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第201話 役所改革

王城内、ある役人の会話


「今日はどうする?」

「夕方まで町でブラブラして、夕方に戻るよ」

「どうせ大してすることないしな」

「俺たちは気楽な身分で良かったよな~」

「俺たちの仕事はいかに仕事をした振りをするか、だからな」

「真面目に仕事する奴は逆に迷惑だよな」

「本当だ。真面目な奴はいじめるに限るな」

「この前、真面目馬鹿な新人に“教育“してやったぜ」

「どんな教育だよ?」

「仕事はするんじゃない。するフリしろとね」

「くっくっく、そりゃ、いい!」

「だろ!」


~~~~~~~~


王城近くの居酒屋


「うへえ、昼間から飲む酒はうまいな~」

「本当に役人は最高だぜ~」

「俺たち役人は庶民の上の存在だからな」

「役人は俺たち貴族が占めてるんだ。平民を下に見るのは当然だ」

「俺たちは遊び、平民は働く。それが世のことわりよ」

「そうだな。うええ~い」


~~~~~~~~


王城、秘密地下室、隠密隊長ロルアスが報告する。


「陛下、役人達の偵察を続けましたが、一部の連中はほとんど仕事をしてません!」


「何っ、仕事をしてないだと!」


「はい、日常的に、サボタージュが横行しております。上も見て見ぬふりです」


「……」(何となく予想してたが)


「悪事に手を染めているか否かまでは確認しておりませんが、このままでは非常に不味いと思います……」


「……わかった。サボタージュが酷い部署、人間を徹底的に洗い出せ」


「はい、陛下がそう言われると思いまして、既に動いております。でき次第ご報告いたします」


 はあ~折角、他貴族領主を抑えたと思ったら、これかよ。彼らは悪党とまでは言わないが、あえて言えば『小悪党』だ。目に見える暴力をふるうわけではないが、領民が汗水たらして稼いだ税金から俸給をもらって生活してるのに、無責任にも遊び惚けている。簡単に言えば税金泥棒と言えよう。全部が全部そうではないだろうが、そういう輩が大勢いることは薄々、気づいていた。以前、この件を御前会議で大臣達に聞いたところ、なぜか必死になって、かばっていたからだ。かばえば、かばうほど怪しさがプンプンするんだよな。


