第36話 海賊退治
冒険者ギルドで依頼書を受け取り、いつもの三人で海賊を討伐することにした。先日、牢に百人以上ぶち込んだが、取り調べの結果、海賊の協力者がいることが判明した。何で分かったかと言うと、奴らのアジトで海賊関係の書類が見つかったからだ。衛兵が本気を出せばやれるんだな。もっとも衛兵たちに後ろから三人でプレッシャーをかけていたのは言うまでもない。
衛兵「なんか島の地図がありますね」
僕「ん?(どこかで見たような)あっ!」
そう、この島の形、自分たちが開拓してるあの島だ……外周は確認したんだけど、見落としかな。島の反対側だろうか、あのあたりは入江が入り組んで見づらかったしな……
衛兵「こっちの地図には島に印がついてます」
僕「……」
やはり思ったとおり、島の反対側だ。衛兵がいたので、余計な話はしなかった。
ちなみに今回のアジト摘発で芋づる式に、他のアジトもつぶした。密輸が多かったが、こんな連中がいたら、港町の治安が悪くなるのは当然だ。最終的な逮捕者は二百人以上にのぼりそうで、牢屋を増設中だ。彼らの利用法も検討せねば。
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<島の反対側・海岸沿い>
僕「見落としてたな」
イレーネ「あんな入り江の隙間じゃ、見つけにくいですよね」
テネシア「どうする、乗り込むか?」
いつもの三人で岸壁から覗きこんでいるが、入江の隙間に大きな穴があり、不自然に見えた。
僕「あそこなら遠方から死角になって見つからないし、隠れ家には絶好な場所だろう」
テネシア「じゃあ、すぐ行くか?」
僕「乗り込んでもいいが、ボスに逃げられたら面倒だ」
イレーネ「どうしましょう?」
僕「そうだ、【千里眼】スキルで確認しよう」
洞穴に意識を集中すると、頭に映像が見えてきた。中に入るとずっと奥へ続いてる。そして……
「中に海賊船が見えた! やはり海賊のアジトだ。ここは!」
もっと奥が見えるかな。松明が見えた。もっと先は……人がいる。その先は……
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穴倉のような場所で暗くて時間がかかったが、アジトの全容がつかめた。百人ほどが五か所に分かれて潜んでいる。そのうち、一番いい部屋があったので、そこがボス部屋だろう。雑魚を倒すのは簡単だが、ボスを逃がさないようにしないとな。とりあえずボス部屋をマーキングしとこう。
「主、どうだった」
「海賊は百人ぐらい、五か所に分かれて潜んでいる。ボス部屋は分かった。ただしボスの顔が不明だな」
「とりあえず全員捕まえるしかなさそうですね」
「入口は海側だけか?」
「入口は海側だけしか確認できなかったけど、陸側も完全否定できないな……」
「とりあえず入口が海側だけという前提で動きましょうか」
「……そうだな。よし、全員生け捕り、拘束スキル中心でいこう」
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「うわ――! 敵襲だ――! うぎゃ!」
「うわ!」
入口に転移後、門番の男二人をテネシアとイレーネが峰打ち、意識がなくなったころで、収納した。さあ、奥に入っていくぞ!
「ぎゃ!」
「うわっ!」
二人が凄いスピードで海賊達を倒していく。自分は後ろから収納しているだけだが、相変わらず、あの二人の動きは素早い。海賊は攻める時は勇ましく見えるかもしれないが、守りに入ると本当に弱いな。アジトが襲われるとは夢にも思わなかったんだろう。こういうのは他山の石にしないとな。
テネシア「主、この連中、本当に弱いな。訓練してないんじゃないか」
僕「まあ、海賊なんて、不摂生な生活だろうからね」
イレーネ「あちらのグループは酒を飲んで賭け事してましたよ」
テネシア「ほとんど雑魚ばかりだね」
しばらくして奥のボス部屋に到着した。千里眼の通りだ。しかし……
僕「誰もいないな」
テネシア「逃げたか?」
イレーネ「海側はありえないと思います」
三人でボス部屋を徹底的に潰しに調べる。
「あれっ!」
壁の置物をずらすと逃避用の穴が出てきた。
「行こう!」
頭が天井にぶつかりそうな狭い道でかがみながら走った。暗いのでテネシアが極小のファイヤーボールを前方に撃ちながら進んでくれた。こうすれば前がよく見えるし、罠避けにもなるだろう。しばらく進むと上り坂になっていて、地上の空気が感じ取れるようになってきた。
「主、出口だ」
「……ちょっと待って」
出口手前で止まり、【千里眼】スキルを使った。すると出口付近に剣を構えて待ち伏せしている男が見えた。
「出口で待ち伏せしている。敵の後方に転移して、返り討ちにしよう」
「【転移】!」
出口で待ち伏せしている男の後方に転移し、男が振り返る前に無力化。
「ぐげっ!」
テネシアの手刀が首筋に決まり、男は意識喪失で大の字。
「この男がボスかな」
「後で確認するよ、【収納】!」
「この周りを見てみますか」
「……そうだな」
念のため、出口周辺を三人で調べたが人影はなかった。たぶんこの男がボスだろう。それとせっかく海賊のアジトを壊滅したので、お宝を回収しておこう。
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「主~船の中に人はいなかったぞ~」
船が五隻あるな。結構いい船だ。頂くか。
「【収納】!」
結局、今回は海賊全員の身柄確保、お宝と船もゲットした。これは島の開発に相当役立つだろう。ちなみに今回は誘拐された子女はいなかった。さて事後処理だ。
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<山の館・地下二階の隔離部屋>
「お前が海賊のボスだな?」
「違う!」
最後に捕まえた男に尋問するが、なかなか口を割らない。しかし今回は別の隔離部屋でテネシアとイレーネが他の海賊達にも尋問してるので、辻褄合わせができるだろう。百人全員がシラを切ることは難しいしな。しかしこの隔離部屋は本当に便利だ。島の館でも作ろうかな。その前に子爵領地の牢屋増設が先か。
「アレス様、ちょっと……」
イレーネに呼ばれ、隔離部屋から出る。
「ボスを知ってるという男がいました……」
「そうか、連れてきてくれ」
男を連れ、部屋の外から確認させる。
「あれがボスか?」
「ボスだ!」
名前を聞いたら、討伐依頼書と一致した。すると男から話しかけられた。
「頼みがある」
「なんだ」
「俺は船乗りをしていたところ、海賊に襲われたが、操縦の腕を買われ、無理やり海賊に協力させられてきた」
「他にも仲間はいるのか?」
「自分を含め、全部で十人だ。助けてほしい」
捜査に協力してくれたし、船乗りは貴重だ。島の開発に協力することを条件に目こぼしするか。
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