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第1924話 アンコンシャス・バイアス 

 知ってる人は知っていて、知らない人は知らない、そんな言葉でしょうか。

 知らなくても不自由しませんが、知っておくと為になるかもしれません。

 タラン、ディオネとの話を終え、一人私室のソファでくつろぐ。二人ともルッキズムについての理解を深め、今後、教育現場で活かしてくれるだろう。教育者に説くと拡散してくれるので効率がいい。


 ルッキズムは新しい概念のように見えて、そんなことはまったくない。この言葉が使われだしたのは、この世界では最近のことだが、元々、外見いじりは大昔からあり、それを咎める教えはあった。


 人の外見を悪く言ってはいけない。


 これは外見に限らず、中身もそうだが、外見いじりを面白がって口にするのは精神性の低い人物であり、そういう人物は外見ばかり見るので、この教えが極めて有効だ。そして、これが防波堤にもなる。外見しか見ない人物は相手の中身を理解できず、やがて相手の中身まで悪く言うようになるからね。人格攻撃という形で。


 ルッキズムという新しい言葉を使うことにより、問題を浮き上がらせ、的を絞りやすくなるので、そうさせてもらった。これは各種ハラスメントもそう。昔から嫌がらせはあり、善くないこととされていた。


 だが、そういう場面で注意すると「ただの冗談だから」「コミュニケーションみたいなものだから」と胡麻化そうとする人がいるため、その際、「それは〇〇ハラスメントですよ」「ルッキズムですよ」と言えば、深刻さを伝えることができる。言語の力はこのように使うのだ。


 善悪、陰陽、苦楽、禍福の例にあるように、この世には二面性がある。

 問題についてもそう。


 問題があると言えば、問題があり、問題がないと言えば、問題がない。


 なので、賢者はこの両方を使い分け、使いこなす。

 一方使いでは、この世はうまく渡れない。


 賢者は、霊性進化に役立つことを問題化(課題化)し、そうでないことを問題化(課題化)しない。それに対し、愚者は、どうでもいいことを問題化し、肝心なことを問題化しない。やることなすことちぐはぐだ。

 

 何が問題か分からないのが愚者の愚者たる所以。彼らは問題が分からないので、問題がないものと思い違いし、余計な問題をこしらえてしまうのだ。それさえ彼らは無いものと都合よく解釈し、取り組むべき問題から逃げ続ける。そんなことをしても追いかけてくるのにね。 


 僕の後を引き継いだライナスや各国の王の努力の甲斐があり、道徳向上政策が進み、その下地があるから、この世界のハラスメントやルッキズムは大したことはないが、現世は浄水場であり、油断は禁物。


 悪いことをしたら注意し、また注意される環境にし、悪い人にとって居心地の悪い世界にしないとな。そうなれば、反射的に善い人にとって居心地のいい世界となる。


 霊界の仕組みについて最近分かったことだが、現世に来るのは低級霊界の上澄み(最上層)だけでなく、どうやら、その下の層もいるということだ。そう考えるとしっくりくる。低級霊界から来たと思われる人でも、相当な開きがあるからね。意地悪な気質があっても、それを自覚し、自信で恥ずかしいと考えている人もいれば、まったくそう考えず、他人に意地悪なことばかりして、愉悦に浸っている人もいる。


 なので、そういう人物にとって、ここはそれが許されず、嫌な世界にしたいのだ。低級霊界は現世のように効率的な修行はできないが、それでも、ゆっくりと上の層にあがることは可能。上澄みになってから、この世界に来てもらいたい。


 芥川龍之介は『蜘蛛の糸』で、地獄に堕ちた犍陀多かんだたが生前の善行により、仏様から慈悲を受け、天国行きのチャンスを与えられるシーンを書いたが、物語としては面白いものの、霊的真理の面から、そういうことは絶対に有り得ない。下の世界から上の世界へ行くには、現世を経過しなければならず、自らの力で這い上がるしかない。霊性進化に飛び級など存在しないのだ。一段一段、地道に上がるのみ。


 どういう訳があって、上澄みでない人が飛び級のように現世に転生してくるかは不明だが、ダンジョンに魔物が生まれるがごとく、世界にひずみのようなものがあって、そこから入り込んできたのかもしれない。本来、ヒトラーやルーズベルトやスターリンのような人物は、現世に生まれるべきではなかったが、世界に何らかのバグが起きて生まれてきたのかもしれない。


