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第514話 南北抗争11(決着?)

~テネシア視点~


 いきなり現れたそいつは、城ぐらいある大きな巨体、そして長く伸びた首が九つもある大蛇の姿、それに圧倒的なオーラ。こんな姿をした魔獣は一つしかない!



「間違いない! こいつはヒュドラだ!!」


魔法研究所には私も出入りしてるが、そこにあった

『魔物大全』(レネア・ロナンダル著)に載ってたぞ!



グオオオオオオ!!!



 ヒュドラは咆哮をあげると、九つの鎌首をゆらゆらもたげ、悠然と進みだした。明らかにここにいてはいけない存在だが、どこに向かっているんだ?


 え?


「聖帝国に向かうつもりか……?」


 状況から察するに、帝国が思いっきり魔力を集めて、召喚魔法でヒュドラを呼び、聖帝国へ向かわせるつもりなんだろう。これまでの散々、魔物を送り込んできたから、今更の話だが、今度の奴は今までとは桁が違う!


「帝国の最終兵器か!?」


取り敢えず、ここであいつを足止めしないとな。

少しは楽しめそうだ。ふふふ。


――――

――――――


~アレス視点~


 テネシアがエルメス帝国の上空をワイバーン軍団と飛行していたら、なんと大魔獣ヒュドラと遭遇したらしい。そして、それがこちらへ向かっているとのこと。


 念話を受けて、一人で行こうとしたら、イレーネも「お供します」とのこと。テネシアの報告によると、ヒュドラは巨体ではあるものの、鈍足であり、悠然と進んでいるらしい。だから、ヒュドラが中心部を出て、郊外から境界に行くあたりで待ち受けることにした。このあたりなら建物もなく被害も少ないだろうしな。



 ◇    ◇    ◇



グアアアアアア!


ガアアアアアア!


 

 目的地に到着すると、ワイバーン軍団がヒュドラを上空から取り囲み、それを九つの首が追い回す感じで迫力ある攻防を展開していた。ヒュドラは昔、映画で見たキングギドラから翼を失くして、首を九つにしたような感じ。蛇みたいに首が長いが、胴体は一つで、一応、手と足がついてるな。


「ほらほら、ここだよ! ここ!」


 ワイバーンと一緒になって、テネシアも上空を右に左に飛び回り、ヒュドラを攪乱している。



んん? ありゃ、楽しんでるな……



そう思ったところ


「テネシアさん、楽しそうですね」


イレーネも呟く。


 見た目は派手な戦いだし、ヒュドラと聞いて、緊張が走っていたが、テネシアとワイバーン軍団がヒュドラといい勝負をしていたので、少し毒気を抜かれてしまった。


「しかし、不思議だな……」


「どうしてですか?」


「いやさ、このヒュドラ、まったくブレス攻撃をしないよな」


「そう言えば……」


「ワイバーンが来た時もそうだったけど、無理やり召喚されただけなんだろうな」


「それでテネシアさんも手抜きしてるわけですね」


「そうだな。ワイバーンもヒュドラも口から火を吐く魔物だが、お互いに飛び道具を使っていない」


「どうしますか?」


「取り敢えず、双方が疲れるのを待とう」



 百体のワイバーンとヒュドラの攻防、視覚的にはなかなか迫力ある光景だが、お互いにじゃれ合っているだけなので、安心して見ていられる。こういうのを「プロレス」って言うんだろうか?


 両方とも人間の都合で勝手にこの世界に召喚された被害者みたいな者だから、相通じるところがあったのかもしれないな。



 ◇    ◇    ◇



しばらく、じゃれ合いが続いたが、双方が疲れた様子なので、頃合いだろう。



間に入り――



「よ――し、ここまでだ!」



【動物会話】を発動させて、ヒュドラに話かける。


「もう戦うのはやめよう」


「アア、ジブンモソウシタイ」


ほっ、良かった。これで戦闘終了だな。


「お前はどうしたいんだ?」


「ココニヨバレタガ、モトニモドリタイ」


「分かった。元の世界に戻してあげよう。【帰還】!」


一瞬でヒュドラがその場から消える。


一応、これで終了だが、敵さんはまだ魔物を召喚する元気があったんだな。


「今後も一々、魔物を召喚されて、こっちに送られるのも面倒だ」


召喚するのは、皇帝城の者だろう。


それなら……


前々からずっと考えていたが、アレを実施することに決めた。


 見たところ、エルメス帝国は人が流出して、既に国の体を為していないし、いつまでも皇帝ら一部の支配者に付き合う義理も道理もないだろう。


 よし! このまま皇帝城にいくぞ!



