14/30
草食の大獣/無口な火竜/魔女狩り
大獣が城門を叩いた。槍を向ける門番に「大丈夫、草食だよ」と口を開けてみせた。歯牙の一本もない。門番は獣を城下町に入れた。
その晩、門番と城門近くの住人が消えた。
頭上で鳥が呟く。「歯がなくて、どう草を食べるんだか」
鳥はいつも見下ろしていたのだ。獣が獲物を丸呑みする姿を。
***
村の次の神竜に選ばれた火竜は、ひどく無口で気難しい。誰も声を聞いたことがないのだ。何が不満かも分からず、困り果てた村人たちは、大金を払って読心の魔女を町から呼んだ。竜に会うなり魔女はそっと笑って、竜に消火魔法を放った。
「もう大丈夫」
火が怖い火竜は、火の出なくなった口を大きく開けて、何度も礼を言った。
***
教会主導で魔女狩りが始まった。猜疑心に駆られた者たちが互いを見張りあっては密告しあう。
連日連夜、炎のあがる阿鼻叫喚の広場を見下ろし、教会のトップである教皇はうっそりと笑う。「まったく人間は不甲斐ない。私たち、火炙りより簡単に見分けられるのにねぇ」
今日も供物が増えていく。




