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登場人物紹介

・ムツキくん【ミラクリオン】

まだ厨二が抜けてない本作の主人公。大学二年生。奇跡は風。友人が少ないので、人との繋がりはとても大事にしている。ダイヤちゃんLOVE。

・ヨウくん【ミラクリオン】

ムツキの幼馴染で、唯一、ちゃんとした友人。馬鹿だが真っ直ぐで泣き虫で優しい。とにかくめっちゃいい奴。だけどすぐ告ってすぐフラれる。

・ダイヤちゃん【ニル】

ムツキ達の大学の隣にあるめちゃんこ頭のいい理系の大学の二年生。ムツキに助けてもらった事で一目惚れし、即告白、即交際。容姿はトップモデルくらい美しいが、お淑やかそうな見た目に反して、中身はなかなかのおてんば。

・銀河超人さん【ミラクリオン】

苗字が銀河で名前が超人(ウルトラマン)の警察官。当然ながらこの名前をすごく気にしている。噂によるとめちゃんこ強いらしい。

「あの件...?」


「ミラクル・ステラのことですわ」


 ミラクル・ステラ、その言葉がまさか彼女の口から出るとは。あのクソ警官にわざわざ病院から連れ出されてまでされた話だから、機密事項なのかと思っていたのだが...。


「なんでそのことを...」


 彼女に問おうというその瞬間、階段から、ドタドタと誰かが騒がしく登ってくる音が言葉を遮った。デジャヴを感じる。しかし、誰が入ってきたのだろうか...と、身構える隙もなく、うちの、とても頑丈とは言えないドアは乱暴に開かれた。


「ムツキ兄(にい)、大丈夫!?...って、誰!?」


「待てよ、アオイ!はぁ...はぁ...悪い、ムツキ。今日はやめとけって止めたんだが、言うこと聞かなくて」


 入って来たのは、ヨウと、その妹、日向アオイだった。アオイは昔から、男勝りな性格をしていた。そして初めて会った時から、ヨウは彼女の言いなりだった。昔は三人でよく集まってゲームをしていた、俺にとっても妹のような存在だ。そんなアオイは今、高校で生徒会長をしているらしい。彼女らしいと思った。彼女はリーダーシップがあり、ヨウにも似て(本人に言うと嫌がられるが)、誰にでも分け隔てなく優しかった。優しかったはずだった。その優しいはずの妹分は、俺の彼女、ダイヤに、蛇でもすくむような剣幕で迫っていた。


「あんた、誰よ!そんな痴女みたいな格好して!うちのムツキ兄と、どう言う関係!?」


 いつからお前のものになったんだ、俺は。


「申し遅れましたわ。私、ムツキさんと今日からお付き合いさせていただいている、黒崎ダイヤと申しますわ♡そちらこそ、いきなり他人(ヒト)の家に入ってくるなんて、うちのムツキさんとどのような関係で?」


 ダイヤさんは笑顔だが、その額に血管が浮いていたのを、俺は見逃さなかった。女の戦いだ。怖い。俺は、机の上になぜか置いてあった鍵とダイヤの顔を見比べ、苦笑いするしかできなかった。


「はっ!?付き合っ!?何!?」


 アオイが困惑するのも無理はない。俺は今までずっと、女っ気のない人生を送ってきた。まるで、女の子が寄ってこない呪いでもかかっているかのように。そんな俺に今日、突然、彼女ができたと言われて驚かない奴はいないだろう。


「...本当?」


 まずい。こっちに矛先が向き出した。なるべく穏便に済ませたいが、ダイヤがいる手前、嘘はつけない。ヨウは...なんかオロオロしてるし、頼りにならない。俺は今後の身の安全を願って、神に祈るように、黙って頷くしかなかった。


「なんで!?しかもこの女、ニルじゃない!ムツキ兄は、ニルが嫌いなはずでしょ!?なんで?なんで、ムツキ兄のこと、何も知らないような女の子と、付き合ったの!?」


 なぜか、すごく怒っている。そして、血走った目ですごく睨んでくる。俺のことを心配してくれているのだろうか。いや、この目は絶対に違う。ならば、自分よりも早く恋人ができたことが悔しかったのだろうか。


「えーと...可愛かった...から...かな?お互いのことは、これから知っていければいいと思ってるし」


「〜〜!!」


 俺が話してる途中、今まで黙って様子を見ていたダイヤの表情が少しだけ和らいだ気がしたが、対照的になぜかアオイの顔がみるみる赤く染まっていった。そういえば昔、HPを半分ほど減らすと顔が赤くなるゲームのボスがいたな。