 ◇    ◇    ◇



三人で皇帝城の近くまで【飛行】したが、静まり返っている。


僕「ありゃ、城に人の気配が無いぞ」


テネシア「そうだろ? 気持ち悪いぐらい静かだ」


イレーネ「本当に人がいるんですかね?」


おそらく、既に皇帝とその側近ぐらいしか残っていないだろう。

これなら、あのスキルを使ってもいいな。


皇帝城に意識を集中させて、これを球状に取り囲むようにして――



<<「【逆結界】!!」>>



その瞬間、城の周囲をエネルギーが取り囲み、ボールのように包み込む。


「なんだ! これは!?」


城内にいた兵士達が慌てふためき、こちらへ銃撃してきたが――


バン! ガツ――ン!

バン! ガツ――ン!

バン! ガツ――ン!



「はは、無駄、無駄!」



すべて逆結界で、弾かれてる。


 この【逆結界】は内側から外側への攻撃を防ぐ結界であり、これに包囲された敵は外側へ一切の攻撃ができなくなる。それどころか、外にも出れないのだ。通常の【結界】の逆の効果だから、【逆結界】と呼んだ。


 敵を無力化するために僕が考えたスキルだが、【結界】を【加工】により反転させたものだ。これで皇帝城は外と隔離され、半ば封印された状態となった。外からは攻撃可能だが、内からは攻撃不可。出ることもできない。


しかし、一つだけ出る手段がある。それは――


『拡声器』を使い、皇帝城に声をかける。


<<「お前達は完全に隔離された。外に攻撃することはできないし、外に出ることもできない。どうしても出たいなら一つだけ方法がある。それは聖帝国への敵意を無くすことだ!」>>


 恐らく、多くの者は出れるようになるだろう。但し、皇帝と魔賢者の二人は厳しそうだな。僕への敵意で凝り固まっている。だから最終体に、あの二人だけ閉じ込めておけば、平和が保てそうだ。


僕「ふぅ~これで終わった……よな?」

テネシア「う~ん、どうだろ?」

イレーネ「取り敢えず、様子見ですね」


 これで長く続いた帝国との攻防もひとまず決着(?)がついたな。その直後、保護領とメス地方も正式に聖帝国領へと編入し、大陸全土が聖帝国の統治領土となった。また、大陸の名称もエルメス大陸から、ルカレシア大陸へと正式に改めた。


 皇帝城だけは【逆結界】を多重に張って、牢獄状態にしたが、聖帝国への敵意さえ無くなれば出れるんだから、かなり温情をかけた方だと思う。定期的に食料も供給するしね。


さて、城内の者が改心するのを待つかな。(あの二人は無理だろうが)



※ルカレシア大陸の概要※


      【北】

   亜人地域(ルカレシア地方)ルカレシア聖帝国(都)

   人間地域(ルーラス地方)ルカレシア聖帝国

【西】人間地域(ガレシア地方)ルカレシア聖帝国【東】

   人間地域(バレシア地方)ルカレシア聖帝国

   人間地域(バルン地方)ルカレシア聖帝国

   人間地域(メス地方)ルカレシア聖帝国←★大陸制覇!

      【南】


※補足※

メス地方にある皇帝城は【逆結界】により、旧支配者を

閉じ込めている。外へ攻撃できないし、外へ出ることもできない。

但し、聖帝国への敵意が無くなれば、脱出可能。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、評価、ブックマークをして頂けると大変有難いです。

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