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イーヴィル・アイ(邪視眼)  作者: ランプライト
第七章:変態×魔導師
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緑のシートの向こう側で、他人事の様に、絶え間なく、腹筋と括約筋が収縮を繰り返し、…

私の身体は、はしたない悲鳴を上げ続けながら、体中の水分を、…絞り出した。


私は全身の力を使い切って、…涙と鼻水と涎を、垂れ流す侭にさせて、…余韻の様に、ヒクヒクと、痙攣させて、…


藤森:「殺す、…絶対に殺してやる、…」


全てが済んだ後、搾りかすの乾いた脳味噌には、意味の無い殺意しか、…残っていない。




中年男:「終わったか。」


男の声には、一切の慈悲も、一切の酌量も感じられなかった。


薄い一枚のシートを隔てて、どこか自分とはまるで関わりのない遠い場所で、男は、カチャカチャ何かを準備している。


やがて徐に、男は、今度は、私の左肩に、注射針を、…挿した。



藤森:「いやぁ、…何注射してるの! やめて、…殺さないで、…嫌!死にたくない!」


ソンナノ、何だか取り返しの付かない位、身体に悪い物に、…決まってる。


冷たい、ヌルヌルとした液体が、私の血管の中に、送り込まれてくる様な、…気がして、

私は、泣き叫びながら、何時の間にか、全てのプライドを放り出して、…懇願する!



藤森:「何でもします、…だから、…死ぬのは嫌ぁ…、」


すると、中年男の注射器を操作する腕が、ピタリと、…止まった。


中年男:「本当に、何でもするのか?」


藤森:「します、…だから、…殺さないで…、お願い、…」


そして緑のシートの向こう側で、中年男は、確かに、にやりと、…哂った?



中年男:「死ぬよりも、辛いかも知れんが、もう一つ方法が、無い訳ではない。」


男は、私の剥き出しの下腹に、絶対に他人に見せてはいけない大事な秘所に、…無遠慮に、ゴム手袋の硬い指先を這わせて来る。


中年男:「お前の身体から、二度と悪霊が外へ出られない様にする方法がある。」

中年男:「生きている内も、…死んだ後もだ。」


中年男:「この秘法は「禁忌」だ、だから死後、お前の魂は悪霊と共に裁かれて、「アメミット」に喰われて、永久に復活できなくなる。…その代わり、お前は、取り敢えず死ぬ迄は、生きる事が出来る。」


中年男:「どちらを選ぶか、お前に決めさせてやろう。…約束された安全な来世での復活か、今際の生存と引き換えの永劫の破滅か。」


藤森:「生き、…られるの?」


…選ばせるんだ、私に、…自分から望んで苦痛を引き受けた事にして、縛り付けるんだ。



中年男:「ああ、但しその為の秘術には、酷い痛みが伴う。お前にその痛みが我慢できるかも怪しい。 もしも途中で我慢できなくなったら、…全ては水の泡と帰す、」


藤森:「します、…我慢します、だから、…殺さないで、…、」


…だからって、私に他の選択の余地なんて、…無いじゃないか、



中年男:「お前の全身に、悪霊を封じ込める為の「ヒエログラフ」を刺青する。…全身くまなく、そうだな「耳なしホウイチ」の様にだ。…それでも良いのか?」


藤森:「します。…」


次第に、重い、朦朧が、私を押し潰す。 さっきの薬が、効いてきたのだろうか、


藤森:「だから、…殺さない、…で。」

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