表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1837/1897

第1837話 財源論6

 財源を作り出すことは、言う易し、行うは難し。

 日本の財政状況はロナンダル王国より悪い。悪いのは悪い点があるからであり、それを改善しなかったから今の状況となっている。悪い点はいろいろあるが、その中でひとつ挙げるなら無駄だ。無駄が多い。


 財源を作る方法として無駄の削減があり、不採算部門のリストラ、天下り関連団体への不適切な資金の流れをストップさせることが求められるが、それをなぁなぁにして本腰で取り組んでこなかった。また、国の一般会計歳出で最大の金額を占める社会保障関係費に関しての対応が後手後手だ。


 2025年度予算の一般会計歳出総額は1,151,978億円であり、このうち社会保障関係費は382,938億円(全体の33.2%)となっている。実に3分の1が社会保障関係費だ。使い道は年金、医療、福祉、その他となっているが、高齢化の影響により、どれも上がっている。


 年金については多くの現役世代の払い損が確定しており、これ以上減らしたら、現役世代の不満が爆発しそうなので中々難しいだろう。(それでもいずれやらざるを得なくなるだろうが)ということで、目下注目するのが医療だ。ここは無駄がかなりある。


 2023年度の国民医療費(国全体で要した医療費総額)は約48兆円であり、それを、保険料(約50%)と患者負担(窓口負担:約12%)でまかなっているが、それでは足りず、公費(約38%:国負担約25%・地方負担約13%)を注入して、やりくりしている状況だ。


 国民医療費が上がれば、

 それに応じて国の負担が増え、財政を圧迫することになる。

 医療費を上げている最大の要因は何と言っても高齢化だ。


・75才未満 約2.2万円

・75才以上 約8.0万円


 これは2022年の一人あたりの医療費(月額平均)だが、75才以上の後期高齢者になると、金額が跳ね上がっているのが一目瞭然だ。でもこれは次のデータで見れば当然のこと。


・平均寿命 男性81.05才 女性87.05才

・健康寿命 男性72.57才 女性75.45才

    差 男性 8.48才 女性11.60才


 平均寿命は80才を越えているが、健康寿命(介護や医療が不要な寿命)は70代で結構な差があるからな。健康寿命後は寝たきりになることが多く、医療と福祉の負担が急上昇する。平均すると人は人生の最後の10年ぐらいを病人で過ごすことになり、その間に多くのお金を使っている状況だが、この期間の病気は本来の病気というより老化現象であろう。昔なら死んでもおかしくなった年齢だが、医療と福祉の力で生きている(生かされている)と言えるかもしれない。


 であれば、無理に延命しようとせず、その状況を泰然と受け入れる選択肢があっていいのではないだろうか。寝たきりベッドの状態で、管から流動食を摂ったり、人口呼吸器を付けている状態なら猶更だ。70才を越え、ガンなどの手術をするのもそう。下手に抗がん治療しても苦しみが増すだけだ。


 自然界の動物は老化により、自力で呼吸ができず、自力で食べることができなくなったら衰弱して死ぬが、それが自然の摂理というものだろう。単純に人と動物を一緒にできないが、その時期が来たら死を受け入れる動物と、あがいて伸ばそうとする人間と、どちらが自然か、今一度考える必要はあるだろう。


 延命治療については、人権や命の問題が絡んでおり、議論が必要だろうが、いずれにしても今後、高齢者の医療費は急速に増える一方なので、現状維持は極めて困難な状況だ。このまま手をこまねいていれば日本の医療は崩壊する。延命治療の分野は尊厳死や安楽死という重い重いテーマが絡み、これまでタブー視されてきたが、いつまでも見て見ないふりは許されない。欧米を真似ろとは言わないが、向こうでは一定条件下(ガン・難病・高齢など)で安楽死を許容する方向に舵を切りだしている。もちろん本人の同意があった上での話だ。


 現在の日本では、本人の同意があっても積極的安楽死(医者が処置を行う)は禁止されている。本人の同意の下、延命治療を止める消極的安楽死(医者が処置を行わない)いわゆる尊厳死は違法性が阻却され刑事責任を問われない傾向にあるが、倫理的問題があり、これも避けられる傾向があるんだよね。


 僕は個人的に安楽死は反対の立場だが、だからと言って、どうしようもない程、苦しんでいる人に対し、「耐えて耐えて耐え抜け」と鬼にようなことは言わない。どこかの世界の精神指導者は「この世の苦しみは耐えられる範囲のことしか起きない」と言ったが、事実として言えば、これは間違っている。本人のキャパを超える苦しみが起こることはあり得る。


