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藤森:「あなた、そんなに簡単に諦めていいの? やらないといけない事があったんじゃないの?」
確か、世界の再生とか、、(その為の現世の破壊も含む、、)
男の子:「僕達は「ルール」に従って役目を果たすんだ。 でも此処には「ルール」が存在しない、通用しない。 此処にいる限り、僕に存在理由は無いんだよ。」
男の子:「でも、こうして今も僕達がお互いを「認識」し合えるのは、僕達の間に「ルール」が働いているからだとも言える。 とても不安定だけれども、僕達二人の間に「世界」が創られているんだ。 本当に、偶々、偶然が重なった「奇跡」ミタイナものだけどね。 多分、次に大きな「波」が来たら、僕達は離れ離れになって、それで、この二人だけの世界は終る。」
「悪魔」が「奇跡」にすがっている様じゃ、もはやどうしようもない、…世も末だナ、
藤森:「よくわかんないけど、あのピンクのウミウシの中と似たようなモノじゃないの?」
男の子:「「アメミット」は情報を認識可能な「意味のある形」で保管するけれど、此処はそうじゃない。 「何でも有る代わりに何にも無いのと殆ど同じ」な状態なんだよ。そして僕達も、直ぐに周りに溶け込んで、同じ様なモノになる。」
私は、…納得いかない。
こんな、殺風景な所で「何にも無いのと殆ど同じ」な状態になるのなんて、我慢できない。
第一「変態関目」には、まだまだ借りを返していない!
藤森:「大体、今こうしていられる事が「奇跡」だっていうのなら、他にも「奇跡」くらいどっかに転がってるんじゃないの? 此処は、「可能性のスープ」なんでしょう!」
男の子:「人間は凄いね、」
男の子:「僕には難しいけど、人間には得意な事がある。 嘘をつく事、意見を変える事、発想を転換する事、物語を創る事、世界を創り返る事、…それは「神」から直接受け継いだ「人間」の能力。」
藤森:「今、私に、何かできる事有る?」
男の子:「君がもしも「魔法陣」を紡ぐ事ができれば、元の世界との扉を繋ぐ事が出来るかも知れない。」
藤森:「魔法なら、「悪魔」のあんたの方が、よっぽど得意なんじゃないの?」
男の子:「魔法を使えるのは、「神」と「人間」だけなんだ。…「天使」や「悪魔」や「聖霊」達は、それぞれ「役目」に応じた「魔法」の「アプリケーション」と「使用権限」をもっているけれど、実際に「魔法」を使う為には、「人間」との契約が必要なんだ。」
藤森:「何だか、オカルトの世界も色々お役所的な手続きがあって大変なのね、」
男の子:「残念だけど、時間切れみたいだ。…ほら、耳を澄ませて、…誰かが何処かで魔法陣を開いたミタイだね。 新しい可能性を世界に引っ張り出す為に、可能性のスープは掻き混ぜられる、…短い間だったけど、最期に君に会えて良かった。」
そうして直ぐに、海の底で海流に翻弄される稚魚の様に、或いはエアポケットに嵌った飛行機の様に、私達は為す術もなく、激しい目に見えない流れに飲み込まれて、…掻き混ぜられて、…