「バカ!ムツキ兄のバカ!!バカバカバカ!!!」


「なんなんだ…」


 ドアを再び乱暴に閉め、アオイが出ていった。変な音がしたから、もうすぐ壊れるかもしれない。壊れたら日向家に請求するか。


「待てよ、アオイ!ごめんな。今度謝らせるから。…でも、あいつの気持ちも、解ってやってくれ。ダイヤさんも。じゃあ」


 ヨウも出て行った。あいつの何を解れと言うのか。でもあいつ、部屋を出るときちょっと泣いてたような…まあ、気のせいだろう。

 一気に静かになった。やっと一息つける。そう思っていると、また、ダイヤがベッドに腰をかけてきた。しかし今度は、不安そうな、悲しそうな表情をしていた。彼女は顔を合わせようとはしなかったが、後ろ姿でも分かった。


「あの…さっきヨウさんの妹…さん?が仰っていましたが、ムツキさんは、ニルのことが嫌いなのですか…?私の気持ちを、断りきれなかったのですか?」


 断りきれなかった...?絶対にない。出会ったあの時から、俺の心はダイヤの物だ。もし俺がダイヤを好きでなくても、断るほど贅沢な選択はしないし、言い寄られたら好きになってしまう。そんな不安を彼女に残して行くなんて...アオイめ、どういうつもりだ。


「違う。絶対にそんなことはない。確かに俺は、君のことを何も知らないけど、君が好きだったから、俺も付き合いたいと思ったんだ。ニル全員が全員嫌いってわけじゃない。嫌いなのは、あいつらみたいな…」


「あいつら…?」


「少し長くなるけど、聞いてくれるか?」


 ダイヤが小さく頷く。思えば、この話をするのは初めてかもしれない。


「…俺は昔、虐められていたんだ。父親か母親、どちらか一人でもミラクリオンだったら、子どもは必ずミラクリオンが産まれるだろ。俺の親は、両方ニルだった。当然、ニルだと思われた俺は、ニル専用の学校に入学した。そして、俺が7歳の時、黒だった髪が水色に染まり始めた。俺は、この両親から生まれるはずのない子供だったんだ。俺の両親はそこそこ有名な研究員だったから、親の同僚が漏らしたこの話はまたたく間に世間に広がって行った。それはもちろん、学校も例外じゃなかった。今まで友達だと思っていた奴らは、勉強についてこれないたった一人のミラクリオンを嘲笑い、一部の親は、俺のことを悪魔の子と呼んだ。つまり、何が言いたいのかって言うと…俺が嫌いなニルは、お高く止まった立場から石を投げてくる奴らなんだ。俺は確かに、君の容姿に一目惚れしたけど、君に告白されて付き合おうと思ったのは、髪の青い俺と普通に接してくれたからなんだ。他の奴らとは違う、信用できる人だと思ったからなんだ」


 俺は文章をまとめるのが下手だったが、それでもダイヤは真剣に聴いてくれた。話終わった後、彼女の頬には一筋の涙が伝っていた。


「嫌ですわね…。私、あなたを疑ってしまいました。これでは、恋人失格ですわ」


 自らを責める言葉を口にしながらも、その表情はとても晴れていた。それに、そんなことで自責するなら、俺だって…。


「そんなことない。それに、俺だって、君に恋人になって欲しいと言われたとき、疑ってしまった。騙されてるんじゃないかって、詐欺じゃないのかって。謝らなければいけないのは俺の方こそだ」


 気がついたら、彼女を抱きしめていた。それは、永遠とも、一瞬とも言えるような時間だった。何も言わずとも、ダイヤも俺の背中に手を回し、熱い抱擁を交わした。今このとき、初めて「恋人」と言う関係が成立したように感じた。そのまま流れで、俺は彼女と……。



 なんてことにはならなかった。彼女は、俺の具合が良くなってきたからと、タクシーに乗って帰って行った。いいんだ、これで。彼女は今、そんなことは望んでなかったはずだ。それにしても、彼女はどうして、「ミラクル・ステラ」のことを知っていたのだろうか…っていかんいかん。先ほど疑わないと誓ったばかりじゃないか。どうせアイツ(銀河)が何か言ったのだろう。タクシーが見えなくなったとき、俺はある決断をした。


「もしもし、銀河さん?あ、俺です、ムツキです。そう…ミラクル・ステラのことなんですけど…。そうです。お願いします。」

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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