 その際、その苦しみから逃れるために命を絶つ人を責めることはしない。そんなことをしたら、自分が同じ目に遭うことになるだろう。誰であっても最後の最後まで生きて欲しい。だが一方、ぎりぎりの状態で下した重い決断を僕は尊重する。


「この世の苦しみは耐えられる範囲のことしか起きない」という言葉は、現実と齟齬があるが、だからダメかと言うと、そうではない。齟齬があるからこそ、そう思うことは大事だ。そう思えば現実を変えることができる。


 戦わなきゃ現実と。だが、どうしようもない時は逃げていい。自殺は基本ダメだが、本当に進退窮まってにっちもさっちもいかない状況の場合、自殺というより、その状況によって殺されるとも言えるわけであり、自殺のカルマは軽減されるような気がする。例えば、大戦末期の特攻隊の兵士は自殺のように見えるが、自分で死にたくて死んだわけではなく、国のため家族のため、他に選択肢がなかったから、そうしたのだ。いわば環境(時代)によって殺された。ああいうのはカルマにならないと思う。もし僕が家族を人質に取られ、「家族を助けて欲しくば自害しろ」と言われたなら自害するだろう。実際はスキルがあるから、そういう状況になり得ないが、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の思考実験(究極の選択)をするなら、答えはそうなる。


 個人的には綺麗に死ぬより、無様でも生きる方に価値があると思うが、そういう比較ができない程追い込まれている時、キャパを越えている時はどうしようもないからな。そういう状況にならないよう生きるしかない。究極の選択をしなくて済むようにね。


 ちなみにこの世界では人工透析などの延命治療はやっていない。寿命により腎臓などが機能不全に陥ったらそれまでだ。自然界で腎臓などが老衰により機能しなくなった動物はその時点で死を迎えるが、この世界では人もそれを踏襲させてもらっている。僕がこの世界に来る前からそうだったから、特段問題は起きていない。


 厚生労働省や内閣府の推計に基づくと、2023年度に約48兆円だった国民医療費は、2030年には約62兆円、高齢化がピークを迎える2040年には約67兆円〜78兆円超に達すると予測されている。これに介護費は含まれていないので、それを含めれば最大約94兆円だ。


 日本のGDPは約4兆ドル(約600兆円)だから、医療費と介護費を合わせて100兆円に迫る金額がいかに大きいか分かるだろう。断崖の世代が75才以上となるため、医療費の高い高齢者層が最大化するという「2040年問題」は着実に迫っている。その前に大胆な改革が必要だ。これ以上の先送りはできない。


 あと医療費を上げているのが薬だ。医療費の約30%が薬。どこのクリニックでも病院でも、ちょっとした症状で薬をホイホイ出す。3分診療と揶揄されるが、診察もそこそこ、医者はすぐに薬を出そうとする。まぁ薬は儲かるからな。


 日本では国民皆保険が災いして、薬を安価で入手できるため、医者が薬を出し、患者がそれを飲むことに余りにも慣れてしまった。頭が痛いから薬、お腹が痛いから薬、めまいがするから薬、目が疲れたから薬、筋肉痛だから薬、シャキッとしたいから薬、という感じで、薬への依存度が大きい。これでは医療費が上がるに決まっている。


 薬を飲めば体が良くなる。と思い込んでいる人が一定数いるが、これは大間違い。薬は体にとって毒であり、飲めば飲むほど体は悪くなる。具体的には副作用と呼ばれる症状だが、それが出ると、それを抑える薬を処方され、さらに薬が増えてしまう。そうでなくても、薬は耐性が付くと効きづらくなるため、量が増える傾向があり、長期の薬服用は体にとってまったく良いことではない。


 窓口負担が少ないこともあり、気付かない人が多いだろうが、日本の薬剤価格は諸外国と比べて高く設定されている。アメリカに次ぎ、実は世界で2番目に高い。ただアメリカの場合、国民皆保険でないことが幸いして薬を飲む量が日本より少ないので、実質、世界でもっとも高い薬を多く飲んでいるのは日本となるだろう。


 好不況に関係なく、毎年、日本の製薬会社は莫大な利益を上げているが、その大きな理由が薬剤の高い価格設定にある。最近、製薬業界に欧米の外資系製薬会社が続々と参入しているが、それは同じ薬が日本で高く売れるからだ。


 薬価は国が定めているが、どうして高く設定するのだろうか?


