力があるのに死地に向かわない人を臆病者と言う。力がないのに向かうのは、愚者と呼ぶ
前回のあらすじ
レベッカ「綺麗なドレス、初めて着たよ」
アイト「じゃあ、外に出ましょうか」
まあ、次で終わりかな?デートは
ただひたすらに草原が広がっていた。
草の生い茂る地面以外には、最低限の草抜きをして、馬車が通りやすくなっている地面だけ。
「これが、外の世界………」
はじめて見た外の世界にレベッカは感激する。
なぜなら、レベッカが外の世界を見る時は、完全に街から追い出されて路頭に迷う時だと思っていたからだ。
「どうですか?はじめて見た街の外の景色は」
レベッカにそう言ってくるアイトの顔は、心做しかいつもよりも嬉しそうに笑っている。
「うん。すっごく綺麗!思ってた何倍も」
どこまでも広がる草原は、今のレベッカにとって、すごく綺麗に見えた。
「ここでお弁当を食べるの?」
この何もない草原。時折馬車が通ることこそあるものの、基本的に何もない草原だ。
レベッカは兎も角、アイトは見飽きた景色だろう。
「いえ、すみませんがまだ少し歩きます。レベッカは大丈夫ですか?」
「うん。お昼までの時間も大丈夫出し、私もまだまだ歩けるよ」
アイトは心配するが、レベッカはアイトが心配するほどヤワじゃない。無論、アイトもそれはわかっているが、念の為の心配である。
「そうですか。では行きましょう」
そう言われて、レベッカはアイトの後ろを着いて行った。
(どこまで行くのだろう?)と思いながらしばらく歩くと、森に辿り着いた。
「え、えっと………アイト?」
まさか森に捨てられるのではないか。ないと思いたいが、アイトならば不可能ではない。
森の中ならば魔獣もいるし、証拠隠滅にはもってこいだ。
「はい。この森の奥です」
森の奥。森の手前は人の出入りが時折あるので、比較的魔獣の出現も少ない。
だが、森の奥は滅多なことがない限り誰も足を踏み入れないので、魔獣はかなり出現するのだ。
レベッカが警戒していると、アイトはレベッカの考えていることがわかったのかクスリと笑って言った。
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」
なにが大丈夫なのだろうか。森の中に入るだけでレベッカに危険が降りかかることは間違いないはず。
だが、アイトがなんとかしてくれるという、信頼のもとアイトに着いて行った。
「うぅ………やっぱり気配が多いね」
レベッカは周囲の気配を察知しながらアイトに着いている。アイトの背中にピッタリとくっついているので、アイトは動きにくそうだ。
「大丈夫ですよ。魔獣も滅多に襲って来ませんから」
どこにそんな自信があるのだろう。レベッカはだんだんと不安になってくる。
「ねぇ、まだなの?もう私が敵わないような生物が数体潜んでるんだけど………」
更に奥に進む二人。時刻はもうお昼時。昼食を食べるには頃良い時間だ。
「もうすぐ到着します」
その瞬間、魔獣が草の茂みからいっせいに襲いかかってきた。
「ア、アイト!」
アイトはレベッカを抱き寄せて、レベッカを魔獣の爪から逃すと、周囲を威圧した。
「失せろ」
覇気のこもったそのたった一言で、魔獣はその目に恐怖の色を灯らせて、一目散に逃げてしまった。
「大丈夫でしたか?」
驚いた。何もかもに驚いた。
「大丈夫、だけど………まだ、奥に行くの………?」
正直、まだ奥に行くのであれば、もう引き返したいのがレベッカの本音だ。
「いえ、ここですよ」
と、アイトはすぐ近くの草をかき分けると、そこには綺麗な湖が広がっていた。
「綺麗………」
先程見た草原の何倍もの景色にレベッカは思わず声が漏れる。
「そう言ってくれると、連れてきたかいがありますね」
「道のりは少々危険ですが」とアイトは笑いながら言う。
「うん。すごく綺麗。だけど………」
危険な目には会いたくないな、と。そう言葉を零した。
さすがにアイトが一睨みしただけで、逃げるとは思ってなかったが、それでも怖かったのだ。
「まあ、今回だけですよ」
ということで、湖の近くにシートをひいてそこに2人で座った。
「では、ここでお昼にしましょう」
なんやかんやあったが、やっとアイトの昼ごはんにありつくことができる。
レベッカは楽しみにしながらアイトがピクニックバスケットを開けるのを見る。
バスケットの中には大きめの弁当が入っており、上段と下段に別れていた。
上段にはおにぎりが。下段には数種類のおかずが入っていた。
「わぁ、すごい。これ、全部アイトが作ったの?」
「はい。遠慮なく食べてください」
そういうことなら、と。レベッカは遠慮せずに食べ始める。
「わ、すごく美味しい。アイトって料理上手なんだね!」
「………え?」
アイトはなぜか「まじかこいつ」って感じの視線をレベッカに向けるが、レベッカは気がつかない。
「しかもうちの料理人の味に似てるね!教えてもらったの?」
レベッカがアイトに向かってそう言うと、アイトは目に手を当てながら上を向いていた。
「え!?ど、どうしたの?アイト」
アイトはレベッカを真っ直ぐに見ると、
「レベッカ、僕は。そもそもあの料理人達に料理を教えてもらったことはございません」
と、はっきりと言った。
「え?で、でも………」
すごく味が似ている。味付けも。
「あ!わかった。アイト、見ただけでだいたいわかったんだね!さすがアイト。万能だね!」
だが、これにもアイトは首を横に振る。
「レベッカ。あの料理人たちがレベッカが5歳になってから作った料理は、全てレベッカにぶちまけられてますよ?」
それでレベッカは思い出した。そういえばそうだと。
そして、先程までポンコツを晒していたが、地頭は悪くないレベッカは答えを導き出した。
「あっ………」
そして全てを理解した。
「ご、ごめんね、アイト………」
「いいんですよ。レベッカは知る機会がなかったんですし」
今まで自分にご飯を作ってくれていたアイトに、レベッカは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
Q.湖ってどこにあったの?
A.森の最奥。なので、レベッカは結局森の奥まで連れてこられていた
Q.レベッカって気配に敏感なの?
A.アイトが敏感にさせた。半径500mくらいの気配は読み取れる
Q.レジャーシートって茂みのすぐ上に置いたの?
A.さすがにそんなところには置いてない。湖の周りは、そこそこ広めの空間がある。草原くらいにしか草が生えていない空間なので、そこで食べてた
Q.アイトって、もしかして王の資質持ってるの?
A.ちょっと違う。アイトのは普通に殺意ぶつけただけ。殺意が濃厚すぎて、魔獣は敵わないと判断した
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