 これまで、大きな悪党達を退治してきたが、そろそろ小悪党達にもメスを入れるか。


~~~~


<王城・御前会議>


 出席者は、僕、テネシア元帥、イレーネ宰相、八大臣(内務大臣、外交大臣、財政大臣、軍事大臣、農業大臣、土建大臣、学問大臣、福祉大臣)だ。


「現在、王城内にいる役人の多くが日常的にサボタージュをしているのを確認した。よって、大幅な人員削減を実施するつもりだ」


すると学問大臣が立ち上がり


「陛下、そのようなことはありません!皆、一生懸命、働いております!」


福祉大臣も立ち上がり


「いくら陛下でも、何の確証もなしに、そのようなことまかりなりません!」


そして内務大臣がおもむろに立ち上がり


「陛下は部下を信じられないのですか?私達はこんなに貴方様に尽くしておりますのに!」


 予想通り、蜂の巣をつついたように、反論が続出した。既得権益を守ろうと必死だなぁ。この後も大臣達からの否定的な発言が続いたが、終わるまで沈黙した。


「……それで、陛下、お聞きになってますでしょうか?我々としては役人の人員削減には断固反対です」


「…………」


「あの……陛下?」

「……以上で、大臣達の意見は終わりか?」

「はい、それで人員削減案は撤回して下さるのでしょうか?」


「…………」


 内務大臣がプレッシャーをかけて来た。どうやらこの人物が有力な既得権益の権化となっているようだ。実際の仕事方面では、今まで大して発言しなかったが、人員削減案にだけは異様に噛みついてきたから、なんとも分かりやすい。


「では私から、述べさせてもらう。現在、王国の領地は王領と私の側近領で九割を占めている。王領は私がほぼ管理してるのにも拘わらず、中央の役人の数がそのままというのは明らかに不合理だ」


「以前、不正や汚職のあった領地も王領以外ばかりだったが、これは役人の職務怠慢の証拠だろう。彼らがきちんと職務をこなしていれば、あそこまで酷くはならなかった」


「もし、人員削減しないと言うのであれば、王領と側近領からの納付を止めるが、それでも良いか?民の貴重な税金を無駄なことに費やしたくない」


 大臣、一同、青い顔になる。現在、王国の財政はほぼ王領からの納付でまかなっており、これが無くなるということは、役人組織が完全に崩壊することを意味しているからだ。


「……へ、陛下、ご、ご冗談を、ははは」


 この期に及んで学問大臣が愛想笑いを浮かべてきた。ここが勝負だな。よし!立ち上がる。


「これは、冗談などではない!!私は真剣に王国の将来を憂いている。もし役人の職務怠慢を大臣達がかばって見過ごすのなら、そなた達も同罪である!!」


 大きな声で一気にまくし立てた。大臣達は下を俯く。ここでテネシア元帥とイレーネ宰相もすかさず立ち上がり、大臣達に紙を配る。紙にはたくさんの氏名が書かれている。


「これは職務怠慢が酷かった人員のリストだ。来月末までに解任にするように!なお、クビになって職に困る者は私の領内で新たな仕事を紹介してもいいが、今迄のように楽はできないので、覚悟できる者に限りたい」


 ここまで強く言えたのは、隠密隊による事前調査を徹底的に実施したからだ。小悪党(解任リスト記載者)は本当に仕事をしておらず、彼らがいなくなっても、ほとんど困らないことを知っていたからだ。


すると内務大臣が鬼の形相で


「陛下!これは脅しではないですか!絶対に納得できません!」


ここは一歩も引くつもりはない。


「職務怠慢の税金泥棒にかける慈悲はない!もし反対するなら、ただちに内務大臣と配下の役人の俸給をストップするが、それでいいのか?」


 今日の会議を振り返ると、強く反対を主張したのは、内務大臣、学問大臣、福祉大臣だな。実はこの三つが他よりサボタージュが多かった。なので削減人員も多い。本当にわかりやすい。逆に反対が少なかったのは軍事大臣。ここは事実上、今までも改革してきたからね。財政大臣も金銭事情を知っているせいか、口数が少なかった。外務大臣はもともとの人員が少なかったので、これも強い反対なし。農業大臣、土建大臣は反対ではあるものの、僕に歯向かう感じはなし。


「横暴だ!こんなことは認められん!こんなことをしたら国が乱れる!陛下は国を混乱させたいのか!暴君だぁ!!」


 ついに内務大臣が大声で喚きだした。前のガロル王やザイス筆頭大臣あたりなら、大人の対応とかで、取り直して懐柔させるんだろうが、事前調査で、これがこの男の手口というのは把握済み。他の大臣達も表情が曇る。


すると、ついにテネシア元帥が


「そのあたりにしておけ!内務大臣!今の発言は陛下を愚弄したことになるぞ!これ以上、続けるなら、不敬罪で牢屋に入れることになるが、それでも良いのか―――!!」


テネシアの声が会議室に響き渡る。


 すると会議室にいた近衛兵が内務大臣を取り囲む。その数秒後、廊下にいた近衛兵も一斉に部屋に入り、大臣達を包囲した。大臣達の表情が硬直し、小刻みに震えだす。


緊迫の場面で意図的に落ち着いて話そう。緊張と緩和は交渉のツールだ。


「まあ、皆の者、落ち着け、突然のことで、大臣達も気持ちの整理が追い付かないのだろう。分かった。今回は私が譲歩・・して、三日の猶予を与えよう。その間に返事をするように。万一、期限までに返事がない場合は王命違反で、その大臣をやむなく解任するしかなくなるがな」


内務大臣はまだ何か言いたげだったが、近衛兵に包囲され、舌打ちするのだった。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、評価やブックマークをして頂けると大変有難いです。

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