 日本の製薬業界を取りまとめる団体の理事長などの幹部職が厚労省の局長経験者の天下り先となっていることが関係している可能性がある。もし日本の保険で使われている薬の価格を外国並みに下げられれば、それだけで数兆円単位の医療費が節約できるだろう。最近、厚労省は、ジェネリックと称する安い後発医薬品の使用を推進して薬の費用を減少させようと(表向き)しているが、どういうわけかジェネリック医薬品の薬価も外国と比べると大変高く設定されている。


 薬価が高くなれば、医療費が上がり、政府と国民の負担が増える。喜ぶのは製薬業界とそこに天下りする連中だけだ。警察とパチンコ業界のような関係が、厚労省と製薬業界の間にもあるのだろう。つくづく天下りは害悪だ。他にも、財務省と金融業界、国交省と建設業界、総務省と放送業界、文科省と教育業界、農林水産省と農業団体など、いくらでも挙げられる。


 日本のとある有名インフルエンサーが「日本の医療費は5〜10兆円をドブに捨てている」と発信して物議をかもしているが、当たらずとも遠からずであろう。これまで医療は人の命を扱うことから半ば聖域のようなところがあったが、このまま放置という訳にはいかない。患者に寄り添う手厚い医療は大切だが、その一方、非効率で無駄な医療があることも間違いない。そのバランスを取りながら、舵取りするのは難しいことだが、やるしかない。


 比較的すぐできそうなのは、75才以上の医療費窓口負担原則1割の見直しであろう。75才未満は3割負担なのに、この世代だけ1割負担なのは合理的ではない。むしろ、受益者負担の原則からすると、もっとも医療の恩恵を受ける世代なのだから、むしろ3割以上にしてもいいぐらいだ。流石に4割、5割は厳しいだろうが、せめて他の世代と同じ3割負担にするのが相当ではないだろうか。


 現在の1割負担はあまりにも低すぎる。赤ん坊(未就学児)ですら2割負担、小学生ですら3割負担だ。未来のある子供の方が負担が大きく、そうでない後期高齢者の方が負担が小さい状況は理解に苦しむ。1割負担だから、高齢者がサロン感覚で病院の待合室にたむろし、スナック感覚で(余計な)薬をもらうのだ。3割負担にすれば、それだけで相当改善されるはず。利権が絡み、反対する勢力はあるだろうが、これぐらいはさっさとやってもらわないと。医療費も年金と同じで財源に限りがある。今多く払えば払うほど財源が減り、将来の世代が困ることになる。


 理性的に考えれば答えは明らかだが、議員は高齢者票が欲しいから、高齢者受けしない改革を先送りしてきた。特に左派は高齢者票の割合が高いから、この分野の改革を福祉や人権の名のもとに邪魔ばかりしてきた。だが、今回の選挙で左派の議員が減ったので改革しやすくなっただろう。この機に一気に進めてもらいたい。


 日本は少子化が問題となっているが、実はこれ、高齢化と表裏の関係になっている。高齢化して暗い未来が待っているという見通しがあるから、子供を産もうという気持ちが萎え、子供を産まなくなるから、暗い未来が待っているとも言える。この流れを変えるには、今の若い世代が子供を産み、未来を変えていくしかない。


 未来をつくるのはいつだって若者だ。高齢者ではない。


 そうそう、年金については「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」により、支払い額(見込み額)ともらう額(見込み額)が分かるようになったが、あれも「何だかなぁ」という部分がある。先ず支払い額に誤魔化しがある。自分が払った額だけが記載されており、勤務先が払った額が記載されていないのだ。


 勤務先が払った分は関係ないと思われがちだが、それも自分が稼いだお金がであり、手続き上、勤務先が差し引いているに過ぎない。一種のステルス税だ。勤務先は人件費から給料や税金や社会保険料を払っており、税金や社会保険料が増えれば、その分、給料で調整する。ベースアップや昇給や賞与を抑えるとかね。


 支払い額を少なく見せるのは、もらう額に対し、元が取れるように見せるため。ステルス税も加算したら、多くの人は元が取れなくなる。その事実が明るみになると年金を払う気が無くなるので、それを避けるため国はこうしたんだろう。


 それと、もらう額だが、記載されてる金額(見込み額)がそのままもらえると思う人が多いかもだが実は違う。老齢年金は雑所得として課税対象であり、原則として受給額から所得税・復興特別所得税が源泉徴収(天引き)される。それに、一定金額以上だと翌年、住民税も請求される。


