第20話 依頼完了
「どうやら妻にそのことがバレてしまっているみたいで、あ、もう完全に相手とは切れているんですが、その、後をつけられているというのはやはり気持ちが良い物では無くて・・・、かといって警察に相談するのも変な話しですし、その原因は私に有るという負い目もありますので」
東名は頷きながら厳道の話しを聞いていた、リツコは東名との契約を一方的に反故にして帰って行ったが、それからも厳道の浮気の証拠写真を手に入れるために、他の探偵事務所に依頼をしたようだ。
「それで、私をつけている相手がわかれば話をつけれるかもしれないと思いまして、家のパソコンで調べたらここが一番上に出てきましたので、お邪魔させていただきました」
「そうでしたか・・・、では契約内容は身辺警護という事でよろしいですか」
「そうですね、尾行している相手が分かれば・・・と、それで相手との交渉はしていただけるのでしょうか」
「それについては相手方の契約もありますから、話し合ってすぐに解除という訳にもいかないと思います、それにこればっかりは出来るとお返事が出来ません」
確かにこれは東名も答えようが無い、ただ、リツコと直接交渉するよりはなんとかなるかも、という気持ちにはなる、過去にそういう交渉をした事もあったことだし、
「そうですかそれは仕方ないですね、ああ私が馬鹿な事をしてしまったばっかりに、妻に要らぬ心配をかけさせてしまった」
そう言って厳道は頭を抱えてうつむいてしまった、それを見て東名はどんな表情をして良いか分からずに、真顔で頷くしか出来なかった。
それから東名と厳道は契約内容と期間の話しを終え、くれぐれも覚られないように普通に生活をして、と厳道に念を押して別れた。
ビルの外まで出てきて見送った東名は、厳道が何度も振り返りながら頭を下げるのを見届け、厳道が見えなくなってから、小さくため息を吐きビルの陰に隠れている人物に声をかけた、
「そこに居るのは分かってますから、早く出てきてください」
額に溢れてくる汗を拭い、暫く待っていると観念したのかビルとビルの間から男が一人出てきた、
「相変わらずですね、先輩」
出てきた男に東名が声をかけた、
「どうして俺だとわかったんだ、トーメイ」
「そりゃあわかりますよ、丸見えでしたから」
東名が指をさした先には坂上SSSの事務所の窓が有り、そこから男の姿が丸見えな事がわかりぽかんと口を開けた、
「先輩の事務所でしたか、あっという間に依頼終了ですね」
先輩と言われた男は何のことか分からず首を傾げていた。




