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ギルドライバー“ハヅキ”  作者: 今井亜美
第二話 ダンジョンと“冒険者<ギルドライバー>”
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七章 では続きまして女子高生二人による初めての共同作業、入刀のお時間です。 VSマシーナ その3


「私は葉月を愛しているから」

「はい!?」


 な、な、なんで、こいつはこういう事を恥ずかしげもなく言えるかね!?

 

 いや、オチは分かってるんだよ。


 こいつの言う『愛』だの『好き』だのは、一般的に言う所謂恋愛的な意味でのそれじゃない。

 家族に言うようなものだって事はさ。


 それが分かってはいるんだけど、こんな風に面と向かって言われるとさあ……。


「葉月……? 顔が赤いけど、もしかして熱があるんじゃあ……」

「うるさい馬鹿! 誰のせいだと──」


「ハヅキ、シグレ! 言い争いもそこまでだよ! 奴が動き出した!」

「!」


 妖精の言葉に振り向くと、ショートしていたロボがまた立ち上がる所だった。

 

「しぶとい……けど!」


 厄介な銃を使う左腕は消えた。

 あいつの装備はもうビームサーベルだけの筈。


 何とか一撃を躱せれば私の剣でぶった斬れる。


「葉月、身体は大丈夫なの? 休んでても──」

「馬鹿言うなっての! 私は平気! 時雨こそ、変身したてで無理しないでよね!」

「二人とも、来るよ!」


 私と時雨は同時に駆けだす。

 

 この狭い通路でビームサーベルを振り下ろされれば逃げ場が無い。


 奴が右腕を振り下ろす前に、室内に滑り込む。

 

 私は右に、時雨は左にそれぞれ飛んだ。


 ロボは一瞬、どちらを狙うか迷った結果、時雨を狙う事に決めたらしい。

 右腕に近いからね。実に合理的な奴だよ。


 薙ぎはらうような一撃が、唸りを上げて時雨を襲う。


 空中では身動きが取れない。

 ロボはそう考えたんだろうね。

 でも、それは大きな間違いだったらしい。


 時雨は、左手を前に突き出す。

 手首の部分から、奴の足目掛けて、細い糸……ワイヤーみたいなものが飛び出した。


 ワイヤーは、奴の足にぐるぐると引っかかった。

 時雨が手をぐいっと動かし、ワイヤーを引っ張る。


 すると、時雨の身体は高速で動いた。

 薙ぎ払いを難なく躱し、そのままぐるりと股下を回って、ブランコの要領で私の元に。


 ……私の元に?


「わああああああああ!?」


 時雨は勢いのまま、私の胸に飛び込み、空中で身体を抱きしめてくる。


「な、な、何を!?」

「葉月! 私がこのまま奴の所まで連れていくから、しっかり掴まっていて!」

「そーいうのはもっと事前にいいいいいいいい!!!」


 はやっ!?

 はやいはやいはやいこわい!


 私と時雨は、一筋の光になって、猛スピードでロボに向かって突っ込んでいく。

 全身で風を感じてかなり怖い!

 振り落とされないように必死に時雨にしがみつく。


「今だよ、葉月! 一緒に!」


 時雨がワイヤーを外す。

 それと同時に、前方に私を放り投げる──ってなにしてんのおおおおお!?


「わぎゃあああああああ!!!!」

 

 空中に投げ出され、勢いのままぐるんぐるん回る私。

 この無茶苦茶な体勢で斬れと!?


「ちくしょおおおおおおやったらああああああああ!!!」


 無我夢中で剣を掴んで、縦に振る。

 視界の端で、時雨がナイフを振り下ろすのが見えた。


 二つの斬撃が、疾風となって、ロボを斬り裂いた。


 真っ二つになったロボットはよく分からない機械の中身をぶちまけながら、地面に倒れる。


「やった……へぶ!」


 私は、勢いのままに壁に激突した。


 目の奥でお星さまが踊ってる。

 鼻が折れるかと思った。


 皆は飛ぶときはちゃんと前を見ようね。

 前方不注意、ダメゼッタイ。


 くらくらの視界で見ると、時雨は特に苦労なくすたりと着地している。

 むかつく。


「葉月、大丈夫? 鼻血が……」

「誰のせいだと思ってるんじゃおのれは……!」

「ハヅキ、シグレ! やったね! これで、ダンジョン攻略達成だよ!」


 ぐにゃり……と辺りが歪んでいく。

 いつの間にか床が消えてしまっている。

 

 立ってるんだが、飛んでるんだか、落ちてるんだか、もう分からない。

 天地の区別がつかないんだ。


「妖精!? これ大丈夫なの!?」

「大丈夫! 主であるモンスターが倒れた事でダンジョンが消滅してるんだ。それと同時に、二人も肉体に戻るから──」


 その次は、聞けなかった。


 私と時雨はほぼ同時に、光となって、消えてしまった。




 第二話 おしまい。


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