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15.そして、日常

帰国後、1刻とて体を離したく無い程に愛し合う鸞と孔明。

しかし、留守をしていた屋敷の中は……

 

 暖かさに目を覚ますと、目の前には安心しきった顔で眠る孔明の無邪気な寝顔があった。

 天蓋付きのベッドから降りた鸞は、裸体にガウンをしどけなく羽織り、半円形の出窓の側に立った。

 帰ってきたのだ、この家に。

 この朝陽、この光、そしてベッドに眠る兄……中国での事は全て泡沫の夢であったのかと思える程の、当たり前で静かな朝であった。

 

 帰国後に3日だけ検査入院をしたものの、幸い肋骨に異常はなく、鳩尾の奥にある内臓にも損傷はなかった。

しかしレイモンドから別れ際に食らった蹴りは、しっかりと靴跡型に濃い紫色の痣を残していた。思っていた以上に体術の応酬で拳や蹴りを食らっており、程度こそ軽いものの、全身打撲の状態であった。三日も経つと、体にはまるで判じ絵のように変色した痣があちらこちらに浮かんでいた。

 全治一週間、そう言われて鸞が大人しく我慢できるはずはなく、こうして退院した日にはもう、孔明と濃厚に体を重ねて共に夜を過ごしていた。痣を気にしていた孔明も、鸞を取り戻した安堵からか、次第に熱を帯びて鸞を愛し、何度も哭かせては果てた。

「兄上……もう朝だよ」

 まだ横たわる孔明の側に腰を下ろし、孔明の寝顔を覗き込んだ。無邪気に口を開けた寝顔が、満ち足りたように上気してほんのり朱に染まっている。

「早いな」

 重そうに瞼を上げた孔明が、鸞に微笑んだ。

「おはようございます」

「おはよう」

 さんざんに哭いて声が掠れ気味の鸞の、少し渇いた唇に、孔明が愛し気に指を這わせた。その手を両手で包み込んだ鸞が、カプリとその指を口に含んだ。

「先にシャワーを浴びてこい」

「離れるのイヤ。一緒がいい」

 鼻にかかった甘え声を出して孔明の指にキスを捧げる鸞の汗に濡れた髪を、孔明が優しくかきあげた。

「バカ、亮子も父上もいるんだぞ」

「あ、そっか……」

 まだ体の中に孔明の残滓を抱いたまま、鸞は面映(おもは)ゆい程に重たい体を引き摺って、シャワー室へと向かった。


 さっぱりと情事の残り香を流し、腰の部分だけにスポーツタオルを巻いた姿で、鸞はキッチンへ赴いた。

「ギャァァァァァ!! 」


 


ラブラブフォーエバー状態の2人。でも、世の中そんなに甘くは無くて……

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