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桜ヶ丘高校のケジメ

ベースキャンプにもどった富士村ご一行。魔族がついてきていることに他の者が驚いたが、アダム隊長がもう投降したと説明したら納得させることができた。そして、ご一行は例の生徒組、最初に魔族兄弟が捕まった生徒パーティーの下についた。


「え、あ、あの、会長...?これは一体...?なぜ魔族がここに...?」

「この人たちはもう投降しました。もう害はありません」

「そ、そうなんっすか...!?は、ははは、流石会長や勇者パーティーっすね!!知ったか、魔族どもめ!!」


自分たちが有利の立場にいると知った突端、その生徒とパーティーの仲間たちは調子に乗り始めた。流石に魔族兄弟もいやな顔になって、何かを言いたがっているが、その間に入ったのは谷川と富士村であった。


「そんなことより、貴方たち、確か一年生ですよね。皆同じクラス?」

「あ、はい、そうです!」

「なるほど、分かりました」

「あの、どうしたんすか?」


自分の正体に聞いてきた谷川。自分のことを知ろうとしている憧れの女性先輩にわくわくし始めた一年生のパーティー。そんな彼らの気持ちを裏切るように、次に聞いてきたのは富士村であった。


「お前ら、なぜ魔族のいるところにいた?」

「え、?」

「訓練が始める前に、アダム隊長から言われたはずだ。東にある集落に近づかないようにと。お前らはあそこに行ったのかって聞いてんだ」

「ひっ!」


静かに重い声で聞いてきた富士村。ほんの少しだけ、"殺気"も漏れて出た。その小さな"殺気"でも、その生徒たちを怯ませるのに十分だった。怯えているその生徒たちに、原田は優しく彼らの肩に腕を回した。


「ったく、うちの風紀委員長は恐いねえ。そんなんじゃ、答えられる質問も答えられねぇよ。ホラ、オレに言ってみ。順を追って説明して。内容によっては怒らないから」


アメとムチの作戦。富士村のキツイ言葉の後に原田は甘い言葉をかけた。原田に安心して話せるとその場に思った一年生のパーティーは全てを話した。彼らは自分たちが強いと、この世界の救世主だと信じて魔族など相手ではないと思っていた。だから、付きの騎士の二人の言葉を聞かずに集落に行った。行ってみればあそこにも人間が住んでいたと発覚した。一年生のパーティーは彼らが魔族に無理矢理従わせてと思い込み、正義は自分にあると主張した。彼らは自己中の正義を振り回して集落を滅茶苦茶にした。そのときに魔族兄弟が現れて彼らを討ち返りにした。


「なるほど、なるほど。おめぇらさ...」

「は、はい!俺たちは何も悪くないです!確かに注意を無視したが、あれはただこの世界のためだと思って!あの集落にいる人たちも助けようと思って、それで...!」

「ふざけてんのか?」

「ひぃぃぃぃっ!!」


原田はまだ彼らに腕を回したまま、低いトーンで問い詰めた。彼らの話はもちろん回りの人たちにも聞かれた。肩が原田に捕まれなかったほかの三人は逃げようとしたが、寺島はその逃げ道を塞いだ。もう、その一年生のパーティーは富士村と原田の怒りから逃げることはできなかった。

山田は横でこの四人の三年生-富士村、原田、寺島、谷川-の連携を見てぞっとしていた。相手の警戒を下ろすために最初に谷川が話しかけ、富士村が本題への入り口とムチ役としてキツイ言葉とプレッシャーをかけ、原田はさりげなく逃げないように相手の肩を掴め話しやすいようにアメ役として甘い言葉をかけ、寺島が外野で残りのメンバーの逃げ道を塞ぐためにさりげなく動いた。ここにきてまで打ち合わせなどしていなかった。それなのに、四人は見事に連携を取った。


(単に仲良しグループではなく、お互いのことを認めし合う仲、か...これは、確かにこんなことできる相手を見つけるのは難しいな)


山田は小林先生が言っていたことを思い出して考え込んでしまった。その間にも事態が進んでいた。富士村が一年生のパーティーに大声で叱った。


「お前ら...それでも桜ヶ丘高校の生徒か...?恥じをしれぃ!!!」

「な、な、なんで!!??確かに俺たちは注意を無視したが、それだけだろう!!??」

「注意を無視しただけぇ!?テメエらは無責任な行動を取り、他人の住み所を土足で踏みにじってんだ!!それをただ注意を無視しただけだと!?どの口が言ってんだ、ああ!?見ろ、この基地の状態を!!!さっきの言葉をまだ言えるならもういっぺん言ってみろ!!」

「そ、それは...か、会長...!!」

「すみませんが、貴方たちの過ちを見過ごすわけにはできません。貴方たちの勝手な行動の影響はうちにだけではなく、騎士団の方々、そして集落の方々にも迷惑をかけた。現場の仕切り役を任された私にも責任があります。この件は全て校長先生に報告させていただきます」

「そ、そんな...」


谷川にも見切られた一年生のパーティーは力なく座り込んだ。そんなとき、原田はも腰を折って彼らがまずすべきことを要求した。


「オイ、んなことより、今てめぇらにゃやらなければなんねぇことがあんだろ。悪いことをやっちまったときに、何を言う?」

「「「「「ご、ごめんなさい...」」」」」

「ああ!?聞こえねえな!!ホンキで言ってんのか!!??それとも、まだ反省してねえのかよ!!???」

「「「「「い、色々な迷惑をかけて、すいませんでしたぁ!!!!!」」」」」


原田に煽られ、一年生のパーティーは座り込みの勢いで土下座してその場にいるみんなに謝罪した。それを見た三年生の四人はとりあえずよしとした。小林先生も教師としての責任を取りべく、アダム隊長に頭を下げた。


「アダム隊長、今回の件はうちの者が招いたトラブルなようで、申し訳ございません。指導不足で責任は教師である私にあります。どうか、この子たちを許してあげてください」

「こ、小林先生......」

「てめえら、後で美波ちゃんに感謝しろよ」

「は、はい!」

「...いいえ。こんなことを防ぐために付きの騎士を与えた。その役目を全うできなかったこちらにも責任がありますゆえ、お互いのために、この件は水に流しましょう。うちの騎士にも後に処罰を下します」

「ご配慮、感謝します」


小林先生は深々と頭を下げた。これで桜ヶ丘高校とヴァージニア教国の間の話はつけた。残りは、集落の人間との話であった。そう思って、小林先生は魔族兄弟に向かった。


「えっと、集落に帰るのは大きいの方、ホブさん、ですよね?」

「そうだよ~」

「君たちの集落にも謝りに行きたいのですが、案内してもらえるかな?」

「え~と...」

「いいぜ、ホブ。案内してやれ」

「わかった~」

「先生、俺も行く」

「オレもいくわ。こちらでやることねえし」

「遊びに行くじゃねえんだよ」

「まあまあ。では私と樹君はこっちで戻る支度を手伝って、仁君たちが帰ったらすぐ出発できるようにするね」

「ふむ。こっちのことは任せろ」

「ああ、頼む」

「じゃ~行くよ~こっちだよ~」


富士村、原田、小林先生三人がホブの案内で東集落に向かった。

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