第1838話 財源論7
玉石混交
将来の財源を生み出すべく、
日本政府は「重点投資対象17分野」を掲げており、
これについては概ね賛成だが、この中でひとつ気がかりな点がある。
①AI・半導体
② 造船
③ 量子
④ 合成生物学・バイオ
⑤ 航空・宇宙
⑥ デジタル・サイバーセキュリティ
⑦ コンテンツ
⑧ フードテック
⑨ 資源・エネルギー安全保障・GX ←★ここに注目
⑩ 防災・国土強靭化
⑪ 創薬・先端医療
⑫ フュージョンエネルギー(核融合)
⑬ マテリアル(重要鉱物・部素材)
⑭ 港湾ロジスティクス
⑮ 防衛産業
⑯ 情報通信
⑰ 海洋
それは「⑨資源・エネルギー安全保障・GX」の中の「GX」だ。「資源・エネルギー安全保障」はいいが、「GX」がね……だいたい、こういう言葉がずらずら並んだ場合、訳の分からない言葉は要注意。悪い商品を良い商品に混ぜて、一緒に売る販売手法を抱き合わせ商法というが、この臭いがぷんぷんするんだよね。その直感に従い、調べてみた。
GXとはグリーントランスフォーメーションを指し、化石燃料からクリーンエネルギー中心の産業構造に移行させ、経済社会システム全体を変革する取り組みのこと。要は脱二酸化炭素であり、2050年の温室化ガス排出の実質ゼロ(カーボンニュートラル)に向けた政府の経済成長戦略だ。
脱炭素で経済成長。
これまでの経済成長は炭素(石油)と火力中心だったが、
それを根本から否定し、改めるのが、このGXだ。
理想的な社会実現に向け、耳当たりはいい。耳当たりはね。
これは地球温暖化対策のための国際的枠組みであるパリ協定(2016年締結)を受けてのものだが、最近、アメリカがパリ協定から離脱し、協定そのもののあり方が大きく揺らいでいる。まぁ揺らぐのは当然であろう。元々この協定はおかしかったからな。
脱炭素の世界的潮流は地球温暖化がもとになっているが、今の温暖化は本当に二酸化炭素が原因になっているのか? という疑惑が当初からあった。大気中の二酸化炭素の割合は体積比でわずか0.04%であり、産業革命前(1750年頃)の0.028%より上昇してるらしいが、このデータの真偽はさておき、こんな微妙な違いで本当に地球が温暖化するのだろうか?
それに二酸化炭素は人間の活動だけでなく、気候や自然環境や火山活動など地球そのものの活動の要素が大きい。遠く離れた太陽の活動も関係する。そんな複合的要因がある状況で人間の活動だけに焦点を当て、しかも工業生産活動だけをやり玉にあげて、二酸化炭素を減らせ、という論に作為的なものを感じ、強烈な違和感を覚える。
これって本当にそうなのか?
ある勢力の陰謀により、最初から結論ありきで、
後から無理やり理屈をこじつけたのではないだろうか?
無理を通せば道理が引っ込むものだが、
今回の動きに関しては、まるで示し合せたかのように、
道理を唱える者が現われている。
多くの科学者が二酸化炭素と地球温暖化の相関関係を主張しているが、それに異論を唱える科学者もたくさんいる。だが、メディアは前者の意見ばかりを取り上げ、それがさも科学者全体の総意であるかのように大衆をミスリードしている。
そう言えば、かつて日本であった環境汚染訴訟の際、どこをどう見ても、工場排水の環境汚染が原因なのに、そうでないと無理筋な主張をする科学者が登場し、その影響で、おかしな判決になったことがあったが、こういうのを、資本家に魂を売った御用学者というのだろう。どれだけお金をもらえたか知らないが、大きな業を積んだに違いない。
排ガスを綺麗にするのは大賛成だ。ガスは人体や自然に害のある物質を除去してから放出すべき。僕もこの世界でそうしている。だが、二酸化炭素は植物の光合成にとって必要なものであり、今ぐらいの量なら自然にとって害はない。
二酸化炭素は窒素や酸素より重く、空気中で下に沈む性質がある。その上、水に溶けやすいので、海水や地面に吸収されるケースが多い。人がどんなに頑張っても、地球の脱炭素力には遠く及ばない。こういうのはちゃんと計算に入れてるのだろうか? てか計算できるのか? いろいろ数字は出てるけどさ。
1位 中国 31.4%
2位 アメリカ 13.6%
3位 インド 7.4%
4位 ロシア 4.8%
5位 日本 2.9%
6位 イラン 2.1%
7位 インドネシア 1.9%
8位 ドイツ 1.8%
9位 韓国 1.6%
10位 サウジアラビア 1.6%
これは二酸化炭素排出量の多い国と排出割合を並べたデータ(2022年)だ。数字の信憑性はともかく、上位二か国が突出しているのが分かる。ただ、アメリカはパリ協定から離脱したし、中国だって本当に協定を守るつもりがあるのかかなり疑わしい。この二国が取り組まなければ実効性は乏しくなる。
他の国だってそう。先進国はまだしも、これから発展しようする途上国にとって排出規制は経済発展の足かせにしかならない。本当にやるのか、やるつもりはあるのか、未知数の部分が大きい。
パリ協定は目標達成に対する強力な強制力(罰則)がなく、各国の削減目標(NDC)は自主性に任されている。だから、多くの国はやるふりだけしてやらず、期限が近付いたら「期限を延ばそう」のオチになりそうな気がする。そのうち、水素エンジンなど二酸化炭素を出さなくて済む内燃機関が開発され、改善されていくだろうが、それにしても2050年は急すぎる。
あと24年で、世界中の国でカーボンニュートラルができるのか?
