08 マルセア
大所帯になって歩き始めて2日目。遠くの方に大きな壁のような物が見えた。
「やっと見えたな。あれがマルセアの街だ」
アランがそう言った。結構、距離があったな。馬車に乗せてもらわずに歩いていたら、もう2,3日歩かないといけなかったかも知れない。しかし、それにしても大きい。まぁモンスターから街を守る為ならばこのぐらいは必要なのかも知れない。
しばらくして街のすぐ前に来た。馬車を降り、外壁を見上げるとさらに大きく感じる。7,8階建てのビルぐらいだろうか?ゲーム時代はそれほど気にならなかった。というか魔法を使うのが楽しくて気にもしていなかった。
「身分証を持ってないと銀貨1枚と犯罪歴の確認がありますぞ。まぁ、そちらは問題無いでしょう」
「そういえばドルトさんたちも身分証って持ってるの?」
「ええ。商売をするには商業ギルドという所での登録が必須ですからな」
やはり商業ギルドも存在するらしい。ラノベによっては両方登録したりするものもあるが、私には無縁な話だろう。商売の知識とか無いし。
そんな事を考えていると、自分たちの番になり皆はギルドカードを提出して通り、私は別室に行き犯罪歴の確認をされた。と言ってもただ水晶玉に魔力を軽く流しただけだ。
「うん。問題無いね。すまないね。君みたいなお嬢さんが犯罪を犯してるとは思わないが規則なんでね」
「別に良いよ。むしろ適当にやられてる方が街に住んでる人からしたら困るだろうし。私もしばらく滞在する予定だから」
「そうか。住みやすい街だからゆっくりしてくれ」
部屋から出るとアランさんたちとドルトさんたちが待っていた。
「アランさんたちは案内してくれるって話だけど、ドルトさんは仕事は良いの?」
「いや皆さんと話をしていてリアさんがこの街に拠点をと考えていると聞きましてね。別れの挨拶ついでに私の商会の会員証でも渡しておこうかと思いまして」
なんでも全商品5%割引になる上、新商品や珍しい商品なども優先的に見せてもらえるようになるらしい。どれだけ金が掛かるか分からないし有難く受け取っておこう。
ドルトさんはそのまま馬車に乗って帰っていった。
「さて、次は冒険者ギルドで登録だな」
「うん。案内お願い」
案内と言ったものの道をまっすぐ行った先の広場に面した場所にあって、割と早く着いた。そのままアランさんについていきギルドに入った。