 こういう人物の転生を阻止することは不可能だが、仮に転生してきても、それに影響を受けない世界にしていくことは可能だ。『魔界転生』という映画では、最後に悪の首魁が主人公によって首を斬られても尚、禍々しく再度の転生を宣言していたが、まるっきり作り話(有り得ない話)とも思えない節がある。


 現世に対し強烈な恨みを抱き、それを現世で晴らしたいが為、

 無理矢理にでも世界を飛び越え、現世に転生してきたのかもしれない。


 結局のところ、こういう人物は現世を自分の王国にすることを望んでいる。だが、いくら本人がそうしたくても、周りが誰も協力しなければ、そうなることはない。僕らがすべきことは、こういう存在に同調しないことだ。悪が栄え試しなし。悪は必ずついえる。


 ヒトラーやルーズベルトやスターリンのような人物が転生してこないことを願うばかりだが、おそらく既に転生してるだろう。現在進行形で他国に威圧や軍事的行動をし、大国の指導者として好き放題してる人物が該当してる可能性がある。魔界転生のようなことがリアルで起きており、あの世界は大変だ……。


 この世界では、ハラスメントもルッキズムも無い世界を目指したい。それを無くそうと努めることが修行になるし、無くならない部分についても、それを乗り越えることが、また修行となる。


 ところでだ。この二つについてマイ図書館で調べているうちに、

 また別の言葉に目が付いた。


 それは“アンコンシャス・バイアス“だ。


 これは日本語で「無意識の偏見」「無意識の思い込み」と訳され、略して「アンコン」と呼ぶが、何かを見たり、聞いたり、感じたりしたとき等に、無意識に“こうだ”と思い込むことを意味する。ハラスメントとルッキズムに通じるところはあるが、全体的にもっとふわっとした概念だ。


 アンコンシャス・バイアスは「相手」に対するものもあれば、「自分自身」に対するもの、「モノ」に対するもの等もあり、日常や職場にあふれていて誰にでも起こり得ることだ。大抵の場合、過去の経験や見聞きしてきたことに影響を受けており、完全に無くすことは難しく、また、自分で中々気づきづらいのが特徴だ。


 アンコンシャス・バイアスはステレオタイプに近い現象であり、極端に固定された共通認識、例えば、漫画やアニメで出てくるような悪人のイメージ、血液型判断による典型的な性格特性なども事例となる。これらは物事を一面的に判断しようとするが、それを分かっていない人はミスリードされてしまう。


 ステレオタイプ的な歪んだ判断を、周りの人々に対して日常的に行うことは問題視されるが、それもアンコンシャス・バイアスの成せるわざ。例えば、白人は良い人で黒人は悪い人、子育てや家事は女性がして外に出て稼ぐのは男性がすること等、個人の経験上の物差しを元に、単純で紋切り型で根拠のない判断をしてしまう。こうした判断は無意識に行われ、判断した人は正しいと思い込んでいるため厄介だ。


 アンコンの事例を挙げよう。


 家庭

・女性は結婚によって、経済的に安定を得る方が良い

・共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ

・デートや食事のお金は男性が負担すべきだ


 職場

・育児期間中の女性は重要な仕事を担当すべきでない

・組織のリーダーは男性の方が向いている

・受付、接客・応対(お茶だしなど)は女性の仕事だ


 その他

・女性は感情的になりやすい

・女性は論理的に考えられない

・男性は気を遣う仕事やきめ細かな作業は向いていない


 無自覚なアンコンシャス・バイアス、特に「男らしさ・女らしさ」に関する思い込み(ジェンダーバイアス)は、固定的な性別役割分担を生み出し、それが社会構造にも反映され、生きづらさにつながる面がある。そして、それらが次の世代へ継承され続けると、さらに固定的な性別役割分担が助長される。


 アンコンシャス・バイアスは過去の経験や日々接する情報などから形成され、今日でも日常生活のさまざまな場面で発せられる。「男性/女性は、●●であるべきだ」「若者/高齢者は、▲▲な人ばかりだ」といった偏見・思い込みがその代表例だ。昔は高齢者が若者風の服装をしたり、女性がズボンを穿いたら、変な風に思われたが、これもアンコンによるもの。


 管理職や直属の上司がアンコンシャス・バイアスに囚われてしまうと、公正な人事評価が行えなくなる。例えば「大きなミスをした従業員はその後どんなに成功してもプラスの評価が得られない」「印象的な成果のみで能力を過大評価してしまう」といった現象が起こり得る。


