先に進む理由を考えたことのある人物はいったいどれほどいるのだろうか
前回のあらすじ
フィアラ「全部の魔法を使えます!」
チノ「この、チートがァ!」
チノとフィアラ。お互いの仲が縮まったことにより、改めて練習をすることになった。
「フィアラはさ、どうして本番はあのパフォーマンスをしたの?」
「チノのパフォーマンスを見て、あんな感じにしようかなって思って」
「そっかぁ〜」
チノはそれまでルンルンと話しを聞いていたが、急に真剣な表情になると、フィアラに向き合った。
「フィアラの問題は圧倒的な経験不足だね。君にはそれが足りなさすぎる」
自覚は、ある。フィアラにとってパフォーマンスはあの日が始めてだったからだ。
「それに、私のパフォーマンスを真似したって言ってたけどね?私以外のパフォーマンスを一度でも見たことはある?」
「ないよ。私は、あの日始めてこの街に来て、あの日に始めてパフォーマンスをしたんだから」
そこでチノは少し思案するが、「うん!」と頷くと、再度フィアラを見た。
「フィアラは、元々魔法を使ってたみたいだし、技術は文句なしだね!それでも、フィアラの魔法と私の魔法では決定的に違う部分があるの」
何だかわかる?と視線を向けてくる。
フィアラは少し自分で考えてみるが、皆目見当もつかない。
そんなフィアラの様子を見て、チノは「ふふん!」と笑みを浮かべる。
「えっと、わかんない、かな?」
「そっかぁ。じゃあ言うね。フィアラの魔法は相手に魅せる魔法じゃないんだよ」
それがチノが下したフィアラの魔法の評価だった。
「確かに綺麗だったよ?いつもは厳しぃ事務所の人たちも満場一致で褒めるくらいには。でもね、それはノーマルクラスでのパフォーマンスだったから。フィアラのパフォーマンスは、綺麗だけど相手を魅了する。そんな肝心なものがなにもないの」
相手を魅了する。そんなこと言われても、フィアラにはわからなかった。
「悩んでるね」
「そりゃあ………」
チノとユニットを組むから。少しでもはやく上に到達するために、フィアラはできることはなんでもするつもりだ。
「迷走して、その先に出した答えにこそ、意味があるって私は思ってる。だから、思う存分悩んでみるといいと思うよ」
それはそうと、と言いながら手を叩くチノ。
「基本的な技術は全部私が教えるから、フィアラは自分なりの答えを出してみてよ」
待ってるから。チノはそう言った。
自分なりの答えとは、なんだろう。
パフォーマーは、パフォーマンスは所詮フィアラにとって手段でしかない。成り上がり、リリルナ家に接触するための。
アイトは言っていた。相手を楽しませるためには、自分自身が楽しまなければ意味が無いと。
ならば、自分は楽しめているのだろうか。楽しめるのだろうか。
その答えを出せずに、フィアラは先に行ったチノを追いかける。
Q.見ただけじゃやっぱり無理かぁ
A.それはどこの天才ですか?
Q.答えは授けてくれないんですね
A.それじゃあ意味がないんで