普通に考えて無理でしょ。おそらく多くの国が内心そう思っているはずだ。
そういう状況を知ってか知らずか、日本政府は目標達成に向け、真面目に取り組む方針のようだが、国益を損なってまでやる必要はあるのだろうか。真面目な日本人らしいと言えば、その通りだが、そこには純心(善意)だけでなく計算高さもあると見ている。
カーボンニュートラルは二酸化炭素の排出量そのものをゼロにするものではなく、排出量から森林などによる吸収量を差し引いてゼロを目指すものだ。だから、自国の排出量を減らさなくても、他国の排出量を減らすことによって、その権利(排出権)を買い、それで自国の排出量を数字上減らすことができたりする。このような排出権ビジネスが盛んになっているが、そこに胡散臭さを感じるのは僕だけではないだろう。補助金目当てのビジネスもうごめいている。
ドイツは4期16年も続いた左派政権の時、移民をどんどん受け入れたが、それと同時に環境保護政策に力を入れ、火力発電をどんどん廃止して二酸化炭素の排出量を下げていった。その結果、まわりの国から電気を買うことになり、まわりの国の発電量が上がり、その中には火力発電所も含まれていたので、まわりの国の二酸化炭素排出量が増えることになった。
これでは場所を変えただけで、地球全体の二酸化炭素排出量は変わらない。いや、むしろ、エネルギー効率が悪くなった分、状況が悪化してる可能性が高い。この左派政権は原発反対を叫びながら、原発で発電したフランスの電気を買うという奇妙なこともしたんだよな。
欧州でそんな欺瞞に満ちた状況があるのに、日本政府は2050年のカーボンニュートラル達成に向け、今後10年間(2023年以降)で官民合計150兆円超の投資を計画してるという。いやいや、ちょっと待て、再考を促したい。いくら日本が脱炭素を真面目に取り組んでも、アメリカや中国や途上国がやらなければ意味がなく、また、あくまで自主規制だから、やるふりだけの国も多く、150兆も投資して割に合うのか甚だ疑問だ。
そんなお金があるのなら、少子化対策や農業振興や中小企業支援などに使ってもらいたい。高度経済成長期に造ったインフラは更新時期を迎えているので、そちらに回すのもいい。財源は限られており、有効活用するべきだ。
脱炭素はリベラル臭が強く、環境保護という美名を隠れ蓑に、
裏で利権や補助金を漁る道具になっている疑いが強い。
日本のとある自治体が補助金を付けて、太陽光発電システムを推進しているが、環境にいいどころか、森林を伐採してハゲ山にし、環境破壊の元凶となっている。美しい里山をこれ以上、荒らさないでもらいたい。はっきり言おう。余計なことをするな。
少し前にアメリカの大統領が、国連総会の一般討論演説で、「二酸化炭素が原因で地球温暖化は起きていない」「気候変動対策は史上最大の詐欺」だと主張し、「グリーン詐欺から手を引かなければあなたたちの国は破綻する」と訴えたが、極めて重大なメッセージであり、日本も真摯に受け止めるべきだ。
地球温暖化→脱炭素→EVの流れで大儲けした連中がいるが、EVなんて、まったくエコではない。そこで二酸化炭素を排出しなくても、発電所の電気を使うわけだから、発電所で二酸化炭素を出せば何の意味もない。こういうのは一部を切り取るのではなく総量で見ないと。
だが肝心の総量にしたって、本当に正確に算出できているのだろうか? というか、そもそも算出可能なものなのだろうか? そこの議論がほとんどなされないまま、「2050年のカーボンニュートラル」という目標がバーンと設定され、そこに突き進む状況に怪しいものを感じざるを得ない。何か大きな力が働いているのだろうが、日本において、無思考・無批判で、言われるがまま大金をつぎ込むことは止めてもらいたい。
やるなら、地熱発電、核融合、宇宙太陽光発電の研究・開発に力を入れてもらいたいが、いずれにしても費用対効果と、それ以前に本当に効果があるのか、をよく見定めてもらいたい。環境保護という美名のもと、ろくでもないものに大金をつぎ込むことはあってはならない。
資源については南鳥島周辺海域のレアアースについて本格的に動きだしたのは喜ばしいことだが、実はこれだけでなく、他の分野でも様々な動きが起きている。その中で注目しているのは「藻類バイオマスエネルギー」だ。これは下水処理場を使って藻を繁殖させ、濃縮し、原油化するという画期的なプロジェクトだ。
ある特殊な藻は水中の汚物を取りこみ、光合成の過程で、いわゆる「バイオ石油」を生む。既に国から予算が付いて実証段階に入っており、今は藻の収穫量を安定的に確保することが課題になっている。このプロジェクトが成功すれば、なんと日本は産油国になれるのだ。冗談のように聞こえるかもしれないが冗談ではない。
石油というと、環境保護派は目をしかめるだろうが、現代社会において完全に無くすことは困難だ。例えば、飛行機を飛ばすにあたっては、太陽光、水素などの電気エネルギーは現実的ではない。身近にあるもので石油ほど高いエネルギー密度を持つ資源はないだろう。自動車や船も大型のものは石油を使う。エネルギー密度だけで言えば核の方が上だが、流石に普段の生活行動で核は使えない。
水素は脱炭素の切り札のように思われがちだが、水素は水から作るものであり、その際、電気エネルギーを使う。その電気を作るのに火力発電に頼ったら、まったく脱炭素にならない。太陽光発電なら脱炭素になりそうに思われがちだが、これにしたって製造・廃棄する過程で二酸化炭素を排出する。こういうのは計算に入っているのか?
