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「あるモノと集まる子どもたち」

 

「これ、なんだ?」

 小学生低学年くらいの子どもが、

 何かを見つけた。



 何かを見つけた子どもの周りに、

 その子どもの声を聴いて、

 他の子どもが集まりだした。



 何故か、子どもばかりが

あるモノを見つけた子どもの周りに集まり、

 その数はもう30人を超えていた。



 人だかりを見たせいなのか、

 さらに子どもが集まり出して、

 その数は優に100人を超えていた。


 いつのまにか、

 集まりだした子どもは1000人を超えていて、

行列まででき始めていた



 子どもたちの異常なほどの集まりと、

 行列に、

 マスコミが騒ぎだした。



 「えー、

 カミサン公園の上空から実況です。

 既にこの公園は小学生くらいの子どもで

埋め尽くされており、

 その周りをぐるっと行列ができていて、

さらに、行列は増え続けています。

 何が、

 子どもたちにそうさせているかは

ここからも確認不能ですので、

 現場のトッキーさん、

 子どもたちにお話しをうかがってください。

 では、現場からの実況お願いします」


 「こんにちわ!

 トッキーです。

 では、早速、突撃レポートに行きたい

と思います。

 ...

 ...

 僕。

 何で並んでるの?」

 トッキーは、

 行列の最後方くらいに並んでいた

マヌケそうな小学校低学年くらいの男子に声をかけた。

 すると、

 その子どもはトッキーに向かって、

 「おばさん、ずるいよ。

 順番があるんだから、

 後ろに並びなよ」

 言って睨みつけた。

 すると、

 行列にいる子どももいっせいにトッキーの方を見て、

 「おばさん、ずるいぞ」

 「おばさん、ずるはダメよ」

とか、

 似たようなことを言いだしたので、

 トッキーは、

 インタビューどころではなくなったので、

 やむなく最後尾に並ぶことにしたのだった。


 

 子どもはまたどんどん集まってきた。

 「次から次へとこどもさんたちが集まってきてますが、

 いっこうに前に進む気配はありません」

 子どもたちにマイクを向けても、

 何も答えてくれなかったので、

 レポーターのトッキーは、

 カメラに向かってそう言うのが精一杯だった。



 「美しくなくても、

 人の心は惹きつけられるのだよ」

 あるモノにはその声がはっきりと聞こえた。



 「さあ、これで満足だろ」

 あるモノはその問いかけに、

 「はい」

 返事をしたかったができなかった。



 その声は、

 あるモノが

返事ができないことがわかっているクセに、

 何度も何度も、

 「さあ、これで満足だろ」

 問いかけ続けたのだった。

 そして、

 その間、

 子どもの行列だけは

どんどん膨れあがるように長くなっていった。

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