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第2話 魔法訓練

 異世界一日目、いろいろすべきことはあるが、先ずは魔法スキルの確認だ。ここは異世界で何が起こるかまったく分からない。今後のためにも魔法を使いこなせるようにするのが先決だろう。確か【収納】と【転移】が初期から使用可能だったよな。本当に僕に使えるのかな? 少し心配だ。


 家の外に出ると、人里離れた森の中のようで、

 周りを気にせず魔法を使える環境みたいだ。


 目の前の木があるぞ。


 よし、あれを使おう。木に意識を向けて……


「【収納】!」


 その瞬間、目の前の木が根っこごと消える。


「おお! 凄い!」


 そして頭にイメージが浮かび、収納に木が1本入ったのが認識できる。あんな大きな物が入るのか!? あまりに簡単であっと言う間の出来事だったが、これは凄いな……


「ははは……」


 思わず笑いが出てしまう。これが笑わずにいられるだろうか?

 だって、この僕に魔法スキルが使えたんだよ! 


 大声で「うおおお!」と叫びたい衝動に駆られるが、とにかく、やるべき事をしよう。優先事項はスキルの確認と練習だ。下手に叫んで魔物でも来たら嫌だしね。


「【収納】!」「【収納】!」「【収納】!」


 気を良くして、練習がてら家の周りの木を十本ほど収納したが、

 まったく問題なく何回でもできる。しかも簡単にだ。ふふふ。


 ただ、木を抜いた場所に穴が開いてしまったので、何とかしないとな。これじゃ見っともないし、うっかり落ちそうだ。


 そうだ! 土を穴に移してみようか。

 

 少し歩いた場所に盛り土があったので、土を収納してと。


 そして穴に向かって


「【取出し】!」


 おお、土で穴が埋まった!


 少しはみ出たが、イメージでもっと上手に作業できそうだな。

 それにはもっと練習が必要だ。しばらく続けていこう。


 こんな感じで家の周りの木、土、石を【収納】【取出し】して綺麗に整えていったが、数時間後には平らな庭、木材、そして石垣ができあがった。石垣というと普通は大変な作業だろうが、スキルで山の石を移して重ねるだけなので、簡単かつ単純な作業だった。


 スキルを使えば、体力は必要無い。これは楽だ。まだ魔物等は出ていないが、いつ現れるとも限らないので、早めに石垣で防御壁を築いておいたのだ。



 ◇    ◇    ◇



家の前(屋外)


「よし、次は【転移】を試してみるか!」


 転移は目的地を強く思い浮かべることがポイントのよう。不思議とこういうことが自然と分かるのも初期設定なのだろう。この世界はまったく初めてなので、イメージするには一度でも見た場所でないと難しそうだな。


 それなら十メートルほど前の場所を目視して……


「【転移】!」


 一瞬で十メートル前の位置まで移動する。

 先程まで僕が目視した場所だ。今、そこにいる。


「うわおお、これは凄い!」 「面白い! 面白い!」


 やはりスキル発動は興奮する。


 この後、しばらく家の周りを転移で移動し、それから、屋根の上、家の中、と練習(転移)しまくった。これなら、森の調査もできそうだな。魔物が出たら、すぐ家に【転移】で戻れるし。


 じゃあ、行くか。


「【転移】!」


 まずは山の高い方に登ってみよう。道なき道だが、平地より木の枝の上が安全だと気付いて、枝から枝に転移していく。最初は十メートルぐらいだったが、視界の及ぶ遠方まで伸ばしていったら、百メートル、三百メートルとどんどんスピードが上がっていく。


「【転移】!」


「【転移】!」


「【転移】!」


「うわ、【転移】でどんどん前進できるぞ!」


 すでに山の頂上も見えてきたが、一足飛びに頂上に到着したら味気ないし、森の調査にもならないので、五百メートルぐらいの間隔で転移を繰り返していく。【転移】の移動はこれぐらいが丁度いいかな? 


 しかし、まったく疲れない。調査も兼ねて【転移】するが、三十分もしないうちに山の頂上に到着してしまった。やはりこのあたりは一面、森に覆われていて、人里はまったく無いようだ。


 本当に森(山)の中の一軒家にいたんだな。


「よし、一度、家に戻ろう。家に【転移】!」



 ◇    ◇    ◇



 一瞬で家の前に戻る。


「これはとんでもないスキルだな。今度は下に降りてみるか」


 下に向かって……


「【転移】!」


「【転移】!」


「【転移】!」


 先ほどと同じ要領で転移を繰り返すと、

 次第に平地が広がり、向こう側に人里が見えてくる。


「結構、人里から離れていたんだな……」


 今日のところはこれでいいだろう。

 二つの魔法スキルを確認して、興奮が冷めやらない。

 帰宅してクールダウンだ。



 ◇    ◇    ◇



 その晩、今日の出来事を振り返る。


【収納】は物を入れて【取出し】で出す。知らない者が見たら、物が消えて何もない場所に物が現れるように見えるだろう。しかも、一瞬かつ大量に【収納】【取出し】できる。いろいろ広範囲に使えそうだ。


【転移】も凄い。視覚に入った場所に一瞬で移動できる。そして、一度見た場所なら、次回からイメージして、その場所へ行ける。


 スキルを練習すると、余計にスキルの凄さを実感できるようになるし、スキルの凄さが分かると、さらに練習したくなる。うん、好循環だ。本当にワクワクが止まらない。


 こんな凄いスキルを与えて下さった神様(?)に感謝しないとな……

 最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、評価やブックマークをして頂けると大変有難いです。

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― 新着の感想 ―
>どんどんスピードが上がっていく。 ということは、この物語の転移は、超高速移動ってことなのかな?
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