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11.寝ぼけ眼の

 これは前回に引き続き、ユキカゼに関する記録である。

 ユキカゼは、無事にイーヴェン本土に到着した。そして様々な検査を受け、訓練を受けた。これが意外にも忙しなく、全然休養って感じしないな……とユキカゼは思った。

 ある日ユキカゼに下ったのは、とある超弩級戦艦級の指導。ゾンジュオでの指導と、隊の帰投率を上昇させた腕を見込まれてのことであった。


「……先輩……ちっちゃい……可愛い……」

 超弩級戦艦級軍徒ヤマト型一番艦・ヤマト。

 黒光りする鱗。端的に言えば、大蛇とでもいうような姿。その巨躯はゆうに百メートルを超え。培養液のプールに窮屈そうに詰められていた。

 国力を捧げて造られた、初の四十六ルイン個体。超高火力砲撃型。理論上、小島程度なら単騎で蒸発させられるほどの圧倒的な攻撃力。その砲撃を前に敵軍は恐れおののき、ひれ伏すだろう。そう謳われた一頭。

 しかし言語システムも未発達であり、喋り方は幼児のそれ。思考システムも完成しておらず、ぼんやりとしか考えることができなかった。

 加えて、生まれたてなためか、もともとの性格なのか。ヤマトは非常に失礼であった。


「はー?われ、おまえよりずっと年上アルが?敬意ってもんを持つがヨロシ!」

 対して、ユキカゼは歴戦の自負があり、プライドもそれなりにあった。前線で友軍のために戦うのがモットー、しかも研究所に連れてこられた理由もアホらしく。そのうえ無駄にデカい子供のお守りをしなければならないというのは不服極まりなかった。

 しかしユキカゼは不満をこらえることにした。それでこそデキるオトナだ、と自分に言い聞かせながら。

「ユキカゼ、シュエフン、タンヤン……まあ、好きなので呼ぶがヨロシ」

「……んー……タンちゃん……」

「前言撤回アル。ちゃんとユキカゼ呼ぶがヨロシ」

 ヤマト指導計画は、かくも前途多難の様相を見せつつ始まった。


「なんっでそこで突っ込むアル!?やり直しアル!はいもう一回!」

「……んん、ごめん……」

「反省してるなら次でちゃんとするがヨロシ!」

 何度もシミュレーション訓練を行う中で、ユキカゼは気づいた。

 ヤマトは、常に最悪の選択をし続けていることに。


「……ホンカンは……沈めと……静めるために……鎮めないと……忘れるために……思い出すために……起こすために……」

 うわ言の様に、そんなことをつぶやき続けるヤマトに、ユキカゼは違和感を抱いた。


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