38ー銃をもつ男
俺達は、森の中を歩いていた。
正確には、俺とシャルさんの2人でいるのだが、シャルさんは俺の前にいて、俺が剣をシャルさんに突き立てて、歩かせている状態だ。
何故、こんな事をしているかって?それはシャルさんを貶めた犯人に出てきてもらう為だ。
あの打ち合わせから、3日後に行動を開始した。
3日後にしたのは、俺の体力が戻っていないので待ってもらったのだ、この3日間はシャルさんを街中で歩かせて、イリーさんに尾行をして貰って怪しい奴が、シャルさんを見てないかとかやってみたが、それらしい動きがなかったのでいよいよ外でおびき寄せる事にした。
当然、犯人も街中で殺人しては、身元がバレるので動くとは思わなかったが、情報を与えてる奴がいるはずだと踏んで尾行まがいの事をしたが、動きはなかった。
で、現在に至る訳だが、普通にシャルさんとパーティを組んで歩いていたら、俺が射殺されるはずなので、このような形をとり、行動していた。
勿論、犯人の気が変わって、シャルさんを射殺するという線も考えたが、俺はないと見ていた。
犯人の行動は、至ってシンプルだ、シャルさんを貶める事を重視しているので、いつかシャルさん自体を殺すと思ってもそのように貶めた内容をシャルさんに語ってから殺しに来ると踏んだのだ。
シャルさんに危険ですけどやりますか?と勿論聞いたが、当然やるという事なのでこの計画を実行している。
南地区の森の中をすすんでいく、シャルさんは、両手を上にあげながら、助けてくれと叫んでいる。
俺は黙って進めと演技しながら探知スキルを発動させていた、この作戦で1番怖かったのは、他の冒険者が勘違いしてシャルさんを助けに来るパターンだったが、事前にイリーさんが、出発している冒険者がどこに向かったか調べておいてくれていたので比較的、冒険者がいない方面に向かったのだ。
正直、他の冒険者が来た場合、シャルさん自身に説明して貰って他の手を考える手はずになっている。
やはり、魔物がいない、俺はこの場所になにかあると踏んだ。
小声でシャルさんに演技開始の合図を送る、「お前!俺様の人形をよくも馬鹿にしてくれたな!」
「そんなつもりで言ったんじゃないんだよ!許しておくれよ〜!」
「やかましい!俺はお前を許さない!ここで死んで貰う!」俺の探知スキルに反応があった。
「そんな!許して!」シャルさんは土下座する恰好で、周りの臭いを嗅いでいた。
「ダメだ、首を出せ!」近いな。
『おい!!待て!!』男の声が森の中から聞こえた。
振り向くと、ライフル銃のような物を持ったフードを被った男が森から出てきた。
「なんだ!お前!」やはり銃を持ってたか!
『おいおい!この地域では俺が先輩だぜ』目が光った気色悪い人形を見せながら近寄って来る。
「なんだ、先輩いたのかよ、でも此奴が俺の人形を馬鹿にするからここで殺ろうと思ってな」と首から下げておいた古田の人形を其奴に見せる、そう人形と聞いた時、この人形が犯罪派である証と思ったのだ。
『お前もそうだったのか!俺も此奴に馬鹿にされてな!許さないから色々と仕込んでやったのよ!』
「何をしてやったんだ?」
『そうだな、おい、女、お前の仲間が次々と死んじまって大変だったなぁ〜、呪われた女としてすっかり有名になっちまった、挙句は呪われた女としてここで死ぬんだよ!ぶはははは』
自供は取れた!と思った時、男がふと俺に尋ねる。
『でその芝居はいつまでやるんだ?』
「なに…」なぜバレる?
「ドン!」俺が言った瞬間に奴がライフルを撃ったのだ!弾は俺の脚を貫通した、
「ハヤミ!」シャルさんが俺の所に来る。
太ももから焼けるような激痛が走る、血が溢れ出すのを手で抑える。
『ほら、芝居だった!お前の存在は既に知っているんだよ!確信したのは人形が偽物だったからだけどな!』男はそのままシャルさんにもライフル銃を向けて撃った!
「ドン!」シャルさんは肩にあたり、後ろに吹き飛ぶ。
「シャルさん!」撃たれた衝撃で気を失ったようだ、動かない…。
『さてと、あの犬はあとでゆっくりと殺すとして、まずお前だな、ハヤミって言ったな、その人形は誰から奪った?』銃を俺に向けながら男が言う。
「知ら…」
「ドン!」『答えろよ!』
男が俺の足元に撃った!
「古田だ…」
『ほう〜あのイカれた野郎か、という事はオダさんのエリアの奴だな、フルタを殺ってよくここまでこれたもんだ、ま〜いいさ、俺の神託が上がるキッカケをくれたフルタに感謝しね〜とな、これでまた褒めて頂ける…』男は銃を降ろして、腰の剣を抜いた。
「なんで正統派を狙う…」弾が切れたか?
『全ては冥王様の為、それ以外ないだろ〜?もういいだろ、死ねや!』
男が剣を振り下ろす!
俺の危険回避スキルと火事場スキルが発動したのか、片足の力だけで後ろに飛び避けた、足に激痛が走るが、背中の弓を取りだし、男を睨む。
『面倒くせ〜奴だな』男はそのままこっちに向かって来た。
矢を弦にかけて、すぐに放つが、剣で落とされる、2射目は間に合わないと俺は矢を取りだし握りしめる。
男はそのまま、剣を振り下ろす!俺は片足で横に避けたが足がもつれて倒れた。
男は構わず斬りかかる、転がってかわし続けた。「ハアハア」かわすのが限界に近ずいていた。
そんな俺に対し、『往生際が悪い奴だ!俺は銃で殺す事が快感なのによ!』
犯罪派はこんないかれた奴しかいないんだなと思いつつも、何か手段がないかとかわしたが、木が邪魔をして俺は止まった、そして奴と目があう。
『終わりだな!』男が剣を逆手に持ち、串刺しにする形で俺に向ける。
その時だった、俺はシャルさんが奴に向かってナイフを投げたのは、ナイフは奴の背中に刺さった!そんな奴はグッと声を出したが構わず俺に向かって剣を落とす、そのタイミングで持っていた矢を奴に向けた、奴の剣は俺の肩をえぐって木に刺さる、矢は奴の胸に刺さって折れた。
剣が刺さる瞬間、危険回避スキルが発動していたのだ、奴は俺の腹あたりを狙っていた、尻から滑るように避けた結果、致命傷にはならなかった。
矢は胸に刺さったが、大したダメージにはなってなさそうだった…奴は後退しながら銃のほうに向かっている、シャルさんは肩の傷が疼くのかまだ動けずにこちらを見ている。ダメだ、俺はもう動けない…。
奴が、銃を拾い、俺に向けた。
『やっぱ、コレでフニッシュだ!』
「シャルさん…すまない…」
俺は、目を閉じた…
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