動説を唱えたのにも関わらず、異端審問にかけられて、有罪判決になったのは有名だ。彼は最後で自説を撤回したから、終身禁固の判決で済んだが、同じく地動説を唱えたジョルダーノ・ブルーノは自説を貫いたため、火刑に処せられてしまった。


 ジョルダーノ・ブルーノは処刑を宣告する執行官に対して「私よりも宣告を申し渡したあなたたちの方が真理の前に恐怖に震えているじゃないか」と言ったらしいが、中世は「考える」ことが制限され、「考える」ことも命がけだったようだ。魔女狩りといい本当に嫌な時代だ。ああいう世の中には絶対にしたくないね。


 おっと、今はミローネと話してる最中だった。


「それでは、法王国の件はサラと打ち合わせします」


「ああ、そうしてくれると助かる。彼女はすでにミア法王とも連絡を取り合っている」


 よし、サラへの説明をミローネがしてくれることになった。

 連邦放送局へ行く手間が省けたぞ。ふふふ。


 さて、次だ。


――――

――――――


法王国、法王城


「これを渡しておく」


 ザクッ! ザクッ! ザクッ!


 テーブルの上に硬貨がたくさん入った袋を置く。


「えええ! こ、これは!?」


 目の前に置かれた大金にリンクスが驚く。その様子に僕とミアが内心ニンマリする。ふふふ、こういう反応は面白いものだ。たぶん、こんな大金、見たこともないだろう。


「これは連邦通貨だ」


「す、すごい量ですね……」


「今後のインフラ工事資金として利用してくれ」


 農作業の場合、そこから採れる農作物で対価を支給できるが、道路工事の場合、それがないから、現金で対価を支給する必要がある。でも、それによって、通貨が普及すれば、物流が回るようになるから、生活は便利になるだろう。


 これで、道路工事の人と金は準備できたな。後は……


「そう言えば、リンクス司教、道路工事の材料、石材は入手できるのかな?」


「採石場がありますが、切り出して持ってくるだけで、年単位でかかりそうです」


 年単位か……それはちょっと時間がかかり過ぎるな。


「わかった。僕がここまで材料を運んでやろう。場所を教えてくれ」


「ええと、大変な量ですが……」


 すると、ミアが笑みを浮かべながら補足する。


「陛下なら、大丈夫ですよ。その気になれば、山一つだって持ってきますから」


「え……(呆然)」


 本当は収納共有してるミアだって、それぐらい可能だが、レベル1だと、部分収納に訓練を要するからな。岩の丸ごと収納は簡単だが、一部とか、整形してはテクニックがいるんだ。あれができるのはレベル2(分別分解可能)までいったレネアだな。 ※参考※ 第725話 レネアの魔法訓練


――――

――――――


法王国、とある採石場


「おお、いい岩場だな!」


 なだらかな白い丘陵だが、近くで見たら、岩が剥き出しになっている。法王国は土壌のせいで、荒地が多く、全体的に緑が少なかったが、石材は豊富なんだな。うん、いいじゃないか。


 よし、やるか。


「岩を【収納】!」


 目の前の大きな岩山が消える。


「あっ!」


 ありゃ、さっきのミアのセリフじゃないが、

 本当に山ごと、いっちゃったぞ。まあ、いいか。


「かなり大量に収納したが、僕が使う分もあるから、多めでいいか」


 このまま塊で渡しても大変だろうから、

 作業しやすいように、中で分解しておこう。


「【収納】内、分別分解!」


 材料を砂利(基礎材)と石材(表面材)で分けたら親切だよな。

 確かにこの作業を全部、手でやったら、年単位でかかる。


――――

――――――


「材料を【取出し】!」


 作業する人のことを考えて、道路の近くに、材料を【取出し】てゆく。一か所より、道路沿いに、分けた方がいいな。それに工具も置いていこう。僕の収納には様々な道具が一通り揃っている。


「材料を【取出し】!」 「次の場所に【転移】!」


 後はこれを繰り返すだけだ。



「【取出し】!」 「【転移】!」


「【取出し】!」 「【転移】!」


「【取出し】!」 「【転移】!」



 よし、転移しながら、道に沿って、どんどん材料と工具を置いていこう。

 これで、すぐ作業に入れるはずだ。


 しかし、よく見たら、道も凸凹だな……


 ええい、乗りかかった船だ。道を平らにしておこう!


「飛び出た部分の土を【収納】!」


「くぼんだ部分に土を【取出し】!」


 おお! 昔よりパワーも精度も上がってる!

 

 面白い! 面白い!


 でも、ちゃんと民の作業分は残しておかなきゃな。

 しかし、自分の工程分をこのまま、一人で黙々やるのも、なんか面白くないな。


 あっ! そうだ、そうしよう! うん、それがいい。良案を思い付いた。

 一のことをして、一を為すのは平凡だ。一石二鳥でいくぞ。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、評価、ブックマークをして頂けると大変有難いです。

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