第10話~勇者~
「間に合わなかったか・・・。」
イケメンの青い鎧を着た男がそう言った。
間に合わなかった?
はるかのことか?
ということは勇者?
「完全に力が解放されていますわ。」
分かりやすい十字架が描いてある服から言って
僧侶だな。
「傍にいる男は・・・人間?」
こちらもイケメンの銀の鎧を着た男だ。
剣士って感じだな。
「魔王の娘に捕まったのね。」
最後は黒いローブに三角帽子だけど、
中身は黒いハイレグビキニと、
とてもそうは見えないが大魔導師だろう。
「コウイチ様、勇者のパーティーです。」
「やっぱりそうか。
上手く逃げ出せたら良いんだけど。」
さすがに無理か。
せめてはるかだけでも逃がせれば、
俺は何とか誤魔化すんだけど・・・。
「そこの君。
今助けて上げるからもう少しの辛抱だ。」
俺は魔王の娘に捕まえられた哀れな人間に
見えているのかな?
「よし、みんな。
僕が攻撃を仕掛けるから、
あの人をまず保護するんだ。」
「わかったわ。」
勘違いしている間に仕留めたい所だけど、
相手が勇者じゃさすがに無理だろうしな。
仕方ないか。
「よし、行くよ・・・?」
俺がはるかの前に剣を構えて立つと、
勇者が驚いて止まった。
「まさか、操られているのか?」
「不味いですわ。
魔王の娘を気絶させるか、
殺さないと解けません。」
「仕方がない、
僕とディールで人間を足留めするから、
シャルム姫は隙を見て捕縛魔法で捕まえてくれ。
ホミンはいつも通り怪我を負ったら
回復を頼む。」
どうやら俺には攻撃するつもりはないらしい。
ついでに剣士がディールで、大魔導師がシャルム、
僧侶がホミンなのがわかったな。
さて、まずは。
「闇の鎧・サンダーアーマー・
フリーズエンチャント」
いつもの3点セットを付けて。
「3属性を同時付与ですって!?
彼は私以上の大魔導師!?」
「だけど双剣を装備している所を見ると、
私と同じ剣士では?」
「どうやらただ者ではないらしい。
ホミン、スキャンを頼む。」
「はい。ステータススキャン。」
ステータススキャン何て魔法・・・ではなく
道具みたいだな。
「・・・!?
信じられません・・・。
精神力がMAXで、
属性を11個も覚えています」
「なんですって!?」
俺のステータスを見る事が出来るらしい。
面倒な道具だね。
攻撃される前に・・・。
「グラヴィティゾーン!!」
「なっ!?」
「じゅ・重属性!?」
・・・なんか『冒険王ビ◯ト』の
ガロニュートみたいだな。
という事は、次の展開は・・・。
「すまん、アイル・・・頼んだぞ。」
「ああ。
僕のこの勇者の剣は重力制御があるからね。
皆、少し待っていて!!」
やっぱりそう来ましたか。
剣を降り下ろして来たぞ。
毎度受け止めて失敗するから、
今度は受け流し・・・切れない。
なんて重い一撃だ!?
一旦下がって・・・
「クォールスラッシュ!!」
地を這う斬撃か。
「クロススラッシュ!!」
迎撃出来たぞ。
魔法の攻撃なら勇者にも引けを取らないな。
「ロケットブースター!!」
勇者の相手よりもまずは、
回復役を倒すのがセオリーだよね。
「ファイナルイレーズブレイド!!」
・・・受け止められたぞ、勇者に。
さすがは勇者。
動きも素早いな。
そのまま弾かれて、
後ろに下がらされてしまったよ。
「動けない者を狙うなんて、
さすが魔族のやる事だ。」
4人で1人に襲いかかるのは、
卑怯と言わないのかね?
都合の良い所しか見ないのは、
勇者と言えど人間と言う事か。
「人間相手に使いたくはないけど、
このまま長引くのは厳しいから仕方がない。」
勇者はそう言うと、剣を横向きに体の前に出し、
左手を柄の近い刀身に当てたぞ。
何をするつもりだ?
「ホーリーブレイド」
左手が刀身の先に移動するに連れて剣が
白く輝き出したぞ。
まるで『宇宙刑事ギ◯バン』のレーザーブレイドを
見ているようだ。
大方光属性のエネルギー刀身に宿らせた
という感じだろう。
なら、こちらも。
双剣だから両方前に出して。
「ダークブレイド」
「なに!?まさか同じ技!?」
光と闇の違いがあるから、
俺の剣は黒く光っているけどね。
おまけにフリーズエンチャントもされているから、
冷気も漂っているし。
片方は元々闇属性の剣だけど、
もう片方は雷属性だから
闇の雷がほとばしってるしね。
「僕のオリジナル技を受けてみろ!!」
明らかに突きの構えだね。
「ホーリュースティン!!」
剣を捻りながらの突きだな。
「ダブルダーリュースティン!!」
名前は微妙になったが、
全く同じ技の双剣バージョンだ。
「な!?」
ダブルで放った分、
俺の方が威力があったみたいだ。
とはいえ、余りダメージにはなってない
みたいだが。
「そんな、僕のオリジナル技を一瞬で真似た上、
更に上の攻撃を・・・?」
捻る攻撃なんて漫画じゃ当たり前すぎて、
簡単に想像つくよな。
さて、そろそろ一声掛けてみるか。
「勇者アイル。」
「あ?喋った!?」
「俺の実力はわかっただろう。
ここは退いてくれないかな。」
「まさか、操られていない!?」
「ああ。俺は俺の意思でこの娘を守っている。」
「そんな馬鹿な!?
そいつは魔王の娘なんだよ!?」
「知っているよ。わかった上で守っているんだ。」
「そいつを放っておくと、
人間が滅びる事になるんだよ!?
それをわかってて言っているのかい?」
「わかってないのはお前達さ。
魔族は人間を滅ぼすために
存在している訳ではない。」
「その者の言う事を聞いちゃ駄目よ!!
アイル!!」
「シャルム姫・・・。」
「きっと既に魔王の娘に洗脳されているのよ!!」
「そうだね。
魔族は何万人もの人間を殺しているんだから。」
・・・何かおかしいな。
シャルム姫は、本当は魔族が秩序を守るために
存在していると知っているのでは?
じゃあ何故それを隠す?
姫?
王族・・・。
国にとって都合が良い?
「彼の洗脳を解く術はありません。
魔王の娘ごと滅ぼすしかないのよ。」
全ての元凶はシャルム姫にありそうだな。
4人全員を倒す・・・今の俺に出来るのか?




