第12話~ダークゴブリンキング~
結構時間が掛かったけど、何とか最後までこれた。
あとは奥に座っているゴブリンキングを倒すだけか。
・・・ゴブリンキングじゃなくて、ダークゴブリンキングかな?
ダークゴブリン見たいに肌が黒いし。
キングと言うだけの事はあり、他のゴブリンより結構大きいんだな。
3mは無い位か?
「近づくのは危険そうだから、まずは俺のダークアドソープションでただのゴブリンキングに戻してから、攻撃を仕掛けよう。」
「わかりました。お願いします。」
「ダークアドソープション!!」
な、避けただと!?
「人間ごときが、この俺様に攻撃してくるなんて、いい度胸だ。」
喋った!?
いや、それよりも避けられた事の方が問題だ。
ただのゴブリンキングに戻さないと、こちらに勝ち目はない。
どうにか動きを止めないと・・・。
「ふん!!」
「なっ!?」
「キャァー!!」
馬鹿な、こん棒を振り回しただけの風圧で壁まで吹っ飛ばされただと!?
どんなでたらめな攻撃力してやがるんだ!!
「ひ弱な人間が。俺様に逆らおうなんざ、千年早いんだよ!!ガハッハッ!!」
レベルが違いすぎる。
このままだと・・・落ち着け、こういう頭の悪そうな奴は・・・
「俺の攻撃を受けることも出来ないなんて、お前本当は弱いんだろ?」
「なんだと!?貴様程度の攻撃なんざ、避けずに潰してやらぁ!!」
「なら、喰らえ!!ウォーターボール!!」
「そんな攻撃が効くか!!」
ダークゴブリンキングがこん棒を降り下ろし、
ウォーターボールは簡単に潰された・・・が。
「グギャ!?」
後から放ったダークアドソープションには無防備に喰らったからゴブリンキングに戻ったぞ。
「貴様~!!騙したな!!」
こっちに向かってきたぞ!!
でも、
「スタブ!!」
「グハッ!?」
ルーミーさんが既に回り込んでいるから背中ががら空きだよ。
やはり、頭はかなり悪いみたいだ。
「後ろから狙うとは、卑怯な!!」
って、ルーミーさんの方を向いたから、今度は俺に背を向けてるし。
がら空きの背中に遠慮なく攻撃させて貰おう。
「ポイズンボール!!」
「ギャー!!」
耐久力だけは大したもんだな。
でも、毒で動きも鈍るだろうから、勝ち目も見えてきたぞ。
「もう許さんぞ!!喰らえ!!」
こん棒の攻撃が来るが、動きが鈍い。
これなら避けてそのまま攻撃!!
双剣の攻撃が脇腹にヒット!!
「ファイヤーランス!!」
ルーミーさんの炎が槍の形に変わり、足に突き刺さった。
「貴様ら~!!」
こん棒を振り回して衝撃波を起こすが、毒のせいか、ただのゴブリンキングに戻ったせいか、最初の衝撃波よりはるかに弱い。
これなら吹き飛ばされないで堪えられる。
耐えた所で、
「サンダー!!」
一瞬動きが止まった所へ
「ファイヤー!!」
間髪入れずにルーミーさんが攻撃。
ルーミーさんとのコンビネーションも良い感じだ。
でも油断は大敵。
一撃でも当てられたら、瀕死の状態になりかねないからな。
「ファイヤートルネード!!」
「3段突き!!」
「ヴァァーー!!」
口から火を吹いた!?
ちょっとはボスらしい攻撃もあるんだな。
面白くなってきたよ。
「グゥゥゥ・・・」
大分弱ってきた。
もう少しで決着だな。
とは言え洞窟のボスだ。
このまま終わるはずがない。
この手のボスのラスト攻撃といったら、
「ガァァァァ!!!」
「ルーミーさん!下がって!!」
「はい!!」
こん棒を連続で叩きつけてきた。
やっぱり乱打攻撃だな。
射程範囲の外に入れば、意味もない。
そろそろ止めといくか!!
精神力1000で・・・
「いかづち!!」
ゴブリンキングの頭の上から雷が落ち、見事に命中。
離れたところからでも魔法は出現するみたいだ。
「グギヤァァァーーー!!!」
ふぅー、何とか倒せたな。
馬鹿とは言え、さすがはゴブリンキングだ。
結構強かったよ。
「やりましたね。コウイチさん。」
「あぁ、最初はどうなるかと思ったけど、馬鹿で助かったよ。これで町の壁も修理出来るね。」
任務達成か。
予想外の出来事もあったけど、無事に終わって良かったよ。
「ゴブリンキングの角が落ちてますよ。
煎じて飲めば一定時間攻撃力がアップするので、道具屋等に売れば3,000リノス位で
買い取って貰えます。」
「1日の稼ぎがこれ1個で補えるって、結構良いね。」
「はい。それにダークゴブリンの闇のクリスタルは、ゴブリンの10倍値で売れます。」
とすると全部で6,000リノス位?
ダークゴブリンがいなかったら、全く稼げていないような・・・。
「ゴブリンは稼ぎが悪いので、初心者が魔物に慣れるのに利用する位で、あまり好まれません。
でもそのせいでゴブリンが増えて、ゴブリンの洞窟が出来てしまう。
そしてゴブリンキングが誕生。
そうなると初心者では太刀打ちできませんし、中級者でも2人以上いないと厳しい。
でも儲けにならないから行く人がいないと、負のスパイラルに・・・。」
なるほどね。
俺に目をつけた理由がわかったよ。
「一応町の警備隊が毎日ゴブリンを倒して回ってはいるのですが、ゴブリンの増えるスピードの方が速いので1~2年くらいの期間でゴブリンキングが誕生してしまうんです。」
「ゴブリンキングが誕生したら、普段はどうしているんだい?」
「警備隊が3人くらいで退治に向かうのが普通ですが、手が足りない時はお金で雇った冒険者と向かったりします。」
なるほど。
まっ、結構楽しめたし、色々な魔法も試せたし良しとするか。
「コウイチさん。今回は本当に助かりました。ありがとうございます。」
「いや、ルーミーさんには色々助けてもらってるし気にしないでいいよ。」
「それにしてもダークゴブリンが発生した理由は別途調査しなくては行けませんね。」
闇が強まると発生するダークゴブリン。
偶然か、はたまた人為的か。
気になる所だけど、そこはマーベラの町の人に任せて、俺は元の世界に戻る方法でも探すか。