 2026年4月からはさらに「子ども・子育て支援金制度」による徴収も開始されるから、その分も合わせて天引きされる予定だ。通称、独身税と呼ばれるが、名称に偽りあり、独身以外の既婚者、子育て世代、子育て終了世代も徴収されるから要注意だ。一定年収未満なら非課税(天引きなし)となるが、それ以上だと、もれなく課税対象となる。


 しかし、あれだね。社会保障の年金から税を取るって、いかがなものだろう。弱者を守るための給付から徴税することに強烈な違和感を持たざるを得ない。ただでさえ少なくなっているのに、そこから引くなんてね。


 2025年度における国民年金(老齢基礎年金)の満額支給は月額69,308円だ。これは40年間、一カ月も未納なく支払った場合だが、個人の自営業者はこれが基本であり、家賃などがあると、これだけではとても暮らせないだろう。


 会社員・公務員なら、厚生年金(厚生老齢年金)の上乗せがあり、おおよそ月額平均146,429円だ。現役時代の収入や支払い状況によって差があるものの、無職期間などもあり、10~12万ぐらいの人が多いのではないだろうか。これで家賃5万円のアパートを借りたら、残り5~7万円で生活しなければならない。はっきり言ってカツカツだ。旅行どころか外食だってそうそうできなくなる。


 現在、年金は原則60才まで支払い、65才から支給されるが、昔は55才、60才まで支払い、その年齢が来たら、すぐ支給が始まった。だが今は5年も間が空いている。これはこの世代の人にとって試練の時期だ。それまで十分貯金してきた人はいいが、そうでないと働かざるを得ない。60才以上の求人は限られており、生きるために選り好みは許されない状況だ。


 手もみして迎えてくれるのはごく一部の天下りぐらい。継続雇用してもらえなければ、大多数の人は60才以降、非正規・ブルーカラー(現場仕事)・低賃金の仕事に就くことになる。前職でどんなに素晴らしい経歴があっても、若い上司に使われることになる。人によっては、そこでプライドがずたぼろになるだろうが、それでも仕事があるだけマシ。60才前に肩叩きされる人だってたくさんいる。


 5年の空白期間もたいがいだが、将来、支給開始年齢が70才になり、空白期間が10年になる可能性が高い。もしくは65才まで年金支払い期間を延ばして、空白期間を5年のままにするとかね。どちらにしても70才まで働く必要が出てくるため、人生の終盤、ハードモードになる。それが今の日本の現実だ。金持ちぶって外国人に生活保護を支給してる場合じゃない。そのお金は将来を担う日本の子供たちのもの。人権だが何だか知らないが左派の口車に乗って日本弱体化に加担してはならない。


 いやね、働きたくて働くならいい。僕だって80才超えて普通に働いているが、一方で誰もがこうはいかないことも分かっている。これは僕が優秀とかそういう話ではなく、僕のように「したい仕事」ができる人は限られているという現実があるからだ。世の中には嫌な仕事を我慢してやってる人がかなりいる。そういう人は60才になったら、引退したいと思うだろう。その気持ちはよく分かる。


 だが、生活のためとはいえ、高齢になってまで労働を嫌々続けるのは苦行そのものだ。業の解消のため致し方ない部分はあるにせよ、人生の終盤は明るく楽しく過ごしてもらいたい。人生は終わりよければ全て良し、の面があるからね。


「ああ、嫌な人生がやっと終わる」ではなく、

「やりたいこと、やるべきことができて、いい人生だった」

 でありたいものだ。


 人生とは、やるべきことをやるためのものだが、やるべきことが「嫌な状態」のままだと、嫌な人生ということになってしまう。だが、やるべきことを昇華させ、やりたいことにできれば、いい人生ということになる。実はどちらも表面上のしてることは然程(さほど)変わりないが、心境の違いにより、見る世界が大きく変わるのだ。


 人生の終盤は後生の一大事がかかっている。

 高級霊界の心境に至れば高級霊界へ、

 低級霊界の心境のままだと低級霊界へ行きやすくなる。


 人生の終盤は、眉間にしわを寄せて溜息ばかり吐いたり、雑事に追われて、あたふたバタバタせず、大船に乗るがごとく、余裕を持って悠々自適に、心穏やかに過ごすことが望ましい。その明るい未来を心に描き、日々精進するのだ。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、ブックマーク、評価をして頂けると大変有難いです。

 書籍化作品へのアクセスは下記のリンクをご利用下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