16 最初の森に到着
『大丈夫か?主よ』
リルが私を乗せたまま軽くこちらに振り返りながら言った。
「あんまり大丈夫じゃない…。ゲームだとこんな事無かったのに…」
『ゲームとは何だ?』
「うーん。リル達ならいっか…。私は元々この世界の人間じゃないの。ゲームって言うのでこの体に意識だけ送ってたって感じかな。けど、何日か前に来たらこんな感じになってるんだよ」
『良く分からぬがゴースト共の憑依の一種のような物で、別の世界とやらから主の体を操っていた様なものか?』
「そんな感じ…なのかな?まぁその憑依した状態で固定されて体を得た、みたいな感じかなぁ…」
まだ試して無いが普通の人間より頑丈ではあるが、恐らく血も出るし死ぬ事もあるだろう。そして、恐らくゲームと違って生き返る事も無い。他のプレイヤーは見てないし、死んでどうなるかなんて分からない。死んで消えたとして、実際の死なのか強制ログアウト的に現実に戻るのかも判断出来ない。
そんな事を考えている内に森に到着した様だ。リルの背から降り首元を軽くなでる。
「リル、ありがとね」
『いつもの事だ。気にする必要は無い』
「どうする?今までは移動終わりに送還してたけど、来る?」
『良いのか?』
「さっきも言ったように前と違うからね。下手を打てば死ぬ可能性もあるし…。そういや私が死んだら契約してる子ってどうなるの?」
『特に変わらぬ。契約とは魔力的な繋がりが出来るだけだからな。契約前の状態に戻るようなものだ』
「ふーん。そうなんだ。で、どうする?」
『共に行くとしよう。とはいえこの体では少々大き過ぎるな』
そう言うとリルの体が淡く光り、徐々に小さくなって普通の狼サイズになった。
「え?なに?そんなのも出来たの?」
『ああ。使う事は無いがな』
まぁ、リーチは短くなるし大きいというのはそれだけで脅威だ。わざわざ小さくなる理由もあまり無いだろう。一定以上の実力になれば1発が小さかろうが大きかろうが関係ない。だって敵は基本ワンパンだもの。なら、大きくするか数を増やした方が効率が良い。私やリルのような攻撃特化の召喚獣達はその領域にいる。
「けど、その大きさなら家の番犬になれそうだね」
『我は犬ではない。そもそも主ならば1人でも対処出来るであろう』
「近々、店を持つ予定でね。私が外にいる間に店を守れる人も必要かと考えてたんだけどね。他の人が狩れないようなモンスターの素材とか扱う予定だし」
これで護衛を雇う金もカット出来るな。移動はガルーダで飛べるかも知れないし、ユニコーンやペガサスのような馬型の召喚獣もいる。ゲーム時代より出来る事が増えていそうだ、とリアは期待していた。




