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異世界の女大賢者  作者: 山田 奏
第二章 海業都市編
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55 意外な相手

出汁作りを一旦終えて、港に向かった。昆布の様子見と出汁の味を見てくれる人を紹介してもらうためだ。

港に手製の網とそこに置かれた昆布があり、こちらも良い感じに乾燥できている。味がどうなるかは試してみないと分からない。



「お?取りに来たのか?嬢ちゃん」


「どうも。それもあるけど誰か料理人の紹介をしてもらえないかと思ってね」


「料理人だぁ?」


「出汁が出来たとしても料理として使えるか分からないからね。確認してくれる人がいた方が良いと思って…」


「俺じゃダメなのか?」


「出汁ってのは料理の下味みたいなものだよ。それ飲んで「あの料理に使える」とか「こんな料理が出来る」みたいなの分かるの?」


「…分かんねぇな」



やっぱり料理人に頼んだ方がよさそうだ。現代の万能調味料のような物であれば気にせず良かったのだが、出汁は使う料理を選ぶからなぁ。



「まぁそういう事なら『夕暮れの海岸亭』って宿のアレックスに言えば良いぞ。料理の腕は確かだし、色々試しちゃ食わされるからよ。新しいもんなら食いつくだろ」


「なんか聞いたことあるような…」


「泊まっている宿ではないか」



しれっと後ろに来ていた玉藻が答えた。出汁作りで度々席を抜けていた為にしばらく別行動という事にしておいたのだが、帰って来たようだ。

玉藻の答えで思い出したが、たしかそんな名前だった気がする…



「ていうか何で『夕暮れの海岸』なんだ?」


「ん?なんだ?泊まってるっつてたのに知らねえのか?アレックスが嫁さんにプロポーズしたのが夕暮れ時の海岸だったから、そのまま名前にしたって聞いたぞ?かれこれ100回は聞いたな。開店当初なんて行くたびに同じ話をされたもんだ」



自分の店を開いた喜びと結婚の喜びで誰かに語りたかったんだろうね。

分かるよ、その気持ちが。私も同僚ののろけ話を毎日聞かされた時もあったよ。最初は嬉しいんだろうな、ぐらいで聞いてたら回数を重ねる毎にウザくなってきて、最後には聞き流すんだよね。



「それなら作って持って帰って頼めば良いかな?」


「ちなみに出汁ってのは時間がかかるもんなのか?」


「少量なら面倒だけど、料理に使う前提なら1回で大量に作れば良いから、それ次第かな?まぁ下準備込みで1時間もかからないよ」


「結構なげぇな!?」



その後、実際に作って見せて試飲してもらったが、良く分からなかったようだ。アレックスさんとやらは分かってくれると良いが…

ちなみに途中にある『分かるよ、その気持ちが。』の部分はゲイルさんに対する共感となっております。

決して自身の幸せを語りたかったアレックスに対してではありません。




リア「彼氏?そんなの相手にしてるくらいならゲームするけど?」

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