30 説明
「もう良いよ、お婆ちゃん」
自然と言葉が出ていた。こんなに温かい気持ちになったのはいつぶりだろうか?大金を手に入れ、周りがおかしくなった事を考えると3年前か。いや、その前もあんまり記憶に無い。
「リア。あんた…」
「ありがとね。私の代わりにそうやって怒ってくれて」
ベルガさんに向き直り、真実を告げる。
「お婆ちゃんに卸してた魔物を倒したのは私だよ」
「なっ!?」
「最初は冒険者ギルドに登録したんだけどね。私はそれなりに力があるから、そのうち貴族とか王族とかから依頼が来そうだと思って面倒だと思ったからギルドに条件を出したんだ」
そう言ってアイテムボックスから誓約書を取り出し、机の上に置いた。
「ライナさんが喋らなかったのはコレのせいだと思うから怒らないであげて。まぁ、それで登録した次の日にギルドに行ったら依頼が受けられなかった。冒険者ギルドも権力を持ってるから条件に当てはまるってね」
ベルガさんは誓約書を読みながらも話を聞いている。
「それでドルトって商人が知り合いだったから話をしたら、お婆ちゃんも巻き込もうって話になってギルドに行った。で、私はそこで話をして協力してもらったんだ」
「どうやってギルドに条件なんて…」
「登録の時に冒険者に絡まれてね。ギルドの教育がなってないからだっていちゃもんつけた」
「どういう事か説明してもらおうか?」
ベルガさんは誓約書をテーブルに叩き付け、ギルマスに迫った。
「そ、それは…」
言いにくそうにはしていたが、ギルドマスターはすべて語った。私の事をただの小娘だと侮った事。Cランクの冒険者を圧倒したと聞いて安易に誓約書まで書いた事を後悔した事。そんな条件を呑んだとバレれば自分の立場が危ういと思った事。そして、条件を曲解し依頼を受けられない様にすれば冒険者を諦めるか別の所に移動すると考えた事。
「つまり、保身の為にこんなバカな事になったという事か…」
「そうみたい」
「はぁ…。グランドマスターの権限でお前を冒険者ギルド、マルセア支部ギルドマスターから解任する。お前の父親であるカルーノ子爵にも話が行くと思え」
ベルガさんがそう言った瞬間、ギルマスは椅子から床に降り土下座した。
「待ってくれ!父上には…父上には何卒、内密に…」
「黙れ!お前の安易な判断が冒険者ギルドの信頼を地に落とす所だったのだ!だというのに、まだ保身に走るか!?」
結局、ギルマスの話は聞き入れてもらえず、ベルガが呼んだ職員に連れていかれた。
あれぇ?困らせて精神的に追い込んでやろうってぐらいだったのに大事になってきたぞ?