 そうなれば、やがては人事評価に対する従業員の不満がたまり、モチベーションの低下や離職につながるだろう。また、アンコンシャス・バイアスは採用の場面でも悪影響を及ぼす。「子どもの発熱で男性従業員が早退するのはおかしい」「ゆとり世代は忍耐力がない」など、ネガティブなアンコンシャス・バイアス(ネガティビティバイアス)が原因で、職場の人間関係が悪化する


 代表的なアンコンシャス・バイアスの種類を挙げよう。


1.正常性バイアス


 危機的な状況下にあるにもかかわらず、都合の悪い情報やデータを「無視」「過小評価」することを指す。トラブルが起こっていても「大丈夫、問題ない」と油断し、対処が遅くなるところが正常性バイアスの問題点だ。


「いつも正常」「問題ない」と思い込んでいる人はこの世に多い。

 そのままでいい、ありのままでいい、何もしなくていい、ってね。


 すべて世は事も無し。

 耳触りの良い言葉だが、現実の世の中はそうなっていない。


2.アインシュテルング効果


 慣れ親しんだ考え方・視点に固執し、他の考え方や視点を認識しない、または無視してしまうことを指す。アインシュテルング効果が作用すると、新たなアイデアが生まれにくくなったり、優れた意見を軽視したりするなどの弊害が生じる。例えば、イレギュラーな事態が発生しても、マニュアル通りの対応から抜け出せないとか、過去の成功体験にこだわり過ぎてしまい、新しい方法を試そうとしないとかね。


3.確証バイアス


 自分の仮説や信念、価値観などの正しさを証明する情報ばかり集め、反証する情報や意見を「無視する」「集めようとしない」ことを指す。確証バイアスが作用すると、客観的・科学的な事実が否定されるため、誤った意思決定をする原因となる。これは自分にとって都合のいい情報ばかり集め、それを信じようとするチェリーピッキングと同義であろう。


 営業マンや広告主は物を売る際、良い情報だけ集め、それを客に伝え、買う気にさせようとするが、これも確証バイアスを利用した行為だ。賢明な消費者はそれを防ぐため、営業マンや広告主が宣伝する情報以外の情報も入手し、トータルで判断する。切り取りや一面の情報では正解は得られないからね。


4.ステレオタイプバイアス


 性別・年齢・国籍・職業といった属性ごとに特定の特徴がある、という固定観念によって判断することを指す。ステレオタイプバイアスが作用することにより、先入観によって判断を誤り、社会的に不適切な発言・態度を取る場合がある。例えば、外国人は自己主張が強くてマイペースな人ばかりだと思い込むとかね。初対面なのに「中卒? 何か問題起こしたの?」「あなた〇〇出身でしょ。あそこの人は頑固だからねぇ」「〇〇人、あの国の人は性に寛容って聞いてるよ」とか言うのもそう。


 人にはそれぞれ個性があるのに、そこより表面的なパッケージばかり

 見る人はかなりいる。こういう人がルッキズムに安易に走るのだろう。


5.慈悲的差別


 自分よりも立場が弱いと思う他者に対して、先回りして不要な配慮や気遣いをすることを指す。慈悲的差別により、他者の成長機会を無自覚に奪い、かえって傷つけるリスクがある。例えば、体力に問題がなくても「高齢者」や「女性」には重いものを一切持たせないとか、体調にまったく問題がないにもかかわらず「妊娠中」だからと残業を一切認めないとかね。


 可哀想に見える人を、状況をよく知らずに可哀想と決めつけ、

 本人に対し「可哀想」と言うことは余計なお世話になる可能性があり、

 不快に思われることさえあるだろう。


 助けない助け、というのがあるが、助けるようで助けてない、というものある。ミスマッチを防ぐためにも人助けには勉強が必要だ。助けたいという一心だけで、助けが成立しないのが現世の難しいところ。


6.ハロー効果


 特定の目立つ特徴を基に全ての評価が影響されてしまうことを指す。ハロー効果には「ポジティブハロー効果(優れた特徴によって評価がプラスに偏ること)」と「ネガティブハロー効果(劣った特徴によって評価がマイナスに偏ること)」の両面が存在する点が特徴だ。例えば、採用面接の場で、優れた学歴によって、実際には業務に直結しないにもかかわらず「仕事ができる人」と判断してしまうとか、中途採用で、大手企業出身というだけで全ての評価がプラスに傾いてしまうとかね。


