足掻き続けた少女に幸せを
「アイト………」
その出会いは唐突で、レベッカは思考が追いつかなくなった。
なぜ?どうして?アイトがここにいる理由がわからなかった。
死んだと思った。死んだはずだと思っていた。その肉体は埋葬され、その魂は天に召されたと思っていた。
死んでいないとおかしい人物の名前をレベッカは確かに呟く。
「はい。僕ですよ。お久しぶりですね。お嬢様」
いや、今はレベッカかな?とそんな言葉を呟くその姿を、レベッカは未だに信じることが出来なかった。
「嘘………」
だが、信じられないならば、それを否定することはあまりにも当然と言える行動だろう。
「嘘じゃありませんよ。僕は正真正銘、アイト・カイトです」
そしてアイトはレベッカに近付き、レベッカの手に触れて自分の胸に触れさせた。
「ほら、触れますよ。生きてる人間の暖かみも感じるはずですし、僕の心臓もしっかりと動いてるはずです」
レベッカの手からアイトの心臓の鼓動が伝わってくるのが感じる。
「僕は、生きてます。今まで心配かけてすみませんでした」
「アイトォ………」
レベッカはなんて言えばいいのかわからなかった。
怒ればいいのか、わからなくなった。だが、アイトの行動であの出来事があったのだ。決して否定していいものでは無いが、だからといって全てを肯定できるほど、レベッカはできた人間じゃない。
「なんで………」
「ん?」
「なんで、いなくなったの?なんで、死んだフリなんてしたの?」
だから、全ての始まりを問いかける。他にも気になることはあるが、今一番気になるのはそれだけだから。
「そうですね。僕には、ここまで辿り着いたレベッカに、それを伝える義務があります」
アイトは一度目を瞑り、もう一度目を開けると、真っ直ぐにレベッカを見つめて言った。
「僕は、あなたに一度絶望して欲しかったのです」