それに石油はエネルギーだけでなく、様々な製品の原料となっている。もしプラスチックをすべてなくし、他の素材に置き換えるとなると、コストが跳ね上がるだろう。まわりを見渡せば石油を原料に使った製品だらけだ。それを無視して「石油を使うな」と言う人は石油に代わる案を示してもらいたい。反対するだけなら誰でもできる。長期的に石油使用量を減らすことは賛成だが、それでも完全に無くすことは難しいだろうし、その必要もない。
そもそも石油だって、れっきとした自然エネルギーのひとつだ。適正な規制の下で行うなら利用していいだろう。今は昔より格段に規制が厳しくなっており、石油による環境悪化はかなり抑えられている。規制はいいが「使うな」は極端だ。そう言う連中だって石油製品を使っているだろうに。
環境保護活動家のすべてとは言わないが、中には胡散臭いのがいる。再エネ利権が絡んでいるんだろうが、バックにEV自動車や太陽光発電システムを売り込みたい勢力がいるのだろう。日本でも活動しているが、原発反対を主張して日本の産業発展を邪魔しているのが彼らだ。彼らは原発の危険性を流布するが、過去、日本において原発が直接の原因で亡くなった人は一人もいない。津波で亡くなった人はいるが、それを原発で亡くなったように印象操作してきた。老衰や持病で亡くなった人まで「原発のせいだ」と喚いたからな。
原発は日本より中国の方が多いし、中国は日本以上に海に処理水を放流している。指摘すべきは中国の方だろう。それと、彼らは再エネ推進活動にご執心だが、それにより、中国から日本にEV自動車や太陽光発電システムが入ってくることになった。不自然なほど大量にね。
彼らはまるで中国の工作員のよう。日本の処理水や二酸化炭素排出量についてはギャーギャー騒ぐが、中国のそれについてはだんまりを決め込む。本当にわかりやすい。雇い主には逆らえないってか。
藻類バイオマスエネルギーに話を戻そう。これは何としてでも実用化してもらいたい。今後の見通しは、国交省が下水道法を改正し、国の認可の下で藻類による下水処理と原油生産を全国の下水処理場でできるようにすることだ。2030年までに行う計画らしいが、おかしな邪魔が入らないようにしてもらいたい。
順調に行けば、日本が輸入している原油のかなりの部分をまかなえる可能性が高いらしい。これは日本にとって、どれだけ心強いことだろう。極東の島国である日本は、長年、原油の確保でずっと苦労してきた。先の大戦が起きた直接的な原因はアメリカによる禁油であり、石油を断たれた日本はそれを確保するため、南方に進出せざるを得なくなった。
今の日本だって石油を止められたら大変なことになる。代替エネルギーの開発により、エネルギー面の依存度は少なくなったが、製品の原料としての依存度は大きいからね。これがバイオ石油で代替できるようになれば不安定要素が減り、日本経済は確実に強くなる。
それにしてもバイオ石油には夢がある。何の価値もない下水から値千金のバイオ石油ができるとはね。地道な基礎研究の積み重ねによるものだろうが、資源がないなら資源をつくる、という発想と行動力に称賛を送りたい。これについてマスコミはほとんど報道していないが、しない方がかえっていい。左派の環境活動家に知られて騒がれたら、たまったものではないからね。
バイオ石油を含め、国内のエネルギーや資源の開発に成功したら、政府の収入が増え、財政状態が改善されるだろう。うまくいけば将来の年金の穴埋めになるかもしれない。年金は国と国民の約束であり、少なくとも、支払った分と同じ額(物価上昇分も加味)、支給されるようにするべきものだ。そうでなければ年金の意味がない。若い世代が明るい未来を思い描けるよう、国には本腰を入れて財源(稼ぐ手段)作りに取り組んでもらいたい。それが少子化対策にも、雇用対策にも、景気対策にも、国防にもなる。まさにゲームチェンジャーだ。
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