22 店員
大まかな準備が終わり、ちょっと暇になってきた時…
「商業ギルドから参りました。ギルドマスターがお呼びです」
と、商業ギルド職員さんが迎えに来た。ギルマスという事はそろそろ店員が決まったのかも知れない。そう思って職員と共にギルドに向かった。すぐさまギルマスの所へ案内された。
「来たよ。お婆ちゃん」
「おお。来たか、リア」
家があからさまにデカかった件で『お婆ちゃん』と少し嫌味を込めて言ったつもりが気に入られて、お婆ちゃん呼びになってしまった。最初は自分も恥ずかしかったが、自分は子供が出来なかったとか、そのせいで旦那に捨てられた、とか聞いてしまった為に断るのもアレだと思って呼んでいたら慣れた。
「お前さんには助かっとるよ!なんせ、数日でこの支部の1月分の位は稼がせて貰ってるからね」
「そりゃどうも。こっちも助かってるから良いよ」
様々な所のランクの高いモンスターの情報を貰い、狩りに行って商業ギルドに売る事で、私は店の商品になる素材を入手し、残りは商業ギルドが売る。と言っても、まだ商人に流しているだけで大々的には売ってないらしい。私の店のオープンに合わせて販売が開始されるらしい。しかも、他の街では販売を許可させてマルセアで仕入れたと、宣伝させるオマケつき。
「で、今回はやっぱり店員?」
「そうだよ。色々探してたんだけど、なかなか条件に合うのが居なくてね。結局、知り合いの所の娘を呼んだのさ。この娘だよ」
「は、初めまして!ユリナと言います!い、一生懸命頑張ります!」
「リアだよ。そんなに緊張しなくても良いよ。歳もあんまり変わらなそうだし」
薄茶色の長い髪で可愛らしい女の子だ。緊張してちょっと固いがきっと笑顔も可愛いだろう。
「てか、条件なんて出してないんだけど?」
「こっちで決めたもんだよ。信用出来て、文字の読み書きと計算が出来て、リアと近い年齢の女の子。それでこの娘って訳だよ。ちなみにドルトの姪だよ」
「マジで!?」
つい大声を出してしまった。あの小太りのおじさんの親戚とは思えないくらい可愛い女の子だ。言われなければ絶対分からない。
「まあ、待たせた時間はだいたいこの娘待ちの時間だったよ。ちょいと変わった送迎を使ったから随分早かったけどね」
変わった送迎については詳しく教えてくれなかった。まあ、私も言えないようなのいっぱいだし、詮索もしてこないから助かってるんだけど…
「そういや聞いてなかったけど、店の名前はなんて言うんだい?」
「あ…」
色々と準備をしてきたが肝心の店名を忘れていた。しかも看板も作ってない。その後一晩悩み、店名を決定した。