7.集団同調性バイアス


 所属する集団の意見や価値観に無意識に合わせ、自分自身の意見や判断を抑えてしまう心理現象のこと。周囲に異論を唱えることを避け、多数派に同調ばかりしたら柔軟で多様な視点が失われてしまう。特にビジネスの場では少数意見が軽視され、イノベーションが生まれにくくなるリスクがある。社内会議で「みんながそう言うなら……」と自分の意見を言わずに合わせるとか、問題発生時に周囲が気にしないので、自分も気にしなくなってしまうとかね。災害発生に発動すると最悪の結果を招く。


8.コミットメントのエスカレーション


 過去の自分の意思決定を正当化しようとするあまり、その判断に固執し続けてしまう心理傾向を指す。たとえ損失が明らかである状況でも「ここまで投資したのだから」「途中で引くのは格好が悪い」といった思いが邪魔をし、適切に撤退できなくなるケースが見られる。赤字続きのプロジェクトに追加予算を投入し続けてしまう等がその例だ。


 やめるにやめられない。わかっちゃいるけどやめられない。

 それは業に囚われた人の姿でもある。


9.インポスター症候群


 自分の能力や実績を正当に評価できず、「自分には無理だ」「たまたま運が良かっただけだ」と思い込んでしまうこと。自分に自信が持てずに可能性を閉ざし、キャリアや成長のチャンスを逃す原因になる。


 自己肯定感の低い人に起こりやすいが、

 自己は絶対的に肯定していい存在だ。


 Cogito, ergo sum(コギト・エルゴ・スム)


 この言葉は「我思う、ゆえに我あり」と訳され、フランスの哲学者デカルトが「世界に確実なことは何一つない」と全てを疑った末にたどり着いた究極の答えだ。彼はすべてが嘘やまやかしかもしれないと疑った(方法的懐疑)が、それを考えている自分は、どうやっても、疑えない、否定できないことに気付いたのだ。


 考える=心や精神の働きがあること、であり、

 それこそが自己確認の基盤であり、存在証明となるものだ。


 自己の存在を否定できる者は何人たりとも存在しない。

 たとえ自己であっても、自己の存在を否定することはできない。

 そんなことをしたら自縄自縛により苦しむだけだ。

 修行と割り切るならアリだろうが、その修行は健全とはいえない。


 汝、自己の存在を悩むべからず。

 他のことは何を悩んでもいいが、これだけは悩まない方がいい。


 誰が何と言おうと自分は確実に100%存在している。

 この世にそれを否定できる者は存在せず、堂々と存在すればいい。

 他人から「お前は要らない」と言われても、戯言として聞き流せばいい。

 それで存在が揺らぐことは1ミリどころか1ナノもない。


 ※補足※

 1ナノメートルは1メートルの10億分の1に相当します。 


10.権威バイアス


 立場や肩書き、知名度の高い人の意見を必要以上に信用し、自分の判断を歪めてしまう心理現象のこと。地位のある人の意見を疑わずに受け入れることで、本来検討すべき視点を無視してしまい、誤った結論に至る恐れがある。


「偉い人が言ったから、その通りだ」と人は思いがちだが、他人の意見を参考にするのは良いとして、それを咀嚼せず、丸呑みにするのはまったくよろしくない。こういうことがなぜ起こるかというと、思考の怠惰に走るからだ。実は人にとって「考える」ことは一種の苦であり、人の持つ性分「楽したい」が作用すると、それを無自覚で避けようとすることが往々にしてあるのだ。


 本当に偉いと思っているなら、丸呑みせず、もっと深く知るため、咀嚼するものだ。それに僕が見たところ、偉い人であっても、人であるがゆえ、間違いはあるし、至らないところもある。一般の人と比べ、害より益が多いのは間違いないが、それでも害はあるし、益にしたって、そのまま丸呑みしたら、消化不良を起こしかねない。


 どんなに権威のある人の話であっても、デカルトを模範として疑ってかかった方がいい。疑うということは考えることであり、考えることは苦でもあるが、それが修行となる。最初に挙げた正常性バイアスも思考の怠惰により「いつも正常」「問題ない」とするものだからな。その心は修行を放棄して楽したいだけ。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、ブックマーク、評価をして頂けると大変有難いです。

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