56 結果は?
「え?うちの旦那にかい?」
「アレックスさんが腕が良くて、色々試したりするのが好きだってゲイルさんから聞きまして…」
「へぇ。ゲイルさんがねぇ…」
宿に帰り、アレックスさんに頼もうと思ったが、忙しい時間らしく厨房にいるらしい。という事で、宿の女将さんことアンナさんに事情を説明した。
「まぁ、ゲイルさんの紹介って事で旦那には言ってあげるよ。最近は料理の腕がなかなか上がらないって気にしてたし、話には乗ってくれると思うよ」
「ありがとうございます」
アンナさんは少し奥に引っ込み、すぐに帰って来た。その後、少し落ち着くまで世間話をしていたが、色々聞けたし聞かされた。ゲイルさんの言っていた宿の名前についてだが、アレはどうもアレックスさんでは無く、アンナさんが話していたっぽい。止まる事無く1時間ぐらいは話していたんじゃないだろうか?ちなみにゲイルさんだがマリーナの漁師たちの元締めらしい。驚きだ。
そんなこんなで話が2時間近くに迫った頃、アレックスさんが顔を出してきた。短めの金髪でガタイは良いが漁師たちのようなムキムキな感じではない。細マッチョなおじさんって感じかな。
「そっちの子たちがさっき言ってた子たちかい?」
「どうも、リアです。こっちは玉藻」
「どうも、アレックスです。それで?お願いがあるって聞いたけど?」
「これ、私が作った出汁なんだけど、こっちの料理に使えるか意見が聞きたくて」
そう言って出汁の入った瓶を渡した。アレックスさんは品定めするように薄く色づいた液体を見ている。
「味見しても良いかい?」
「ええ。むしろ味見しないと分からないと思うので。私のいた所では下味に使ったり、スープのベースにしたりしてた物なんですが…」
アレックスさんに小さな皿を渡して飲んでもらう。アレックスさんは一口味見をすると一瞬目を見開き…
「これは……これなら……いや、アレの方が………」
1人でぶつぶつと呟き、固まってしまった。その後、再起動したかと思ったら渡した瓶を持ち去られ、店の奥に消えていった。
「え?なに?どうなの?」
「あー…。悪いね。色々考えだすと周りが見えなくなっちまうんだ。多分明日の朝には結果が出てるか、さっきの出汁の追加を要求されると思うよ」
「それなら追加で渡しておきます。色んな料理に試したいなら量があった方が良いと思うので…」
「そうかい。そりゃ助かるよ。最悪、あんたの部屋まで催促しに行ってもおかしくないからね。あと、別に喋り方変えなくても良いよ?宿を取りに来た時はもっと普通だったろう?」
「頼む側だから気にかけたんだけど…。まぁそれで良いなら…」
「気にしやしないよ。旦那だってそんな器が小さい男じゃないからね。昔だって…」
「その話はまた今度聞きます!…まぁ、また明日結果聞きに来るから」
そう言って、のろけ話を回避しつつ部屋に戻り休んだ。まぁあの感じなら大丈夫だろう。
―部屋にて―
リア「玉藻、全然喋ってなかったけどどうしたの?」
玉藻「儂は良く分からんからの。それにどうせお主は自分が食べるのに使うんじゃろ?ならば一緒に儂の分も用意して貰えばいいしのぅ」
リア「確かに駄目だったとしても、自分で使う分は確保するけど…」




